岩手山は活火山!すそ野を黒く埋めつくす溶岩流「焼走り熔岩流」の景観に自然の脅威を実感【岩手県八幡平市】

岩手県内最高峰の岩手山(標高2,038m)は、日本百名山に選定されている岩手のシンボルです。

その北東斜面に「焼走り(やけはしり、やけばしり)熔岩流」と呼ばれる、18世紀に山腹から流出した広大な溶岩流があります。

溶岩流には観察路が設けられていて、積雪の冬を除いていつでも溶岩流の上を散策することができます。


東西に連なる火山の集まりだった岩手山

岩手山
盛岡市の渋民地区にある「道の駅 もりおか渋民」から見る富士山のような稜線の岩手山

岩手山は実は一つの火山ではなく、秋田県境から東に13kmにわたって25の火山が連なる火山群で、「岩手火山群」とも呼ばれています。

西側3分の2は約30万年前に活動していた「西岩手火山」で、その外輪山の東端に、現在の山頂となっている「東岩手火山」が誕生しました。

そのような生い立ちから、岩手山は見る方向によってさまざまな姿を見せてくれます。

岩手山の別名その1:南部片富士

南部片富士
盛岡市内から見た「南部片富士」、左側(西岩手山)がゴツゴツしているのがわかる

岩手山はその形や残雪模様などから別名で呼ばれることがあります。

東側からの姿は両側に長い裾野を引く富士山のようですが、南東の盛岡市付近からは西側がゴツゴツとした稜線のため「南部片富士」と呼ばれます。

岩手山の別名その2:岩鷲山

春の雪解け時に盛岡市付近から山頂を見ると、雪が消えて露出した山肌の形が、大きく羽ばたく鷲のように見える時期があります。

このことから岩手山は「岩鷲山(がんじゅさん)」とも呼ばれることがあります。


「鬼神たちの棲みか」焼走り熔岩流

焼走り熔岩流
溶岩が連なる「焼走り熔岩流」と岩手山、その形は富士山によく似ている

山の北東側中腹に、宮沢賢治が「鬼神たちの棲みか」と詩に書いた「焼走り熔岩流」があります。

この溶岩流は、標高850mから1,250m付近にかけて直線状に存在している高さ4~5m・直径4mほどの火口群から噴出したものです。

長さ約4km、深さは10mもあり、149.63ヘクタールにおよぶ広大な面積の溶岩流で、火口群から扇状に拡がっています。

なお、1952年(昭和27年)に国の特別天然記念物に指定されましたが、その際の名称は「溶岩流」ではなく「熔岩流」として登録されています。

学術的に貴重な焼走り熔岩流

走り熔岩流

溶岩流が誕生した噴火が発生したのは1719年(享保4年)とも、1732年(享保17年)とも伝えられていますが、はっきりわかっていません。

溶岩流は「含かんらん石紫蘇輝石普通輝石安山岩」とされ、粘性が大きいとされている溶岩ですが、ここの溶岩は粘性が小さいタイプとされています。

雪が積もっている部分のすぐ下に噴火口があり、そこから流れ出た溶岩の軌跡がわかる

そのため、噴火時は真っ赤な溶岩流が岩手山の斜面を高速で流下し、それを見た当時の人々が「焼走り」と呼んだのが名の由来とされています。

見渡す限り溶岩、また溶岩の散策路

溶岩が流出した約300年前から風化が進んでおらず、樹木がほとんど生えていないため、冷え固まった溶岩を観察する貴重な場となっています。

溶岩流でたくましく生きる苔や鉱山植物たち

走り熔岩流
溶岩のわずかな隙間に根を張る若い松

夏は40℃に達し、冬はマイナス20℃となる過酷な環境のなかで、それでも一部にわずかな土壌が形成されていてポツポツと草木が育っています。

走り熔岩流
苔類や地衣類が多い箇所に立てられた解説

また、溶岩の表面にたくましくへばりついている姿を見せているのは、シラガゴケ・ハイイロキゴ・シモフリゴケなどの苔(コケ)類や地衣類です。

これらの苔類や地衣類もまた、噴出した溶岩が冷えて風化し、土壌となって植物が生える前段階を観察することができる貴重な学術資料です。


溶岩が流れる凄まじさを身近に肌でられる「焼け走り自然観察路」

焼け走り自然観察路
チェーンで柵が設けられている観察路

岩手山焼走り国際交流村近くの「焼走り登山道」入口付近から、展望台がある出口までの約1kmが、溶岩流の上を歩ける自然観察路になっています。

観察路の途中、各所にこのような案内板がある

柵で示された観察路の両側はゴツゴツした溶岩がむき出しになっていて、宮沢賢治が「鬼神たちの棲みか」と詩に読んだ景色が広がっています。

新奥の細道
観察路の終点になっている展望台と、周辺の散策路「新奥の細道」の案内図

散策路の終点に展望台があり、そこに焼走り熔岩流を訪れた宮沢賢治の詩が刻まれた石碑が建てられています。

鎔岩流
宮沢賢治の詩が刻まれた石碑

この自然観察路は一応道になっているとはいえ、ゴツゴツした溶岩がむき出しになっているので、サンダルなどでなく厚底のしっかりとした靴がおすすめです。

熔岩流
展望台から見た熔岩流、この場所が溶岩流の最終到達点

ちなみに、観察路入口にある「岩手山焼走り国際交流村」は以前、入浴・食事・宿泊ができて、キャンプ場や天文台などが併設されているレジャー施設でした。

岩手山焼走り国際交流村
休業中の岩手山焼走り国際交流村

しかし、管理業者が撤退したことで2025年10月20日から休業状態になっています。

なお、村を所有している八幡平市では再開の可能性を検討しているとのことです。

焼走り熔岩流 <Information>

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焼走り熔岩流を訪れた際に寄りたい、八幡平市のおすすめグルメをご紹介!

らんぷ
八幡平市柏台から見る岩手山は右側がゴツゴツしている

熔岩流から車で10分以内のエリアには多くの飲食店がありますが、それらの中からとくにおすすめの2店をご紹介します。

なお、記事中に掲載した値段(税込み)は、2025年11月中旬時点のものです。

Bar Restaurants らんぷ(八幡平市柏台)

らんぷ
カウンターとテーブル席、後ろに大きなスクリーンがあって、スポーツ観戦などにも対応している

熔岩流の北にある柏台(かしわだい)には、今はなき松尾鉱山の硫黄を運ぶ、松尾工業鉄道の東八幡平駅がありました。

松尾工業鉄道がまだ走っていた1969年の創業で、遠方から訪れるリピーターが多い人気店です。

らんぷ
お店の前は7台分の駐車場

私が訪問した金曜日のお昼時は、駐車場(7台)は満車で、岩手や盛岡のほかに秋田ナンバーも駐車していました。

らんぷ
半個室のテーブル席、奥の小上がりには6人掛けのテーブルが2つ

落ち着いた雰囲気の店内は完全禁煙で、席数はカウンターやテーブルに小上がりなど40席ほどあって、個室もあります。

らんぷ
豊富なメニューの一部

お店イチ押しのアンガス牛や黒毛和牛のステーキのほかに、各種定食・トルコライス・ピザ・ラーメンなど、メニューは豊富で多彩で多国籍です。

リピート率No.1の「鶏唐わさび定食」(900円)

鶏唐わさび定食
唐揚げのボリュームとてんこ盛りのご飯にびっくり

衣サクサクで大きくジューシーな唐揚げに、ワサビの香りとマヨネーズの酸味が食欲をそそるソースがたっぷりかけられています。

トマトやレタスなどの新鮮野菜とポテトサラダに、小鉢(きんぴら)・浅漬け・ごはん・吸い物(鶏出汁と魚出汁にかき玉)が付いている定食です。

女性に人気の「ロコモコ」(1,100円)

らんぷ
カレーのような色をしたドミグラスソースが最高!ご飯の上のハンバーグから目玉焼きが落ちそう

プレートに盛られた白ご飯の上に大きなハンバーグと目玉焼きが乗っかり、コクのある濃厚なドミグラスソースがたっぷりかけられています。

ゴロンと大きなハンバーグは、つなぎが少なく肉本来の味が楽しめて、たっぷりかけられたドミグラスソースとの相性抜群です。

このドミグラスソースがコク深い絶品で、白ご飯と混ぜて食べると上等なハヤシライスのような味わいを楽しめます。

食後の別腹はこれ!極上スイーツ「八幡平 プレミアム 雲上チーズケーキ」(550円)

雲上チーズケーキ
しっとりして食べ応え十分のチーズケーキは絶品でリピ確定!

とても濃厚で満足感の高いベイクドチーズケーキは、店主さんが各地のチーズケーキを食べ歩いて研究した末に完成させました。

とにかくチーズの味と香りが濃厚で、ブルチーズのようなニュアンスが感じられるほどの熟成感もあり、ぜひ味わっていただきたい逸品です。

名前は松尾鉱山跡地の雲上の風景にちなんで名付けられ、ふるさと納税の人気返礼品としても使われています。

ホールでの購入は少々お値段が高めですが、お店ではピースを550円で提供しています。

Bar Restaurants らんぷ <Information>

  • 店名:Bar Restaurants らんぷ
  • 所在地:岩手県八幡平市柏台2丁目3-3
  • 電話番号:0195-782066
  • 営業時間:11:00~15:00、18:00~20:00
  • 定休日:月曜
  • URL:Bar Restaurants らんぷ 公式サイト

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Nollegretto(ノレグレット)

ノレグレット
写真の後ろも駐車場で、観光バスが何台も止まれそう

八幡平市役所近くの国道282号沿いにあるソフトクリームとジェラートのお店で、地元にある藤田牧場の美味しい生乳で作られています。

ノレグレット
店内の明るいイートインスペース

トッピングの素材も地元八幡平市のものが使われていて、店名の由来は地元の方言で「末広がりにいっぱいにある」という意味とのことです。

ノレグレット
ジェラートは10種類のフレーバー

ジェラートは2個盛り408円、3個盛り499円、4個盛り597円、5個盛り706円で、今回は次の4種のジェラートを味わいました。

ノレグレット
搾りたてミルク・ラムレーズン・いちごの3個盛
  • ラムレーズン(+60円):自家製ラムレーズン(アルコール度数0.71%)を使用
  • 搾りたてミルク:牛乳本来の甘味と旨味と風味が感じられる
  • いちご(+20円):地元産の酸味と甘みのバランスが良い「紅ほっぺ」
  • 玄米(+20円):香ばしい玄米と米粉で作られた「ぎゅうひ」入り
ノレグレット
ソフトクリームとジェラートの両方を楽しめるノレグレットセットが人気

ちなみにお店のイチ押しは「ノレグレットセット」(662円)で、ジェラート2個盛りとソフトクリームの両方を味わえます。

Nollegretto(ノレグレット) <Information>

  • 店名:Nollegretto(ノレグレット)
  • 所在地:岩手県八幡平市平舘第16地割107番地
  • 電話番号:0195-68-7776
  • 営業時間:月~金 11:00~17:00、土・日・祝 10:00~17:00
  • 定休日:なし
  • URL:Noegretto(ノレグレット) 公式サイト

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まとめ

焼走り熔岩流は地球の息吹きとも言える、噴火の凄まじさを肌で感じることができる国内でも貴重な自然遺産です。

見渡す限り一面のゴツゴツした溶岩流には、得体の知れぬ恐ろしさと、たくましい生命の始まりが共存しているかのような不思議さがあります。

この焼走り熔岩流のある八幡平市は、「平成の大合併」で西根町・松尾村・安代町が合併してできた広く新しい市です。

スキー場や温泉が多いリゾート地で、古くから地元で愛されてきた飲食店や、新しいコンセプトのお店が混在していて食べ歩きを楽しめます。


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