【青森県弘前市】「ふとず」「いっとまが」津軽弁満載の交通安全標語を紹介!
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車を運転しているとよく目にする交通安全標語。道路脇に立て看板が設置されたり、電光掲示板に表示されたり、人々に交通安全の意識を持ってもらうために活用されます。全国的によく見られる交通安全標語ですが、実は青森県弘前市の一部地域には津軽弁で作られた独特な交通安全標語が存在します。
今回は、「【もつけ】【うぬうぬ】津軽弁満載の交通安全標語を紹介!」と題し、弘前市の一風変わった交通安全標語を紹介します!設置場所や標語の意味も解説しますので、弘前を訪れた際はぜひ探してみてください。
津軽弁満載の交通安全標語
津軽弁満載の交通安全標語は弘前交通安全協会・和徳支部によって2007年から始まった取り組みです。毎年、青森県弘前市城東小学校に通う6年生が作成し、今年は43人の作品の中から4作品が入賞しました。
入賞した交通安全標語は立て看板となり、城東小学校の学区内に設置されています。過去の入選作品を含め66枚もありますが、中には津軽弁ではない標語も。しかし、ほとんどが津軽弁満載なので、他県のドライバーが見たら意味が分からなくてびっくりするかもしれませんね。
5つの津軽弁交通安全標語の意味を紹介!いくつ正解できる?
2024年の入賞作品を中心に、5つの津軽弁交通安全標語の意味を紹介します。
①おべでらが?黄色は止まれど ふとずだね
今年の新作のひとつ。こちらの意味は「覚えてるよね?(知ってるよね?)黄色は止まれと同じだろ」です。
まず「おべでらが」「黄色は止まれど」は単純に「覚えてるか?」「黄色は止まれと」が訛っただけなので、「覚えてるよね?(知ってるよね?)黄色は止まれと」となります。
問題は「ふとずだね」ですよね。津軽弁が分からない人は「ふとず?太いってこと?」と考えそうですが、これは「同じ」という意味なんです。そして「だね」は標準語だと同じく語尾として使用されますが、ニュアンスが少し異なり、「~だろ」という発言者の強い意志が込められています。
なので全てまとめると、「覚えてるよね?(知ってるよね?)黄色は止まれと同じだろ」という意味になるのです。
②いっとまが 横断歩道 止まってけ
こちらも今年の新作ですが、他の3作品に比べて難易度は低めですね。意味は「少しの間、横断歩道は止まってください」ですが、津軽弁が分からなくても読解できたのではないでしょうか?
「いっとまが」は「あっという間」の意味で使用され、「いっときま(一時間)」から変化したといわれています。年配の方たちは「いとまが」と「っ」を省いて発音することもあり、割とポピュラーな津軽弁です。次に「止まってけ」の中で注目したいのが「け」です。津軽弁で「け」は、たった一文字で複数の意味を持つことで有名ですよね。「食べろ」「ちょうだい」「痒い」など、発音を変えれば12個の意味があると言われています。今回の使用方法ですと「~ください」が当てはまるので、「止まってください」が正しい意味となります。
車を運転する人たちに向けて「少しの間、横断歩道は止まってください」と呼びかける標語であることが分かります。
③どんだっきゃ スマホど運転 どぢがさせ
こちらも今年の新作のひとつですが、最初の「どんだっきゃ」から意味不明ですよね。意味は「どうなのよ?スマホと運転、どちらかにしろ」という強いメッセージが込められています。「どんだ」は相手に聞く場合「どんな様子?」という意味がありますが、呆れたときの「どういうことだ」という場合にも使用します。「きゃ」は津軽弁でよく使われる語尾で、2つあわせると「どうなのよ(呆れ)」という意味になります。
また、「どぢがさせ」は、「どぢが」が「どちらか」、「~さ」は場所や人に対する「~に」を意味します。「~せ」は「~しろ」という命令の意味を含むので、全てを翻訳すると「どちらかにしろ」という意味になるのです。これを小学生が考えているのだから、津軽の小学生はただものではない…
④あどわんか はえぐではって あさいでげ
今年の新作の中で最も難読だった標語がこちら。意味は「もう少し早く家を出て歩いて行きなさい」ですが、どの言葉が何を意味しているのかさっぱりですよね。
まず「あどわんか」から解説しますと、「あど」は「あと」が訛っただけなので意味は標準語と一緒。「わんか」は津軽弁で「少し」という意味なので、「あどわんか」は「あと少し」と表現できます。次の「はえぐではって」は「はえぐ」が「早く」、「ではって」が「出て」を意味しています。どちらも訛っただけですが、濁点が多すぎて本来の言葉とはかけ離れていますよね。最後の「あさいでげ」は、「あさぐ」は「歩く」を意味しており、「あさいで」は「歩いて」と訳せます。「げ」は先程も登場した「け=~しろ」が訛った状態なので、全てを合わせると「もう少し早く家を出て歩いて行きなさい(歩いて行け)」という意味になるのです。
⑤どっぷりど くれぐなてがら ばやめぐな
こちらは過去の入賞作品です。割とポピュラーな津軽弁が使われているので、意味が分かった人も多いのではないでしょうか?こちらは「夜遅くにブラブラしないで」という、子どもたちに向けたメッセージです。
まず「どっぷりど」は日が暮れる時、日が沈むときに使う「とっぷり」が訛った状態です。となると、次に続く「くれぐなてがら」は夕暮れ時であることが分かりますよね。「どっぷりど くれぐなてがら」は「とっぷりと暗くなってから(日が暮れてから)」と直訳できます。ここまではすんなり来るのですが、問題は「ばやめぐな」です。「ばやめぐ」は「うろうろ(ふらふら)する」「動き回る」という意味があり、津軽の子どもたちは「ばやばやすな!(動き回るな!)」と怒られながら育ちます。「ばやめぐな」は津軽の小学生ならだれでも知ってる津軽弁なので、子どもたちに向けた交通安全標語としては優秀といえますね。
青森県警が公開する方言を活用した広報標語
この他にも青森県警では「方言を活用した広報標語」と題して様々な標語、スローガン等を募集し、公式HPで発表しています。
「交通事故防止」の他にも「特殊詐欺被害防止」や「警察官採用募集」などなど…他県民にはほぼ解読不可能な津軽弁の標語が公開されています。優秀作として公開されているものをいくつか紹介すると
特殊詐欺被害防止広報
- おがしけだ 電話葉書は かまいしな
- な、だだば 通じなければ 偽息子
交通事故防止広報
- ビガビガど 目立てば車さ かげらいね
- むたむたど けんどさ出れば ひがいるや
- だびょん ごったより まず確認
警察官採用募集広報
- あずましい この街 守るベ おらだぢで
- 守るべし わんどの力で わんどの未来
…全部わかりましたか?正解は以下の青森県警公式HPで意訳付きPDFが公開されているので興味がある方は覗いてみてください。
まとめ
津軽弁満載の交通安全標語は、弘前市の城東小学校学区でしか見ることができません。今回紹介した5つのほかにも、地域にはたくさんの立て看板が設置されています。もし弘前を訪れる機会があれば、津軽弁交通安全標語を見てネイティブな津軽弁に触れてみてはいかがでしょうか?