
日本最北端の舟下り「猊鼻渓舟下り」でのんびり舟遊び!【岩手県一関市】
目次
一関市東山町にある猊鼻渓(げいびけい)の舟下りは、高い壁岩がそびえ立つ渓谷をゆったり流れる川の水面をのんびり行き交う舟遊びです。

発着所から上流の船着き場までの往復約1時間半を鴨や鯉の歓迎を受け、奇岩名所の眺めを楽しみながらゆったりとした気分で過ごすことができます。

舟下りの出発は朝8時半から16時まで(季節によって変動あり、インフォメーションをご参照ください)で、春の新緑、5月の藤の花、10月の紅葉、そして雪景色と、オールシーズン渓谷美を楽しめます。
(なお、本文中に記載した価格は2025年10月末時点のものです。)
猊鼻渓とは?

北上川の支流の一つ砂鉄川(さてつがわ)の両岸に、最高100mほどの壁岩がおよぞ2kmにわたってそそり立つ渓谷で、日本百景の一つに指定されています。
上流の船着き場で降りるとその先に、猊(獅子)の鼻に似ているこぶ状の鍾乳石、「獅子ヶ鼻」があることから猊鼻渓と名づけられました。

砂鉄川が長い時間をかけてカルスト台地を削り続けたことで現在の深い谷が形成され、壁岩のあちこちに奇岩や洞窟に滝などの絶景が展開されています。
この猊鼻渓はかつて知られざる景勝地でしたが、明治時代に政治家で漢学者の佐藤猊巌(げいがん)が観光地として開発し、1925年(大正14年)10月8日には国の名勝に指定されました。

2025年(令和7年)はそれから100年目にあたり、「猊鼻渓100年記念祭」などの記念行事が開催されています。
ほかにない特徴のある猊鼻渓の舟下り

舟下りの一番の特徴は、船頭さんが持つ長さ5mほどの棹一本で川を上り下りすることで、これは猊鼻渓の流れが緩やかなためで、船外機などを使わない舟下りは日本でこの猊鼻渓だけです。

舟は30~50人ほどが乗れる底が平たく舟べりが低い「ひらた舟」で、浅い川でも運航できるのが特徴です。
江戸時代には年貢米を、明治時代には石炭を運ぶ北上川の舟運に使われていました。

雨の日は濡れないように屋根付きの舟が用意されるほか、冬場は窓が開くビニールハウスが船上に設置され、12月~2月末まではこたつが用意された「こたつ舟」が運航されます。

また、猊鼻渓では「ひらた舟」の造船技術を受け継いだ熟練の船頭たちが、舟の維持管理をしっかりと行っているので安心です。
見どころ満載の舟下りルート

貸切ではない乗り合い便は、時間になると上流に向けて出発します。


なお、出発前に発着所の売店からお弁当や飲み物などを船上で販売しているので、それらを買い求めて舟上でゆっくり味わうのもおすすめです。

コースの両岸に16の奇岩がありそれぞれに名称が付けられていて、岩の近くにその名称が書かれた看板があり、船頭さんの案内もあります。

なお、もし見逃してしまったとしても、発着所と船着場の間にある奇岩は、帰りにもう一度見ることができます。

流れは緩いながら水は透きとおっていて、大きな鯉がゆうゆうと泳いでいる姿を見ることができます。

舟が出発すると、ここに棲む鯉たちのほかに、鴨たちがどこからともなく現れて出迎えてくれます。

舟の乗り場には魚のエサが売られていて、それを目当てに鴨と鯉が舟と並行してついてくるのが面白く、船上で売られているエサが飛ぶように売れていました。
ちなみに砂鉄川の水深は平均1.5mほどですが、カーブでは深くえぐられて10m以上の深さになる箇所があり、強風の日ではそこに吹き寄せられてしまい、船頭さんの棹が底に届かないため立往生することがあるそうです。
あの菊池雄星が成功できなかった!猊鼻渓名物「運玉投げ」

折り返しの船着き場から少し歩き橋を渡った先の対岸にある大猊鼻岩の下に「願掛けの穴」があり、そこに運玉を投げ入れると願いが叶うと言われています。

運玉は福・縁・寿・愛・願・運・恋・絆・禄・財の10種の文字が刻まれていて、現地で2個100円で好みの文字の運玉を選べます。

なお、岩手県盛岡市出身でロサンゼルス・エンゼルスの菊池雄星投手が、子供のころとアメリカに渡ってからとチャレンジしたそうですが、入らなかったという伝説が語り伝えられています。

せっかくなので私も「愛」と「財」の2つを投げてみましたが、思ったより距離がありコントロールが定まらなくて入らず、この先この2つに縁がないのだろうかとちょっとがっかりしています。
舟下りを盛り上げてくれる個性豊かな船頭さんたち

舟下りの船頭さんは20人、いずれの方も一本の棹を巧みに操って舟を進め、帰りには良く通る美声で「げいび追分」を唄ってもらえます。

今回は、加藤秀貴船頭さんにお世話になり、彼の案内や歌声が一番良く聞こえる一番後ろに座り、いろいろなお話を聞かせていただきました。

帰路に加藤船頭さんが唄う「げいび追分」は、左右の壁岩に気持ち良く反響してとても感動的な音色となって響き渡り、思わず聞きほれました。

乗客が多い日は複数の舟が出され、船頭さんたちの個性的あふれる美声で唄われる「げいび追分」が近くに遠くに絶え間なく聞こえてきます。
舟下りに乗るには

乗船するには現地でチケット(一般大人1,800円、小学生900円、幼児200円)をチケット購入するほかに、公式サイトから次の3種類の乗船チケットを事前に購入できます。
- ボート乗船チケット
- ランチセット付きボート乗船
- 貸切ボート乗船(1名~14名まで)
乗船チケットのみで予約できるのは日にちの指定だけで、到着した時間に出発する舟に乗船しますが、そのほかのチケットは出発時間の指定ができます。

また、ランチ付きの乗船チケットは季節ごとに変わり、これからの寒い季節は「すき焼き弁当」と暖かいミニ鍋を、冬用の暖かい舟の上でのんびり味わいながらの舟下りを楽しめます。
ペットも乗れる舟下り

猫と中型犬はリードを装着すれば200円で舟に乗ることができるので、家族の一員であるペットも一緒に舟下りを楽しんではいかがでしょうか?
ただし、寒さ対策でビニールに覆われる冬の屋形船にはペットは乗れませんのでご注意ください。
猊鼻渓で味わいたいグルメはこれ!

発着場の周辺ある食事処などで、十割そばや鮎の塩焼きにソフトクリームなどを味わえます。
げいびレストハウスの十割そば

発着所への入口に当たる場所にあって天ぷらも美味しいと評判ですが、十割そばをじっくり味わえる「もりそば(700円)」を注文しました。

「十割」ということで田舎そば系の黒いそばを予想していましたが、出てきたのは更科系の雰囲気のある白く長くコシが強く、太さが不揃いで手打ち感がある香り高いそばでした。
そのそばを受け止めるカツオだしが効いた甘めのツユがこのそばによく合い、ツユを割るそば湯はポットに用意されていて、いつでもセルフサービスで飲み放題です。
まとめ
この日は15時発の舟に乗り、16時半帰着でちょうど夕焼けがきれいなタイミングでしたが、船頭さんの話では、11月になると16時の最終便の帰着は真っ暗になるということでした。
訪問した日は平日でしたが、台湾の団体複数とタイからの団体が同じ時間帯に舟下りを楽しんでいて、船頭さんたちは中国語や英語で巧みにコミュニケーションを取っていました。
なお、グルメのご紹介をレストハウスの十割そばに絞りましたが、次回は船上でお弁当が味わえるコースの乗船記や、鮎の塩焼き実食レポートなどをお届けしたいと考えております。
猊鼻渓舟下り <Information>
- 観光地名称:猊鼻渓 舟下り(げいびけいふなくだり)
- 所在地:岩手県一関市東山町長坂町467
- 電話番号:0191-47-2341
- 営業時間:4/1~11/5 8:30~16:00(1日9便)
- 営業時間:11/6~11/10 8:30~15:30(1日9便)
- 営業時間:11/11~11/20 8:30~15:00(1日8便)
- 営業時間:11/21~3/31 9:30~15:00(1日7便)
- こたつ船:12月~2月末まで運航
- 定休日:年中無休(荒天時は運航を休止のする場合あり)
- 料金:大人 1,800円、小学生一般 900円、幼児 200円(このほか団体料金設定あり)
- URL:猊鼻渓 舟下り 公式サイト





















