
訛りやご当地ワードなど、言葉を知ると面白い!今日から使える「方言辞典」【福島県】
目次
福島県は、奥羽山脈と阿武隈高地によって三つの地域(会津・中通り・浜通り)に分かれ、それぞれが独特の文化と歴史を育んできました。その違いは言葉にも表れており、時として県内出身者同士でも「え?」と聞き返してしまうほど。
今回は、福島県の方言を解説し例文と一緒にご紹介します。
福島県の方言辞典:会津編

福島県内陸部の会津地方は、厳しい冬が訪れる豪雪地帯が広く広がるエリアです。歴史と伝統が今も色濃く残る会津地方の方言をいくつかご紹介します。
Q.「ごせやける」
「ごせやける」とは、腹が立つ状態を表す言葉です。地方によっては「ごせぇやける」や「ごしぇやける」になる場合があります。怒りの具合は、相当激しい状態です。ムカムカする、イライラするといった、居てもたってもいられないほどの怒りを感じている時に使います。
一説によると、語源は国語辞典に載せられた「後世腹がやける」という表現が変化したものと言われています。福島県だけでなく、栃木県の一部の地方でも使われる言葉だそうです。
例:んだこと言わっちゃら、ごせやけるわ。(そんなことを言われたら腹が立つよ)
Q.「なじょした」
「なじょした」は主に疑問形で使い、「どうだった?」「どうしたの?」と様子を聞く言葉です。相手を心配する気持ちがある場面でよく使われます。そのため「なじょした」と言われた側も、心があたたかくなる言葉です。
「なじょした」は会津地方に限らず、県内全域・東北の各地でも使われる言葉になっています。言葉は人の移動によって広まっていきますので、どのようにして広まっていったのか想像を巡らせてみるのもおもしろいものです。
例:そだ顔して、なじょした?(そんな顔をして、どうしたの?)
Q.「~くなんしょ」
「~くなんしょ」が語尾につくと、「~してください」と丁寧にお願いする意味になります。丁寧でありながらも、かしこまりすぎないので、人を場所に誘ったり行動を促したりする際に使っても上から目線になりません。
例:近くに来た時は、家さ寄ってくなんしょ。(近くに来た時は、家に来てくださいね)
Q.「あがすけ」
「あがすけ」は、主に会津地方で使われる非常に特徴的な方言で、“やんちゃ・いたずら好き・落ち着きがない子” を指す言葉です。
ときには「悪ガキ」「やんちゃ坊主」に近いニュアンスで使われることもありますが、基本的にはどこか愛嬌を含んだ、やさしい叱り言葉です。
例:あんた、またそんなことして!ほんとあがすけだなぁ。(あなた、またそんなことをして!まったくやんちゃなんだから。)
福島県の方言辞典:中通り編

福島県の中央部にあたり、県外からの人の往来が多い中通り。そのため、県内外の複数エリアの言葉がミックスした方言が生まれたとされています。
Q.「がおる」
「がおる」とは、病気や疲れで体調を崩して元気がない状態を指す言葉です。一説によると「病に臥せる(伏せる)」から派生した表現であると考えられています。ふらふらになるほど酷く弱った様子を表すことが多いです。
「がおる」は福島県だけでなく、宮城県や山形県、北海道の一部などでも使われる言葉のようです。発祥の地がどこであるかを特定するのは難しいですが、人の往来で広まっていった言葉の一つと考えられます。
例:うちのおっかぁが、熱中症でがおっちまってよ。(妻が、熱中症で伏せってしまったんです)
Q.「なげる」
「なげる」とは、標準語の「捨てる」の意味でつかわれることがあります。「ゴミを捨てる」ことを、ゴミなげと表現することがあるので、初めて聞いた方は一瞬混乱してしまうかもしれませんね。
例:そのゴミ、なげといて~(そのゴミを捨ててください)
Q.「はらくっちい」
「はらくっちい」とは、「お腹がいっぱい」の状態を表します。中通りの中でも、北部でよく使われる印象です。
満腹具合は、かなり高め。もう何も食べられないほどお腹がいっぱいの時に「はらくっちい~」と言い合うのが、福島らしい日常風景と言えます。
例:はらくっちくて、もう食わんにわ(お腹がいっぱいで、もう食べられません)
Q.「ごんぼほる」
「ごんぼほる」は中通りでよく使われる方言で、“意地を張る・すねる・ひねくれる” といった気持ちを表す言葉です。
とくに、子どもが思いどおりにならなくて黙り込んだり、
大人でも気持ちがこじれて会話に応じようとしない時などに使われます。語感としては少し強めですが、家庭内や近所づきあいでよく使われてきたため、どこか生活に根付いたあたたかい叱り言葉でもあります。
例:
そんにごんぼほってねで、ちゃんと言わんしょ。(そんなに意地を張らないで、きちんと言いなさい。)
尚、「ごんぼほる」は福島県会津地方以外にも北海道、青森県でも使われるますが会津地方の「ごんぼほる」は北関東由来ではないか?とされています。
福島県の方言辞典:浜通り編

太平洋に面し、温暖な気候の地域が多い浜通り地方。漁業が盛んな市町村が多いこのエリアでは、北部の相馬側・南部のいわき側とで言葉やイントネーションが少し変わってきます。
Q.「おだづ」
「おだづ」とは、「調子に乗る」という意味で使います。時に、しゃしゃり出るというニュアンスをもつこともあり、人をいさめたり注意したりする場面で耳にする言葉です。
キツめのニュアンスをこめる言葉のため、使い過ぎには注意したほうがよいかもしれません。
例:おだってんじゃねぇよ(調子に乗るな)
Q.「しゃあんめ」
「しゃあんめ」は、「仕方がない」という意味です。茨城県でも使われる言葉のようで、常磐のつながりからいわき市を中心に広まったと考えられます。
一見諦めを表す言葉ではありますが、ネガティブを深刻に捉えずに、妥協や肯定を含めた意味合いでも使われる印象です。
例:古い機械だから、故障しちまってもしゃあんめ。(古い機械だから、故障してしまっても仕方がないね)
Q.「ぶんず」
「ぶんず」とは、「くすんだ青っぽい紫色」のことです。浜通り南部を中心に、中通りにも使われている地域があります。語源は諸説あり、「ぶどう色」がなまったから、はたまた体を「ぶつけた」時にできる青あざの色だから、などと言われています。
例:転んで、ぶんずになったわ。(転んだので、あざが青紫色になっているわ)
Q.「くがす」
「くがす」は、福島県浜通りでよく使われる方言で、相手をからかったり、茶化したりする ときに使う言葉です。
とくに身近な人との会話で登場しやすく、やや親しみのある軽いニュアンスがあり、相手を否定したり見下す意味ではなく、
「ちょっとふざけすぎだよ」「そこまで言わなくていいよ」という、やんわりした注意や、笑いを含んだ指摘として使われる表現です。
例:そだごど言って、くがすなよ。(そんなこと言って、からかわないでよ。)
おもしろい方言がたくさんある福島!
今回は福島県の方言をいくつかご紹介しました。
厳しい自然環境があるからこそ、人々の結束が強くなり、各地に独自のコミュニティが発達する。福島の言葉は、地域の歴史を映す鏡です。ぜひ福島を訪れた際、福島県の出身者とお話する際は、その人の話す「言葉」に耳を澄ましてみると新鮮な発見があるかもしれません。
あったかい言葉がたくさんある福島を、好きになってもらえたらうれしいです。






















