津軽の超ローカル料理「肉汁」って?豚汁とは違う謎料理を作ってみた!

青森・津軽地方には「肉汁(にくじる)」と呼ばれる不思議な料理があります。名前だけ聞くと豚汁の仲間を想像するかもしれませんが、実は全くの別物。しょうゆ味で具材が多く、汁気はほとんどないので“汁物”にはならないのです。津軽では人が集まるときに作られることが多い“ごちそうおかず”。今回は、そんな肉汁の正体と作り方、実際に作って食べてみた感想、さらに相性のよい具材まで紹介します。


 津軽のローカル料理「肉汁」とは?

津軽の超ローカル料理である「肉汁(にぐじる)」。その名前からは汁物を予想しますが、実は想像を裏切る予想外な料理なんです!

 津軽の超ローカル料理

肉汁
肉汁(にぐじる)

「肉汁」は青森県津軽地方で親しまれてきた家庭料理です。名前に“汁”がつくのに、汁はごくわずか。しょうゆ味で仕上げられた具材たっぷりの料理で、豚汁や味噌汁のように“汁物”として食べるのではなく、おかずの一つとして食卓に並びます。特に親戚が集まるときやお祝い事など、人が集まる場面に欠かせないごちそうのひとつです。

 豚汁とは何が違う?

 豚汁
一般的な豚汁

見た目は豚汁に似ていても、肉汁は味噌ではなくしょうゆで味付けされ、汁気もほとんどありません。豚汁が「ご飯+汁物」の組み合わせなのに対し、肉汁は「ご飯+おかず」として並ぶのが特徴。つまり、同じように豚肉や野菜を煮込んだ料理でも、立ち位置がまるで違うのです。


 肉汁の作り方レシピを紹介

肉汁は家庭ごとに具材や味付けが異なりますが、基本は「豚肉と糸こんにゃくを中心に、しょうゆ味で煮込む」という極シンプルな料理です。具材はその時々で変わり、アレンジも自在!ここでは3人分の目安材料と作り方を紹介します。

 肉汁に使う主な材料(3人分)

  • 豚肉(薄切り)…150g
  • 糸こんにゃく…100g
  • ごぼう…1/3本(約50g)
  • キャベツ…100g
  • 長ねぎ…1本
  • 高野豆腐…1枚
  • しめじなどのきのこ類…1/2パック
  • 水…450〜500ml
  • 和風だし(顆粒)…小さじ1
  • しょうゆ…大さじ2
  • 酒…大さじ1
    ※しょうゆの量は家庭ごとに調整してください。地元ではしょっぱめに仕上げることも多いです。

 基本の作り方

  1. ごぼうはささがきにして水にさらし、糸こんにゃくは下ゆでしておく。
  2. 鍋に油を熱し、豚肉を炒める。ごぼうやキャベツなどの野菜も加えて炒める。
  3. 水とだしを加えて煮立て、アクを取りながら中火で煮る。
  4. 高野豆腐やしめじ、糸こんにゃくを加え、最後にしょうゆと酒で味を整える。

出来上がりは“汁気の少ない煮物”のような見た目。ご飯が進むおかずとして存在感を放ちます。


 肉汁を実際に作ってみた

肉汁

実際に作ってみると思ったよりも手間は少なく、晩ごはんのメインおかずとしても十分すぎるほど。豚肉を炒めるときの香ばしい匂いが食欲を刺激し、煮込むほどにしょうゆの香りが立ちのぼります。

完成した肉汁をお椀に盛ると、汁物というより炒め物?具材は豚汁に似ていても汁はほとんどないので、別で汁物を用意する必要がありそうです。ひと口食べると豚肉の旨味が広がり、糸こんにゃくや高野豆腐が味をよく吸っていて噛みごたえも十分。今回は冷蔵庫にある食材を使い、ゴボウの代わりに人参、そしてささげを入れてみました。確かにこれは“汁物”ではなく“おかず”。冷めてもおいしいので、翌日のお弁当や作り置きにも向いていると思いました。


 肉汁に合う具材はこれ!

肉汁は定番の具材に加え、季節や地域の食材でバリエーションが広がります。ここでは3つのカテゴリーに分けて紹介します。

キノコ類

さもだし
さもだし(ナラタケ)

しめじやしいたけ、まいたけなどは定番。秋になると津軽の家庭では「さもだし(ナラタケ)」を加えることもあり、しょうゆ味と相まって深い風味を楽しめます。

根菜類

ごぼうは外せない存在。香りが全体を引き締め、肉やこんにゃくとの相性も抜群です。人参や大根を入れる家庭もあり、野菜の甘みがしょうゆのコクと合わさり、食べごたえを増してくれます。

青森ならではの食材

ウワバミソウ
ミズ(ウワバミソウ)

春の山菜であるタケノコ(根曲がり竹)は肉汁にぴったり!柔らかくも歯ごたえのある食感と爽やかな風味が、肉汁をよりおいしくさせます。夏には「みず(ウワバミソウ)」が入り、独特のシャキシャキ感がアクセントに。秋口には「さもだし」が活躍し、季節ごとの山菜が肉汁を一層津軽らしい味わいに変えてくれます。

ちなみにタケノコ、みず、サモダシは、保存がきく水煮や瓶詰でシーズン外でも販売されているので、たまに青森の山菜オールスターバージョンの肉汁が出ることも。決まった食材がないため、家庭や季節によってさまざまな味を楽しめるのも肉汁の魅力です。


 まとめ

肉汁は津軽地方で昔から受け継がれてきた“汁物ではない汁料理”。豚肉と糸こんにゃくを中心に、根菜や高野豆腐、きのこや山菜を加えてしょうゆ味で仕上げるごちそうです。見た目は豚汁に似ていても全くの別物。家庭ごとに具材や味付けが変わり、津軽の食卓を彩る特別な一品として今も愛されています。


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