
無病息災の願いを込めた大きな守り神。魔除けを担う「お人形様」とは?【福島県田村市】
目次
身の丈4メートルほどの大人形。
福島県田村市には「お人形様」と呼ばれ、古くから伝わる魔除けの神様がいます。鋭い眼光と突き出された刀が特徴的で、疫病や災いから地域を守る神様として、今なお人々の信仰を集めています。
今回は、田村市が誇る守り神「お人形様」の歴史とその姿について深掘りします!
田村市の守り神「お人形様」とは?

田村市船引町内の3カ所に祀られている「お人形様」の正体は、巨大な魔除け人形です。
その高さは約4メートルほど。木製の骨組みに藁を纏わせ、恐ろしい形相の面をつけています。さらに手には刀やナギナタを持ち、長い両腕を大きく広げながら、まるで「通せんぼ」をするように佇んでいます。
お人形様の起源は古く、詳細は不明ながらも、江戸時代に流行り病が蔓延したことがきっかけになったそう。
病や災いからこの地の人々を守るため、隣町の三春町からいわき市までをつないでいた磐城街道沿いにお人形様が祀られたと伝わっています。
それぞれのお人形様は木製の面と、藁や杉の葉といった自然の植物を使って作られています。
3体のお人形様それぞれに特徴がある
田村市船引町内の3カ所にまつられているお人形様は、それぞれ少しずつ表情や持ち物が異なります。見比べてみるのも楽しみの一つといえるでしょう。
今回は、実際に一体ずつ巡りながら、それぞれの特徴についてお伝えします。
屋形のお人形様
屋形のお人形様は、船引三春ICからほど近い、山あいの丘に鎮座しています。かつては場所と向きが異なっていたようですが、現在は公園内に西向きでまつられています。

入り口となるのは急な坂道。少し見落としやすいため、近くまで車で来たのなら、スピードを落として探してくださいね。道路向かいには催事の際にも使われる駐車スペースが設置されています。

坂を歩いて登りきると、開けた公園が現れます。そして公園の一角から小さく伸びるのぼり階段をゆきましょう。丘を回り込むようにして、階段を上ると、目の前には迫力ある大人形が現れます。

吊り上がった目に、剥き出しの歯。ふさふさとした髪とひげ。右手にはするどいナギナタをもち、左腰には刀を挟んでいます。
屋形のお人形様に使われている面は昭和35年製のもの。木彫りの面は高さ125センチメートルと大きく、鮮やかに彩色されています。支柱と枠は50年に一度取り換えるのが習わしとして伝わっているそうです。
屋形のお人形様
- 名 称:屋形のお人形様
- 住 所:〒963-4316 福島県田村市船引町芦沢粭田前1
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朴橋のお人形様
朴橋のお人形様は、県道113号(郡山大越線)に面した、なだらかな丘の中腹に鎮座しています。まるで人の営みを見下ろすように小高い場所に設置された姿は、まさに「守り神」の風格を見てとれます。
場所はわかりやすいですが、登り口の階段は少し急なので足元に注意しながら登りましょう。

登りきると杉林を背にして、腕を広げるお人形様が現れます。
口元はやや小さくも、色づいた歯は金歯にも見えます。頬の部分にひげはなく、少し顔まわりがすっきりとした印象です。
古い木面には安政元年(1854年)の銘がうたれてたことから、長い歴史をもつお人形様であることが伝わっています。

こちらにも詳細な情報の看板が設置されています。
朴橋のお人形様
- 名 称:朴橋のお人形様
- 住 所:〒963-4316 福島県田村市船引町芦沢朴橋
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堀越のお人形様
堀越のお人形様は、車通りも多い県道57号沿いの集落の一角、明石神社境内に鎮座しています。「最も住民の近くにいる」お人形様といえるかもしれません。

実は堀越のお人形様が現在の位置となったことには理由があります。
別所に鎮座していた堀越のお人形様は、明治40年に一度、その風習が絶えてしまったそうです。しかし風習は途絶えてしまったものの、お人形様に使われる木面だけは明石神社に大切に保存されており、平成の時代となってから地域住民たちが声をあげて風習を復活させました。

堀越のお人形様は、歩道から直接赤い橋を渡った先に鎮座しています。由緒ある神社の杉はどれも立派な風貌で、お人形様の雰囲気とマッチしています。

堀越のお人形様は、手にナギナタをもち、左腰に帯刀しています。しかし、くりっとした目鼻立ちに愛嬌があり、少しやわらかい雰囲気をもっているのも特徴です。
木面は、他2体のお人形様が現在つけているものよりも古く、おそらく江戸時代につくられたと考えられています。ケヤキの一枚板に一刀彫でつくられたとのことで、立体的な造形に驚かされます。
堀越のお人形様
- 名 称:堀越のお人形様
- 住 所:〒963-4204 福島県田村市船引町堀越明神前1−1(明石神社境内)
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実はお人形様は季節によって姿を変える

今日までその姿と信仰心を脈々と伝えてきたお人形様ですが、実はお人形様は季節によって姿を変えます。
お人形様を形づくる素材となっているのは自然の植物です。そのため、田村市のお人形様には毎年1度「お衣替え」をする習わしがあります。それぞれのお人形様のお衣替えを行うために、地域住民が集まって藁を編み、衣装や装飾品を新調し、髪とひげに使われる杉の葉を付け替えます。
お衣替えの時期は各お人形様によって決められており、例年4月~5月の間に3体すべてのお人形様は新しい姿に生まれ変わります。そのため、お衣替えをしたばかりのお人形様は、杉の葉が青々とした瑞々しい姿。そして冬が近づくにつれ、落ち着いた色へと変化していくのです。
田村市の歴史を見つめてきたお人形様
今回は田村市の魔除けの守り神「お人形様」についてピックアップしました。
かつて人々が疫病に怯えた時代に生まれた風習を、今に伝えるお人形様。現代もその荘厳な姿に人々は、無病息災の願いを託しています。あぶくま洞やカブトムシの王国ムシムシランドなど、自然を活かしたアクティビティが楽しめる田村市。訪れた際はぜひ、無病息災の願いを込めてお人形様に会いに行ってみてはいかがでしょうか。






















