彦治民芸の入り口

【福島県郡山市】旧三春藩の領内に今なお残る郷土玩具の里「高柴デコ屋敷」

郡山駅から車で約25分、三春町との県境付近に「高柴デコ屋敷」と呼ばれる工人集落があるのをご存じでしょうか?

人気テレビドラマ「孤独のグルメ」のシーズン9/第9話に登場したことでも話題になりましたが、江戸時代から現在に至るまで脈々と受け継がれた「郷土玩具の里」と呼ばれる集落です。


高柴デコ屋敷とは?

高柴デコ屋敷の看板
高柴デコ屋敷の看板

高柴デコ屋敷の始まりは今から約300年前、江戸時代の元禄年間(1688~1704)に上方(京阪地方)から流れてきた人物が、当時は高柴村と呼ばれていたこの地に定住し、生活のために張り子人形を作り始めたのがきっかけといわれています。

その後、工人の数も徐々に増え「高柴張子(たかしばはりこ)」「高柴木馬(たかしばきんま)」が生み出されました。

明治に入り一度その歴史は途絶えますが、昭和になり太平洋戦争が終結するといくつかの工房が復活し、現在でも四軒の工房が郷土玩具づくりを続けています。

「高柴張子」「高柴木馬」とはそれぞれ現在に伝わる「三春張子(みはるはりこ)」「三春駒(みはるごま)」の事で、昭和に入り工房が復活した頃から、この地が江戸時代は三春藩の領地だったことから三春をつけて呼ばれるようになったようです。

デコ屋敷のデコとは?

デコ屋敷の「デコ」とは、木彫りの人形のことを指す木偶(デク)が転じたもので、この地が木偶人形をつくる工人の集落だったことから、高柴村の木偶屋敷>高柴デコ屋敷と呼ばれるようになったといわれています。


デコ屋敷にある四軒の工房

現在の高柴デコ屋敷には、戦後すぐに復活した橋本広司民芸彦治民芸、そしてそれから約20年後に復活した本家 恵比寿屋本家 大黒屋を合わせた四軒の工房が存在します。

橋本広司民芸

戦後いち早く復活した工房の一つで、集落の中心部から一軒だけ少し離れた場所にあり、主に人型の張子を作っています。

橋本広司民芸
橋本広司民芸

歌舞伎や舞踊を題材にした物や雛人形・五月人形などの他に干支の張子人形や張子面もあり、タイミングが合えば実際に張子をつくる作業風景も見ることができます。ちなみにご当主はひょっとこ踊りの名手としても有名だとか。

橋本広司民芸の店内
橋本広司民芸の店内

敷地内にはデコ屋敷資料館もあり、福島県の重要文化財に指定されている人形木型などを見ることもできます。

橋本広司民芸<Information>

  • 名  称:橋本広司民芸
  • 住  所:〒963-0902 福島県郡山市西田町高柴福内41
  • 電話番号:024-971-3900
  • 公式URL:https://hirojimingei.jimdofree.com/

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彦治民芸

橋本広司民芸とともに戦後いち早く復活した工房で、工房内にはアンティークのランタンや時計、カメラが大量に展示されていたりと、ほかの工房とは一風違った雰囲気が感じられます。

彦治民芸
彦治民芸

現在の高柴デコ屋敷で三春駒を木彫りから製造している唯一の工房で、張子十二支作りの元祖でもあります。その他にもお面・だるまなど様々な民芸品が販売されています。

彦治民芸<Information>

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本家 恵比寿屋

主に張子面やダルマ、十二支の張子人形などを製作している工房。

本家恵比寿屋
本家恵比寿屋

整った顔立ちの人形張子が印象的で、中でも赤い天狗と緑のカラス天狗の張子面に目を引かれました。

本家恵比寿屋の店内
本家恵比寿屋の店内

店内には福島県の重要文化財に指定されている恵比寿屋に伝わる人形や面の木型が展示されていて、自由に見学することもできます。

本家 恵比寿屋<Information>

  • 名  称:本家 恵比寿屋
  • 住  所:〒963-0902 福島県郡山市西田町高柴舘野161
  • 電話番号:024-972-2204
  • 公式URL:-

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本家 大黒屋

張り子づくりの伝統を守りつつ、和紙・張子の新たな可能性に挑戦を続けているという工房。

本家大黒屋
本家大黒屋

伝統的なだるまや十二支張子もどこかかわいらしい顔や仕草をしていたり、てるてる坊主の張子があったりと、個性的な作品が多い印象の工房でした。

本家 大黒屋<Information>

  • 名  称:株式会社デコ屋敷大黒屋
  • 住  所:〒963-0902 福島県郡山市西田町高柴舘野163
  • 電話番号:024-981-1636
  • 公式URL:https://dekoyashiki-daikokuya.co.jp/

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狛犬に代わって三春駒が守護する神社「三春駒神社」

高柴デコ屋敷には「三春駒神社」という神社が存在します。

三春駒神社
三春駒神社への参道

御祭神や縁起等は不明なのですが、夫婦円満・家庭円満・良縁・子宝のご利益がある神社のようです。

三春駒神社の本堂
三春駒神社の本堂

参道をしばらく歩くと小さなお社が見えてくるのですが、気になるのはその手前。狛犬ならぬ狛三春駒が。左には「三春張子神社」右には「三春駒神社」と文字が刻まれています。

色々な形の違う狛犬は見たことがありますが、さすがにこれは初めてです。三春駒が守護する神社。

三春駒神社の駒
狛犬代わりの三春駒

ご利益もさることですが、狛三春駒を見るためだけでもデコ屋敷を訪れたら是非お参りをしてほしい神社です。

三春駒神社<Information>

  • 名  称 : 三春駒神社
  • 住  所:〒963-0922 福島県郡山市西田町高柴舘野196
  • 電話番号:024-972-2412
  • 公式URL:-

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集落内には他にもたくさんの「隠れ三春駒」が!

高柴デコ屋敷には三春駒神社の狛三春駒の他にたくさんの「隠れ三春駒」が存在します。

三春駒の窓枠
三春駒の窓枠

彦治民芸の脇道を通り、ふと壁に目をやると…窓枠が三春駒になっています。

彦治民芸の屋根
彦治民芸の屋根

さらに屋根の上にも…

三春駒の屋根飾り
三春駒の屋根飾り

ここにはメタルチックな三春駒が。

本家大黒屋の入り口
本家大黒屋の入り口

大黒屋の入り口。小さなお社があるな…と思うと隣には巨大な三春駒が!

「郷土玩具の里」と呼ばれるだけあって集落全体が遊び心に溢れています。ほかにもまだまだあるかもしれないので訪れた際は是非「隠れ三春駒」を探してみてください。


まとめ

高柴デコ屋敷では、道端に佇む三春駒、軒先に大量に飾られた張子人形やだるま、七福神や天狗の面などなど、ここでしか見ることができない唯一無二の風景を楽しむことができます。

おいち茶屋
おいち茶屋

この他にも、名物の「おいちだんご餅」や「ダッタンソフトクリーム」が食べられる「おいち茶屋」や、季節は春に限定されますが、樹齢約500年の2本のヤマザクラが夫婦のように寄り添う「天神夫婦桜(てんじんめおとざくら)」など、見どころが満載です。

JR郡山駅からもさほど遠くはないので、郡山を訪れた際はぜひ足を延ばしてみてはいかがでしょうか?


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