【福島県】凍み餅を食する|生活の知恵が生んだ究極の保存食

今回の記事は、福島県の全域で古くから食べられている保存食「凍み餅」について取り上げます。

凍み餅は東北から信州地方にかけて、割と広い範囲で食べられている食材。しかし、その見た目と硬さから「どのように食べるのか?」が分からない人が多いのではないでしょうか。

実は、凍み餅は美味しいだけではなく、長い歴史と生活の知恵が生んだ究極の保存食。そのバッググラウンドを知ってから食べると、感動もひとしおとなるはずです。

ぜひ凍み餅の奥深さを知り、食べ方を知って、凍み餅を好きになってください。


凍み餅とは

凍み餅とは、冬の寒さを利用して、餅を長期保存可能にした保存食です。福島県全域をはじめとした、東北地方から信州地方にかけて食べられています。

どのようにして餅を凍み餅にしていくのか。その方法には厳しい北国の冬を生き抜くための生活の知恵が込められています。

まずは餅づくり。米、特に炊飯には向かない屑米を粉末にし、つなぎの草(福島では“ごんぼっぱ”と呼ばれます)を混ぜ込みます。ごんぼっぱは餅の割れを抑制し、風味付けの役割を果たします。この鮮やかな緑色の餅が、福島の凍み餅の材料です。

そして、適当な大きさに切った餅をワラで編み込み、水に浸けた後に寒さにさらします。餅は凍ったり溶けたりを繰り返しつつ乾燥していき、1ヶ月ほどでカチカチの硬い凍み餅の完成。しっかりと水分が抜けた凍み餅は1年ほど美味しく食べることが可能です。

次は、なぜ凍み餅が作られるようになったのか、その歴史を探っていきましょう。


凍み餅のルーツとは?作られ始めた歴史を知る

凍み餅のルーツは所説ありますが、天明・天保の大飢饉からという説が有力です。災害や非常時に向けた蓄えとして、保存食の技術は必須でした。長く保存ができる凍み餅は、食べ物が少ない昔の時代には、大変重宝されたでしょう。

かつ、凍み餅は忙しい農作業の間に簡単に食べられる携帯食としても活躍しました。春からは畑や田んぼが忙しいシーズン。体を使う作業が多く、餅のように力がでる食べ物は喜ばれました。冬の間にたくさん作って準備をして備える、知恵の結晶のような食べ物です。


凍み餅の食べ方「基本編」

凍み餅を持ってみると、とにかく硬い。その硬さと見た目から、どのように食べたらよいのかが分からず、買うのを敬遠する方も少なくないでしょう。

ここではまず、凍み餅の基本的な食べ方を紹介します。最もポピュラーなのは、甘醤油で焼く食べ方です。


①凍み餅を水で戻す

凍み餅を食べる際に必須なのは、水で戻す作業。逆に水で戻してしまいさえすれば、凍み餅はとても調理のしやすい食材です。

水を張ったボウルや器などに、凍み餅を浸して置きましょう。時間はおおよそ一晩ほど。もっと早くに戻る餅もありますが、余裕をもって前日に戻し作業をしておいた方が良いです。


②油をひいたフライパンで焼く

油をひいて熱したフライパンで、凍み餅を焼いて焦げ目をつけます。油はサラダ油でも構いませんが、バターやごま油を使っても一味ちがった味わいに。フライパンの中で砂糖と醤油を絡め、出来上がりです。


③海苔を巻いても美味

さらに一工夫するなら海苔を巻くのもオススメ。磯部巻きのような、パリッとした歯切れのよい海苔の風味を味わえます。持って食べやすくなるのが、お子様にもやさしいポイント。


凍み餅の食べ方「アレンジ編」

凍み餅の基本の食べ方をマスターしたら、ぜひアレンジにも挑戦してみてください。凍み餅を水で戻す作業は同じです。お好みに合わせて、自由に楽しみましょう。


凍み餅のおかき

凍み餅を水で戻した後、ひと口大に切ってから油で揚げます。カラッと揚がったら、塩をまぶして完成です。変わり味として、カレー粉や七味をまぶすとオトナの味わいに。


凍み餅のひと口ドーナツ

凍み餅を水で戻した後、ひと口大に切り、ホットケーキミックスを溶いた生地に絡めてから油で揚げます。外はサクサク、中身はモチモチトロリ。福島のソウルフード「凍み天」に似た大満足おやつです。


まとめ

この記事では凍み餅の魅力や歴史、その食べ方についてお伝えしました。

寒い北国を生き抜くための生活の知恵として、自然風土を生かして作られる保存食「凍み餅」。食べ物を大切に、美味しく家族のお腹をいっぱいに。そんな願いが込められた、ふるさとの味です。

食べ方さえ分かれば、意外と気軽に食べることができる伝統食です。オーソドックスな砂糖醤油焼きはもちろん、アレンジメニューも自由自裁。お土産コーナーや通販などで見かけた際は、ぜひ買い求めてチャレンジしてみてください。


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