アーティストGOMAによってアート化した田舎館駅舎内

【青森県】アーティストGOMAの世界に包まれる駅【ART STASION】は外観とのギャップがすごい!

2020年(令和2年)5月。
世界がコロナウイルスに翻弄される中、弘南鉄道弘南線の田舎館(いなかだて)駅舎内ではアーティストGOMAさんによるアートが描かれていました。

こちらの記事では2020年にアーティストGOMAさんにより突然アート化した駅【ART STATION】をご紹介します。 

弘南鉄道弘南線

弘南鉄道弘南線は本州最北の電化私鉄路線です。
田舎館駅は弘南線の中の一つの駅です。
弘南線は青森県弘前市の弘前駅から青森県黒石市の黒石駅までを結び、「田んぼ鉄道」 の愛称がつけられています。
2両編成のローカル線がどこまでも続く田んぼの中を走り、裾野を広げた岩木山が遠くに望めます。
路線距離は16.8km(13駅)で1日平均5,549人の利用客(国道交通省国土数値情報ダウンロードサービス 2022年7月25日公開より)があり、学生やお年寄りに多く利用されています。 

弘南鉄道弘南線を走る車両の歴史

現在使用されている車両は銀色のワンマン電車7000系で、日本最初のオールステンレス電車です。
弘南線を走る7000系は1964年(昭和39年)の日本オリンピックを目前に開通した営団地下鉄「東京メトロ日比谷線」に乗り入れた車両で、弘南線には1988年(昭和63年)に入線しています。
かつては東京を走っていた電車だったんですね。

弘南線の開業は1927年(昭和2年)で、開業当時は蒸気機関車が客貨車を牽引する列車でした。
1948年(昭和23年)に電化が完成し蒸気機関車は電気機関車に変わり、1949年(昭和24年)末には「電車」が入線しました。
津軽尾上駅や平賀駅などでは駅で貨物営業が行われて、りんごや米が奥羽本線経由で各地に輸送されていました。
そのため駅近くには農業倉庫が配置されていました。
田舎館駅周辺にも農業倉庫が残っています。

国鉄合理化の影響により弘南鉄道弘南線の貨物営業は廃止されました。

田舎館駅

田舎館駅は、田舎館村役場が面している県道268号線を黒石方面に向かうと右側に見えてきます。
田舎館駅は1950年(昭和25年)に開業しました。
70年以上前に建築された駅舎は昭和レトロな外観の無人駅です。
鉄道開通の際には「村の中心部に駅を作ると若者が街に遊びに行くから良くない」などの声が上がり、中心部から少し離れた現在の場所に作られたんだとか。

当時の駅舎内には駅事務室を利用した軽食喫茶「かくれんぼ」が併設されていました。
しかし現在では廃業されていて男女共用の水洗式トイレも撤去されています。

田舎館駅の隣には「田んぼアート駅」があります。
6月〜10月の間は田んぼアートが開催され、田んぼアート駅から会場までの無料シャトルバスが運行します。

アーティストGOMAとは

アーティストGOMAさんをご存知でしょうか。
アーティストGOMAさんは1985年(昭和60年)生まれ、 青森県弘前市(旧相馬村)出身で現在は平川市在住の、油性ペンを使って下書きなしで絵を描くアーティストです。
アーティストGOMAさんは2つの発達障害を持っています。
1つは集中力が無くじっとしていられないなどの特徴を持つ脳機能障害ADHD。
もう1つは文字が読めない学習障害ディスレクシアです。
ディスレクシアの方の文字の見え方は様々だそうですが、GOMAさんは文字が分解されて見えてしまうそうです。
文字を指でなぞりながらであれば読むことはできるけれども、少し離れるとわからなくなってしまうそうです。

GOMAさんは小学生の頃に発達障害と診断されました。
10代の頃は2つの発達障害により周囲から認められず大変悩み、生きる意味も失ってしまう程だったそうです。
ある時GOMAさんは絵を描き始めました。
頭の中の空想の街などです。
GOMAさんは絵を描くと気持ちが落ち着き、ひたすら描き続けました。

GOMAさんは地元の短期大学卒業後、保育士として3年間過ごしました。
子供との関わりが好きなGOMAさんですが、絵の勉強をしたいという思いが強くなり、2010年(平成22年)、秋田公立美術工芸短期大学に入学します。
入学後早い段階から絵の仕事が増え始め、2011年(平成23年)にはアメリカのマイアミからオファーが来て渡米します。
帰国後は仕事の依頼が殺到し、コンパネ1枚を20分で描くライブアートを確立しました。

秋田公立美術工芸短期大学卒業の年2012年(平成24年)、フランスのパリで行われたJAPAN EXPOに出演し現地の人たちからも人気を集めました。
スプレーアートで出演するはずでしたが、ブースが準備されていないなどのアクシデントにより、急遽油性ペンを使って描くライブアートを披露することになりました。
これを期に油性ペンで描くアーティストとして活動の幅を広げていき、現在は国内外問わず勢力的に活動しています。

アーティストGOMA×田舎館駅

2019年、GOMAさんはコロナ禍の地元の人たちを励ましたいとの思いから、地元弘南鉄道のかつてからの知り合いである社員に、駅舎にアートを描きたいということを相談しました。
ある程度の広さがあり観光客が来ても困らないよう駐車場のある田舎館駅に決まり、プロジェクトは始まりました。

駅舎の中を白く塗り、駅舎内全体をキャンバスに見立てました。
完成まで9日間の期間を経て【ART STATION】は誕生しました。

天井や壁はもちろん、椅子やゴミ箱など、隅から隅までアートで埋め尽くされています。
駅舎内に1歩足を踏み入れるとアーティストGOMAさんの世界に包まれます。
まるで異次元に入り込んでしまったかのよう。
昭和レトロな外観からは想像がつかないワールドです。

天井には大きな目玉が!地元の子供や農作業をしている人たちを見守る目であってほしいとの思いがこめられています。

一方では無数の手、そして可愛いお花たちが笑っています。

数々のビルたちとエヴァンゲリオンならぬ「ゴマンゲリオン」。

2019年の田んぼアートのテーマだったが中止になって実現に至らなかったエヴァンゲリオン。
GOMAさんの悲痛なメッセージと共に描かれています。

2020年新型コロナウイルスの影響により、田舎館田んぼアート「エヴァンゲリオン」が中止となりました。エヴァンゲリオンファンのGOMAはとても悲しみました。 いつかまた田んぼアート「エヴァンゲリオン」が復活することを願い「ゴマンゲリオン」を描きました。コロナウイルスに負けず再度立ち上がることを期待しています。東奥日報ビルで開催された エヴァンゲリオン展で 前日の夜から並んだ第1号、GOMA

※ エヴァンゲリオン関係者の皆様 勝手に描いてすみませんでした!!!

さいごに

田舎館駅【ART STATION】は田舎にポツンとある一見普通の古びた無人駅ですが、駅舎内はアート作品そのものです。
GOMAさんはこれほどの作品を下書きなしで描くのですから驚くばかりです。
写真で見るよりも実物の迫力がすごいので田舎館駅にアート体験に来てみてはいかがでしょうか。

INFORMATION


  • 名称:田舎館駅
  • 所在地:青森県南津軽郡田舎館村高樋宮本

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