
東北六県ご当地ラーメン食べ歩き!製鉄を支えた釜石ラーメン【岩手県釜石市】
目次
釜石は岩手県の中でもとくに「ラーメン激戦市」として知られ、市内の中華専門店、食堂、そば・うどん屋など27店が美味しい「釜石ラーメン」を提供しています。
また、2023年には釜石を舞台にした映画「釜石ラーメン物語」が公開されて話題になりました。
この記事は、それらのお店の中から選んだ2店のラーメンを実食したレポートです。
なお、記事中の価格は2025年10月末時点のものです。
製鉄所と漁港が支えた「ラーメンの街」釜石

昭和30年頃、明治から続く鉄鋼業や漁業が盛んで賑わっていた釜石の街には、「ハモニカ長屋(六間長屋)」と呼ばれる製鉄所の社宅がたくさんあり、給料日に当時一杯30〜50円だったラーメンを社宅に出前してもらい、家族全員で食べるのが楽しみだったそうです。
さらに従業員が近くのラーメン屋で昼食をとるなど、製鉄所の存在が釜石ラーメンの発展に結びついたとされています。
また、漁師たちが大漁によってお金が入り繁華街に繰り出した締めには、さっぱりで味わい深く注文して直ぐに出てくるラーメンが歓迎され、ファストフードとして愛されたことも発展に貢献したと言われています。
釜石ラーメンの特徴とは?

程よくコシのある「極細の縮れ麺」と「琥珀色に透き通った醤油味の淡麗なスープ」が釜石ラーメンの特徴で、ラーメンに入れる具財はチャーシュー・ネギ・メンマ・海苔とシンプルです。
現在、市内で釜石ラーメンを提供している店には中華専門店・一般食堂・そば屋・うどん屋などがあり、麺とスープにトッピングは、各店舗ごとに違いがあり、それぞれの個性を競っています。
釜石ラーメンの振興と地域の活性化を担うのれん会

2011年3月10日、市内のラーメン店経営者により「のれん会」の設立が決まりましたが、その翌日に東日本大震災が発生、20店のラーメン店が被災してしまいます。
しかし、「のれん会」設立への情熱は消えず、2011年11月に22のラーメン店によって正式に設立されたのでした。
現在はさらに軒数が増えて27店の飲食店が加盟して、釜石市を「ラーメンの街」として全国に知らしめようと頑張っています。
「のれん会」では定期的に「釜石ラーメンマップ」を発行して加盟店の紹介をしていて、どのお店のラーメンも個性があって甲乙つけ難い美味しさです。
これぞ王道の味わい!新華園本店の元祖釜石ラーメン!

お店は市内の目抜き通りにあり、釜石市民ホール「TETTO」の向かい側です。

店内は5~6人ほどのカウンターと4人がけのテーブル席4卓ほどあり、「釜石ラーメン」の特徴でご紹介したように注文してからわずか5分ほどで目の前に丼が置かれます。

ラーメン(700円)のスープは透きとおった黄金色で、どこかホッとする優しさを感じる鶏出汁の醤油味、純粋に鶏出汁の風味を楽しめる好感度のスープです。
また、細縮れ麺の茹で加減がやや固めで、固めが好きな私の好みにぴったりの美味しい麺でした。
具はいたってシンプルで、たっぷりのネぎに細切りのメンマが5~6本、味付けがしっかりした美味しいチャーシューが2枚麺の上に乗っています。
スープの塩加減がしょっぱ過ぎず甘過ぎずちょうど良く、いくらでも飲める感じでアッというまに完食してしまい、もう一杯食べようかと本気で迷いました。

無料駐車場はお店の裏側にあって、5台から6台収容との情報がありますが、上手に駐車すれば10台くらいはとめられそうな広さです。
新華園本店 <Information>
- 店名:中国料理 新華園本店
- 所在地:岩手県釜石市大町2丁目1-20
- 電話番号:0193-22-1888
- 営業時間:11:00~15:00、17:00~20:00
- 定休日:火曜日、第3水曜日
Google Map
道の駅でもしっかりしたラーメンを味わえる!道の駅 釜石仙人峠

こちらの道の駅では食堂で釜石ラーメン(550円)を提供しています。
こちらのラーメンも具はシンプルで、脂身と赤身のバランスが良く美味しいチャーシュー2枚と、太目で柔らかいメンマが5~6本入っています。

たっぷりのネギが浮いたスープは少し濃いめの味付けで、鶏出汁がベースとなっているほかに煮干しと思われる魚系出汁の風味がやや強めです。
麺は川喜製麺製の細縮れ麺で、新華園本店と比べると少し太く、もちもちで柔らかめの茹で加減でした。

道の駅の中の食堂はやや狭く、一度に大勢が座るのは難しいですが「ラーメン優先席」が設置されていて、ラーメンを注文した客が優先的に座れます。
また、天気が良く暖かい日ならば、食堂の外に置かれているテーブルで食べるのもおすすめです。
釜石ラーメンの後に食べたい「甲子柿仙人プレミアムソフト(400円)」

以前にソフトクリーム記事でご紹介したミルク風味が濃厚なソフトクリームに、釜石名産の「甲子柿(かっしがき)」のシロップがたっぷりかけられ、香りほどよく自然な甘さで柿好きにはたまらない逸品です。
なおこちらの道の駅では、地元醤油が使われたソフトクリームも販売されていて人気があります。

今回訪問したのがちょうど甲子柿の収穫時期だったので、道の駅の売店内に特売コーナーが設けられていました。
甲子柿は約1週間ほど煙で燻されてから出荷されるそうですが、初めて見た甲子柿の色合いはまるでトマトのような鮮やかな赤色です。

そのためか、売り場に「これは甲子柿です、トマトではありません」と書かれたプレートが置かれていて、ほっこりさせられたのでした。
道の駅 釜石仙人峠 <Information>
- 施設名称:道の駅 釜石仙人峠
- 所在地:〒026-0055 岩手県釜石市甲子町第7地割155-4
- 電話番号:0193-27-8530
- 営業時間:売店 9:00~18:00
- 営業時間:食堂 9:00~16:00
- 定休日:12月31日~1月1日
- URL:道の駅 釜石仙人峠 公式Facebook
- URL:道の駅 公式サイト(道の駅 釜石仙人峠 紹介ページ)
Google Map
ラーメン映画?「釜石ラーメン物語」とはどんな映画?

ラーメン屋の実家を飛び出した長女(井桁弘恵さん)が、病弱な父(利重剛さん)を心配し3年後に帰宅、長女は東日本大震災で行方不明になった母親のラーメンの味を再現すべく奮闘しますが、姉不在の間父とともに店を支えていた妹(池田朱那さん)と衝突します。
そして病弱な父が入院することになり、ラーメン屋が街の人々の大切な場所であったと知った姉妹が力を合わせ、母親の味を取り戻すため、力を合わせ奮闘します。
監督は「アイコ十六歳」の「今関あきよし氏」で、映画中に「小川食堂」として登場しているラーメン屋は、市内にある「三重食堂」だということです。
釜石市内では今でもあちらこちらで映画のポスターをみかけました。
釜石ラーメン物語 <Information>
- URL:釜石ラーメン物語 公式サイト
まとめ
釜石がラーメンの街として認識されるようになったのは最近のことですが、その歴史は終戦時にまで遡ることを取材して初めて知りました。
最近流行りの次郎系などと比べると派手さのないラーメンですが、あっさり醤油味に細縮れ麺の組み合わせは、私個人的にはど真ん中のどストライクです。
今回は「ここ!」と感じた2軒を訪問しましたが、また近いうちに釜石へ行き、他店のラーメンを食べ歩きたいと思います。






















