
東北の鉄道廃線跡を楽しむ!レールバイクやトロッコで線路を走ってブルートレインに泊まれる小坂鉄道(前編)【秋田県】
目次
秋田県北東部にある小坂鉄道の廃線跡は、「樹海ライン」(秋田県道2号・大館十和田湖線)に沿って線路がほぼ残されていて、当時の面影が感じられます。
大舘駅跡から小坂町との境界までの建物や線路の敷地は大館市に無償譲渡され、小坂駅跡敷地は町が賃貸契約を交わし、駅舎や車両などが無償で提供されました。
それらの施設跡は資料館や公園などになり、残された線路はその上をレールバイクやトロッコなどで走って楽しめる体験型のアトラクションとして整備されています。
なお記事中の料金などは、2025年9月21日時点の価格です。
ローカル線の中のローカル線!小坂鉄道

大館市と小坂町を結ぶ、正式名称を「小坂製錬小坂線」と称して今も小坂町にある小坂製錬株式会社が運営していた、路線距離22.3kmのローカル貨物鉄道路線です。
小坂鉱山の金・銀・銅・亜鉛などの鉱石輸送が始まりで、鉱山が閉山してからは同社が製造する濃硫酸の輸送に利用され、同時に旅客営業も行われていました。
1994年10月に旅客営業が廃止された後も濃硫酸を輸送していましたが、2008年3月にはそれも休止となり、2009年4月1日に全線が廃止されました。
大舘・小坂鉄道レールバイク

大館市から樹海ラインを小坂町に向かう途中、雪沢大橋の手前にある雪沢温泉「清風荘」の前が出発点として整備されていて、プレハブ小屋、トイレ、駐車スペースがあります。

このレールバイクは2011年に公開された、地域活性化のための映画の中に登場していましたが、その時はまだ架空のアトラクションでした。

この映画「ハナばあちゃん!!〜わたしのヤマのカミサマ〜」が公開された直後、東日本大震災が発生し、秋田県は直接の被害こそ少なかったものの観光客が激減してしまいます。

そこでこの年の10月に観光庁の社会実験としてレールバイクが取り上げられることになり、小坂鉄道廃線後の線路の活用方法として期待されました。

この試みが好評で、2013年からはNPO法人の運営で毎年運行されるようになり、今では海外からこれを目当てに訪れるほどの、人気の観光アトラクションです。
自然の中を走る片道約2kmの林間コース

常設の「長木渓谷コース」は、樹海ラインと渓谷沿いを小坂方面に向かう2kmほどの勾配が少ない単線の線路で、体力や混雑の度合いで変わりますが30~40分ほどで往復します。

コース途中には小雪坂鉄橋や小雪沢駅跡などの見どころがあり、長木渓谷の景観を楽しみながら風を全身に受けて林間を走り抜ける爽快感が最高です。

周囲に民家が少ない林間コースですが、スタッフの動力車が折り返し地点に先行していてバイクを反転してもらえるほか、何かあればすぐに駆け付けてくれます。

なお、これまで6~7月末は出発点から逆(大舘方面)に向かう約4kmの「ダブル鉄橋コース」での運行でしたが、現在は通行できない箇所があり休止中です。
バリエーション豊富なレールバイク

レールバイクは、動力車が引っ張ってくれる1号車から、電動アシスト付きの14号車まで車両数とバリエーションが豊富で、乗車人数や体力に合わせて選べます。

なお運行期間は4月中旬から11月下旬とされ、2025年は4月12日(土)から11月24日(日)までの間の運行が予定されています。
WEB予約が可能で、料金は2人乗りで1台3,500円(税込、スタッフが撮影してくれる記念写真付き)です。
大舘・小坂鉄道レ―ルバイク <Information>
- 施設名称:大舘・小坂鉄道レ―ルバイク
- 所在地:秋田県大館市雪沢大滝30-2
- 電話番号:0186-50-2555
- 営業時間:8:30~16:30(レールバイクは9:00~16:00まで60分刻みで運行)
- 運行期間:2025年4月12日(土)〜11月24日(月祝)
- 運行便数:1日8便(10月20日より最終便が運休となり1日7便)
- 定休日:なし
- URL:大舘・小坂鉄道レ―ルバイク 公式サイト
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「秋田犬の里」と「鉄道パーク」(小坂鉄道大舘駅跡)

秋田犬の象徴的存在、「忠犬ハチ公」の故郷として知られる大舘には、JR大舘駅に隣接して小坂鉄道始発の大舘駅がありました。

その大舘駅跡地には、かわいい秋田犬を見られる展示室やミュージアムなどがある「秋田犬の里」が建てられていて、入場無料で鉄道パークを眺められるテラスや、秋田犬グッズや地元の名物などのお土産品コーナーがあります。

また、その敷地内には「鉄道パーク」が整備されていて、残されている線路の上を「手こぎトロッコ」に乗って走るアトラクションが人気です。

小坂鉄道の廃線跡を走る「手こぎトロッコ」

「秋田犬の里」内の管理事務室窓口で乗車券を購入して、駐車場から少し歩いたところに「手こぎトロッコ」の発着所があり、そこで順番にトロッコに乗せてもらえます。

台車の真ん中にある、井戸のポンプのようレバーを上げ下げすると動く仕組みで、走り始めはけっこう力が必要なので、大人2人でこぐのがおすすめです。

300メートルの単線コースを折り返しますが、スタートからコースの中間地点までは軽い上りで、立ちこぎをして力を入れないとなかなか進みません。

やがてスピードがのると座ったままレバーを上下するだけで進むようになります。
折り返し点からは快適な下り坂

そして、折り返し点からの帰り道は下りになるため、軽い力で風を切ってグングン進むのでとても爽快です。
スタート地点と折り返し地点および中間地点には係員が待機していて、何かあればすぐに駆け付けてもらえるので安心して乗車できます。

トロッコは毎年4月下旬から11月上旬ごろまでの土・日・祝の10時から16時の営業で、1台に4人まで乗車できて、料金は1人1回200円です。

トロッコの線路沿いに、小坂鉄道の歴史が描かれた展示パネルが建ち並ぶ「鉄道パーク」があって、トロッコに乗りながら小坂鉄道の歴史を知ることができます。
昔懐かし東急の「青ガエル」

また、芝生広場にはかつて渋谷駅を走っていた東急電鉄の古い5000系車両、通称「青ガエル」が展示されていて無料で車内を見学できます。
カエルに似たかわいらしい姿で人気を博した車両です。

ハチ公が上野教授の帰りを待った、渋谷駅に乗り入れている東急電鉄の古い車両で、渋谷区に寄贈された後、昔の渋谷駅がモチーフの「秋田犬の里」に贈られました。
秋田犬の里(鉄道パーク)<Information>
- 施設名称:秋田犬の里(鉄道パーク)
- 所在地:秋田県大館市御成町1丁目13-1
- 電話番号:0186-59-4649
- 開館時間:9:00~17:00(秋田県犬展示室 9:30~16:45)
- 青ガエル見学時間:9:15~16:45(4月下旬~11月下旬)
- 手こぎトロッコ:10:00~16:00(2025年の営業期間は4月26日~11月3日)
- 休館日:12月31日、1月1日
- URL:秋田犬の里(鉄道パーク) 公式サイト
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大館のグルメといえば、「花善」の鶏めし!

JR大舘駅前にある「花善」(はなぜん)の鶏めしは、秋田県を代表するロングセラー駅弁として地元でも愛されていますが、花善本店の食事処で暖かい鶏めしを味わえます。

食事処では御膳の形で提供され、稲庭うどんやきりたんぽ、比内地鶏塩ラーメンやざるそばとのセットに加え、鶏めしチャーハンや比内地鶏そぼろ丼などもあります。

筆者のおすすめは「鶏めし出汁茶漬け」で、噛めば噛むほど旨味が涌く鶏めしの甘辛い味わいを楽しみながら、鶏出汁をかけてお茶漬けとしても味わえるコスパの高いメニューです。

なお、連れが頼んだセットの「比内地鶏塩ラーメン」は、比内地鶏の旨味たっぷりのスープが美味しく、生姜の香味油による味変も楽しめて、こちらもおすすめです。
花善 <Information>
- 施設名称:花善
- 所在地:秋田県大館市御成町1丁目10-2
- 電話番号:0186-43-0870
- 営業時間:御食事処 10:00~15;00(L.O.14:30)
- 営業時間:ギャラリー&御土産処(2F)10:00~15:00
- 営業時間:弁当販売処 6:30~19:00(WEB予約可、詳細は公式サイトをご参照ください)
- URL:花善 公式サイト
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まとめ
この記事では、大舘市内にある2つの小坂鉄道関連おすすめスポットを訪れて体験した、廃線跡をたんのうするレールバイクとトロッコをご紹介しました。

取材後は「秋田犬の里」で秋田犬にご挨拶をして、花善で予約していた「鶏めし弁当」をゲットし、「樹海ライン」を東に向かい旧小坂駅跡を目指します。
今宵のお宿は、懐かしの寝台特急「あけぼの」のA個室です(後編に続く)。