東北六県の酒蔵を訪問!時を拓き、心を開く「あさ開」【岩手県盛岡市】

「あさ開」(あさびらき)は、盛岡市内の鉈屋町で155年の間、酒造りを営んできました。

敷地内に湧く「平成の名水百選・大慈清水」を仕込み水として使い、南部杜氏の名工・藤尾正彦氏が醸す、爽快で芳醇な旨味が特徴の盛岡を代表する銘醸です。

最高峰の純米大吟醸「旭扇(きょくせん)」や、純米大辛口「水神(すいじん)」などの個性的な銘柄を、次々に醸しては世に送り出しています。


あさ開の歴史と蔵名の由来

あさ開
あさ開の広い敷地、地酒物産館(左)と製品工場(右)

岩手県盛岡市の「あさ開」は、1871年(明治4年)に南部藩藩士だった村井源三が、明治維新に立ち上げた「村井本家」が始まりです。

八幡稲荷神社
仕込み水に使われる湧き水と創業者が敷地に祀った八幡稲荷神社の鳥居、お社は右奥にあり昭和朝日蔵に移動する際にお参りできる

酒蔵の名「あさ開(あさびらき)」は、万葉集に収められた和歌にある、船が早朝に漕ぎ出す歌の枕詞にちなんでいます。

八幡稲荷神社
あさ開を繁栄させたと言われる、ご利益豊かな八幡稲荷神社

村井源三が侍から商人に転身して「道を開く」という意味と、明治の幕開けとの意味を重ねて「あさ開」と名付けられたということです。


順路と解説が整備されている酒蔵見学に参加してみた!

昭和朝日蔵入口
昭和朝日蔵入口の山門に掲げられた、新酒ができた証の緑あざやかな杉玉

酒蔵見学は毎日行われていて、予約した時間までに「地酒物産館」のレジカウンターで住所氏名などを記入して受付を済ませます。

見学の受付時間は9時から15時半までの間で、ガイド専門のスタッフが案内をしてくれる約20分ほどのコースです。

新旧の技術が共存する仕込蔵「昭和朝日蔵」

昭和朝日蔵
白壁が美しい昭和朝日蔵 あさ開き 公式サイトより

見学で最初に案内してもらえるのは、1988年(昭和63年)完成した白壁と黒瓦の和風造りの仕込蔵「昭和朝日蔵」です。

昭和朝日蔵
蒸し上がった酒米を適温まで冷ます麹枯らし場は昔ながらの手作業

外観は昔ながらの和風の蔵ですが、中は昔ながらの「手造り」の伝統と、新しい設備による「近代的酒造」が同居している仕込蔵です。

昭和朝日蔵

造りの工程と方法などが部屋ごとに見学路に表示され、ガイドの説明と併せて日本酒の造り方がよくわかります。

麹室
木張りの壁で覆われている麹室で仕込まれていた米麹、しっかりした温度管理の下で48時間かけて手作業で作られる

全体的には近代的で清潔な工場のイメージが強いですが、麹室(こうじむろ)などは木張りの壁で、昔ながらの仕込と同じ方法で造られています。

オートメーション設備が充実した製品工場

昭和朝日蔵
製品工場の中はきれいに整備された機械がたくさん、ここで地下パイプで送られてきたお酒を瓶詰する

昭和朝日蔵と製品工場の間には道路がありますが、その道路の地下にパイプが通されていて、醸されたお酒がそのパイプでここに送られます。

昭和朝日蔵
ラベル貼りももちろん自動

見学コースでは搾りたてのお酒や貯蔵されていたお酒が、瓶詰されてラベルが貼られる行程など、出荷前の最終段階の工程を見学できます。

ちなみに「あさ開」では、日によって瓶詰するお酒の種類が違うことが多いそうです。


見学の締めはお楽しみの試飲!地酒物産館

地酒物産館
地酒物産館内のカウンターにずらりと並べられた試飲用のお酒

見学は地酒物産館に戻って終了となりますが、締めにはさまざまな種類のお酒を無料(「純米大吟醸結の香仕込み」のみ有料・300円)で試飲ができ、香り高い芳香の中に置かれていた飲んべえにとっては最高の「おもてなし」です。

地酒物産館

試飲の量は小さなカップに少しだけですが、脳がお酒を求めている状態でいただいたので、どのお酒も身体に染みわたる美味しさでした。

ちなみに、この日の試飲に用意されていたのは次の銘柄です。

  • 特別純米酒「はるどきっ」:きれいな花のボトルが印象的、やさしい口当たりでさわやかな季節限定酒
  • 純米大吟醸「熟麗(じゅくれい)」:生で低温貯蔵され、飲み頃に出されるフルーティーでほのかな甘みの大吟醸
  • 純米大吟醸生原酒:地酒物産館でしか買えない生の大吟醸(下記で詳しくご紹介しております)
  • よーぐりっち 田野畑 プレーン:ヨーグルトドリンクのような味わい、アルコール度数5度あり飲みすぎ注意!
  • 純米大吟醸 結の香仕込み:岩手の酒造好適米「結の香」が使われ、吟醸香とまろやかな甘味、すっきりな味わい
地酒物産館
地酒物産館には現地限定の「酒ガチャ」も置かれています。500円と1,000円の2種で運が良ければあの高級酒も当たるらしいです。
地酒物産館
お酒にまつわる様々なグッズが盛りだくさん

地酒物産館ではそのほか、限定酒や酒の肴に最適な岩手県産の珍味に、美味しくお酒を味わうための盃などの酒器も販売されています。


筆者おすすめの銘柄3選!

あさ開き
ズラリと並ぶ「あさ開」の主力商品

ここからは、豊富な「あさ開き」の品揃えの中から筆者の好みでおすすめの銘柄をご紹介します。

その場でビン詰め!「蔵出し純米吟醸生原酒」は超おすすめ‼

蔵出し純米吟醸生原酒
ここに立ち寄ったならぜひ買いたい逸品!

地酒物産館では、お店では入手できない生酒を四合瓶(740ml:2,500円)で量り売りしてもらえますが、ここで「四合瓶は普通720mlじゃないの?」と思われた方は多いことと思います。

これは空気に触れさせないよう、お酒を瓶の口まで目いっぱい詰めるからなのです。

蔵出し純米吟醸生原酒
ご覧の通り瓶の口までいっぱいに詰められているので、開封時にこぼさないように注意が必要

ですので、お帰りの際は瓶を横にしないようにして、立てて持ち帰るようにしてください。

これは単なるサービスではなく、「美味しさを保つために空気を入れない」という心遣いからとのことです。

人気No.1の純米大吟醸生原酒は、注文するとその場で瓶詰してもらえる

生の純米吟醸は吟醸香と生酒がもつ華やかな香りがあり、口に含むとさらにその香りが増幅されて、ふくらみのある味わいが広がります。

また、無料で空白部分に絵や字を書き込めるオリジナルラベルを作成したり、ラッピングしてもらえるサービスもあります。

カラフルなラベルが目を引く「蔵埠頭(くらふとう)COLOR」

オレンジラベルの蔵埠頭COLOR 純米酒 あさ開 公式サイトより

「あさ開」は「船出」を意味し、酒を搾る「槽場(ふなば)」を「埠頭」に見立てて、南部杜氏の技術(CRAFT)と併せて名付けられたそうです。

2019年ごろから販売されていて、次の5種の個性的なお酒が、カラフルな色とデザインのラベルで表現されています。

  • 蔵埠頭COLOR 純米吟醸生原酒:フレッシュで爽やかで口あたりが良い、みずみずしい果実のような吟醸酒
  • 蔵埠頭COLOR 純米生原酒:濃い口でお米の旨みが活きていて、フレッシュで力強い味
  • 蔵埠頭COLOR 純米一度火入酒:加熱殺菌を一度だけ、フレッシュで旨味が芳醇で冷やして飲むのが一番
  • 蔵埠頭COLOR 純米酒:旨みまろやかで酸味のバランスが良い、冷やでも熱燗でも美味しい
  • 蔵埠頭COLOR 本醸造:やや辛口ですっきりとしたキレのある味わい、冷やでも熱燗でもOK

飲食店でしか味わえない「純米大辛口 水神」

辛口でどんな料理にも合う「水神」

日本酒の辛口度合を表す日本酒度は+5度で辛口と言われますが、「水神]は+10度もある「超辛口」に仕上げられた純米酒です。

「水神」にはさらに、純米吟醸タイプの切れ味鋭い「超水神」もあり、もし飲食店で見つけたら試してみてください。


地酒物産館で買える、お土産にしたい「あさ開き」の人気商品あれこれ

地酒物産館
あさ開のお酒やつまみにスイーツなどたくさんのお土産品が購入できる あさ開 公式サイトより

地酒物産館ではお酒のほかにさまざまな商品が販売されていて、お土産として買い求める観光客だけでなく、地元の人たちにも人気があります。

吟醸酒ケーキ(吟醸良縁)

吟醸酒ケーキ
ちょっとアルコールが入りの酒ケーキも人気

「純米吟醸 夢灯り」のがたっぷり浸み込んでいて、アルコール度数3%の大人向けのケーキで、あさ開のスタッフにもファンが多いとされています。

卵がふんだんに使われていてふわっと香ばしく焼き上げられた生地に、純米吟醸の芳醇な風味が香り、リッチな味わいに仕上がった大人の味わいです。

大吟醸ソフトクリーム

大吟醸ソフトクリーム
ここに来たら季節に関係なく味わってもらいたい極上酒粕入りのソフトクリーム

地元でも評判のソフトクリーム、夏だけでなく冬でも人気があります。

ほどよい甘さで吟醸の香りがほんのりと感じられ、アルコール分は含まれていないので、アルコールがダメな人や子供も食べられます。


あさ開 <Information>

  • 施設名称:株式会社 あさ開
  • 所在地:岩手県盛岡市大慈寺町10番34号
  • 電話番号: 019-652-3111
  • 営業時間:9:00~18:00
  • 工場見学:9:00〜16:00(最終受付 15:30 通常期間)
  • 定休日:不定休(酒蔵所にお問い合わせください)
  • URL:あさ開 公式サイト

Google Map


まとめ

盛岡市内には、江戸時代から昭和までは多くの酒蔵がありましたが、平成以降は倒産や移転などで現在は3軒が残っているだけとなりました。

そのうち創業時から盛岡市内で酒造りを続けているのはこの記事でご紹介した「あさ開き」と、次回の記事でご紹介する「桜顔(さくらがお)」の2軒です。


その他の記事