【青森県下北半島】ジオパーク下北半島。本州最北端の半島に湧く豊かな温泉

下北半島は本州の最北端に位置する半島で、霊場「恐山」(おそれざん)や尻屋崎(しりやざき)の「寒立馬」(かんだちめ)、天然記念物「仏ヶ浦」(ほとけがうら)、大間(おおま)のマグロ、陸奥湾(むつわん)のホタテ、さらには世界で最も北に住む人間以外の霊長類「北限のニホンザル」など多くの見どころや唯一無二の海産物の産地として最近注目されている、地球がもたらしてくれた大きな公園ジオパークです。

恐山の外輪山と宇曽利湖。手前は賽の河原 ©norijun

下北半島の中心には活火山の恐山(最高峰は標高878m)がそびえています。火山は時に火を噴き人々はその災害に大変苦しめられてきました。しかし、火山は恵みももたらしてくれます。その代表的なものが温泉です。下北半島には、効能豊かな温泉があちらこちらに湧いています。

恐山菩提寺境内に湧き出す酸性の温泉

賽の河原からは高温の蒸気とともに温泉が湧き出している。この温泉は使われていない ©norijun

恐山の中央部には直径3kmのカルデラ湖(宇曽利湖/うそりこ/正式名称は宇曾利山湖)があり、その北岸にはところどころに硫化水素を含む高温の蒸気が噴出し、草木が生えない荒涼とした大地、賽の河原(さいのかわら)が広がります。

賽の河原には大量の熱湯が湧いています。しかし、この熱湯を温泉として使っている施設はありません。しかし恐山を霊山とする『恐山菩提寺』には境内から湧き出す温泉を使った施設があります。この温泉は明治期から昭和の初期にあった硫黄採掘鉱山から採掘時に湧き出したものです。

恐山菩提寺境内に建つ日帰り温泉施設

「恐山菩提寺」内の日帰り入浴施設。女性専用の「冷抜えの湯」 ©norijun

『恐山菩提寺』の境内には4軒の湯屋が建っています。明らかにお寺の建物とは違う木造平屋の小屋で、「冷抜(ひえ)の湯」「古滝(こたき)の湯」「薬師(やくし)の湯」「花染(はなぞめ)の湯」です。これらは日帰り入浴ができる施設で、「冷抜の湯」は女性専用、「古滝の湯」が男性専用になっていて、「薬師の湯」は男女入れ替え制、「花染(はなぞめ)の湯」は混浴になっています。

温泉は強酸性で温度はかなり高め。有毒ガスも含まれているので窓は開けるほうが安全 ©norijun

泉質は含鉄・硫黄-ナトリウム-塩化物泉で、強酸性の温泉です。色は少し緑がかった灰色の濁り湯で、時間、気温、天候等で少し変化します。源泉温度は70℃以上と高く、湯船にはそのままかけ流されています。適温で入れるように湯船に流されるお湯の量で温度を調整していますが、それでもかなり熱いです。

ただし、有害な硫化水素ガスを多めに含んでいるため、入浴の際は窓を開けることをおすすめします。温泉はお寺への入山料はかかりますが、温泉入浴は無料です。

『恐山菩提寺』の宿坊『吉祥閣(きっしょうかく)』にも温泉が引かれています。新しい建物で、部屋もきれいで設備等が整った宿泊施設です。宿坊とはいえ、観光目的でも泊まれます。

INFORMATION


  • 施設名称:恐山菩提寺
  • 住所:青森県むつ市田名部宇曽利山3-2
  • 電話番号:恐山寺務所 0175-22-3825・宿坊「吉祥閣」 0175-22-3826
  • 開山期間:5月1日~10月末日
  • 入山料:おとな 500円、小中学生 100円
  • URL:恐山菩提寺

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下北半島最大の温泉郷、下風呂温泉郷

日帰り入浴施設「海峡の湯」。大湯と新湯が楽しめる ©青森県

「下風呂温泉郷(しもふろおんせんきょう)」は、下北半島北東部海岸線沿いの風間浦村(かざまうらむら)に湧く温泉です。歴史は古く室町時代から傷に効く温泉として知られていました。源泉は新たに発見されたのも含め4本、海岸線にありながら火山の影響を残す硫化水素(硫黄)を含む温泉です。宿は8軒と下北半島最大の温泉街を形成しています。

INFORMATION


  • 施設名称:下風呂温泉郷
  • 住所:青森県風間浦村下風呂字下風呂
  • 電話番号:0175-35-2010(風間浦村商工会)
  • 温泉:

    浜湯系A(白濁)/ホウ酸-食塩硫化水素泉(硫黄泉) 源泉温度:約47℃

    浜湯系B(白濁)/ホウ酸-含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉(硫化水素型)

    大湯系(白濁)/酸性・含硫酸-ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉(硫化水素型) 源泉温度:約66℃

    新湯系(透明に近い)/含硫黄-ナトリウム-塩化物泉(硫化水素型) 源泉温度:約95℃

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日帰り温泉施設「海峡の湯」は、古くからある大湯と新湯から温泉を引いていて、下風呂を代表する2つ源泉を楽しめます。2020年にオープンした新しい施設で、新鮮な海鮮料理が食べられる食堂も併設されていて観光客ばかりでなく、宿泊客にも人気の温泉施設です。

新しくなった「海峡の湯」 ©青森県

INFORMATION


  • 施設名称:日帰り温泉施設「海峡の湯」
  • 電話番号:0175-33-2116
  • 営業時間:

   4月~10月/7:00~20:30(最終受付20:00)

   11月~3月/8:00~20:30(最終受付20:00)

  • 定休日:第2・4火曜日、1月1日

   ※年末年始・GW・お盆等の長期連休日は変更あり

  • 入湯料:

   普通券/450円(村民でない中学生を除く15歳以上の者)

   村民券/150円(風間浦村民で中学生を除く15歳以上70歳未満の者)

   村民敬老券/100円(風間浦村民で70歳以上の者)

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渓谷が美しい薬研渓谷の温泉、薬研温泉郷

青森県屈指の癒やしのスポットといわれる薬研渓流沿いに湧く薬研温泉郷。大畑川(おおはたがわ)沿いには遊歩道が設けられ、「薬研温泉」その上流約2.5kmに「奥薬研温泉」があります。

落ち延びてきた豊臣家の家臣が発見した「薬研温泉」

泉質は単純温泉。山間に湧く「薬研温泉」 ©青森県

「薬研温泉」(やげんおんせん)は、1615年の徳川家康と豊臣秀頼(とよとみひでより/豊臣秀吉の3男)が戦った最後の戦い“大坂夏の陣”(この戦いで豊臣家は滅亡)で、敗走した豊臣方の武将が落ちのびてきた先で発見したといわれている山間の温泉です。

源泉は単純温泉で、温泉施設は大畑川沿いに2軒の宿泊施設があります。

  • 薬研温泉
  • 電話番号:0175-34-3500(大畑町観光協会)
  • URL:薬研温泉

かっぱ伝説が語り継がれる「奥薬研温泉 元祖かっぱの湯」

1,000年以上前に発見されたといわれる伝説に語り継がれる「元祖かっぱの湯」 ©青森県

「奥薬研温泉」には『元祖かっぱの湯』と『夫婦かっぱの湯』という2か所の日帰り温泉施設があります。

『元祖かっぱの湯』は、無料の露天風呂です。“かっぱの湯”といわれる理由は、1160年ほど前に恐山を開山した円仁慈覚大師(えんにんじかくだいし)が薬研渓流で大けがをしたときに、かっぱが背負って近くに湧く温泉に運んでくれて傷を治した、という伝説に基づいたものです。以前は混浴風呂でしたが現在は入浴時間が男女に分かれています。

INFORMATION


施設名称:奥薬研温泉 元祖かっぱの湯

  • 泉質:単純温泉
  • 住所:青森県むつ市大畑町赤滝山国有林
  • 電話番号:0175-34-2008
  • 営業時間:

    男性利用時間/7::00~9:00、11:10~13:00、15:10~17:00

    女性利用時間/9:10~11:00、13:10~15:00

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設備の整った露天風呂だけの日帰り温泉「奥薬研温泉 夫婦かっぱの湯」

屋根があり雨でも安心。男女別露天風呂だけの日帰り入浴施設「奥薬研温泉 夫婦かっぱの湯」 ©青森県

『奥薬研温泉 夫婦かっぱの湯』は、大畑町によって整備された「奥薬研修景公園」内にある「奥薬研レストハウス」に併設されている露天風呂だけの日帰り温泉です。男女別の露天風呂が備えられていて、男女ともいつでも入れます。「奥薬研レストハウス」には、レストランや足湯もあります。

INFORMATION


  • 施設名称:奥薬研温泉 夫婦かっぱの湯
  • 泉質:単純温泉
  • 住所:青森県むつ市大畑町赤滝山1-3(奥薬研レストハウス)
  • 電話番号:0175-34-2008
  • 営業時間:

    4月1日~4月30日/9:00~17:00

    5月1日~8月31日/9:00~18:00

    9月1日~10月31日/9:00~17:00

    11月1日~3月31日/ 10:00~17:00

  • 入浴料:おとな 230円、小中学生 110円、小学生以下 無料
  • 定休日:水曜日、12月29日~1月3日、11月~4月末までの毎週火曜日
  • URL:奥薬研温泉 夫婦かっぱの湯

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美しい渓流沿いの源泉かけ流しの日帰り温泉「ふれあい温泉 川内」

「ふれあい温泉 川内(かわうち)」は、下北半島南部、むつ市川内町(かわうちまち)の中心部から川内川を12kmほど上った渓流沿いにある日帰り温泉施設です。周辺には散策路が設けられておいて、散策後の入浴におすすめです。

INFORMATION


  • 施設名称:ふれあい温泉 川内
  • 泉質:ナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉
  • 泉温:52.6℃
  • 泉質別適応症:動脈硬化症、きりきず、やけど、慢性皮膚病
  • 源泉かけ流し
  • 住所:青森県むつ市川内町家ノ辺107-4
  • 電話番号:0175-42-5245
  • 営業時間:9:00~20:00(受付19:30まで)
  • 入浴料:380円
  • 定休日:月曜、毎月最終金曜

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風間浦村の海岸沿いに湧く桑畑温泉の日帰り入浴施設「湯ん湯ん」 ©青森県

下北半島にはほかにも宿泊施設としては「むつ矢立温泉」(むつ市)、石神温泉(むつ市)、日帰り温泉施設の「桑畑温泉」(風間浦村)、大間温泉(大間町/おおままち)などがあります。下北半島観光の目的の1つに、温泉めぐりを加えてはいかがでしょうか。

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