【宮城県】源義経や松尾芭蕉も訪れた鳴子温泉郷、1000年湧き続ける温泉をご紹介!
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宮城県北西部の栗駒国定公園内にある鳴子温泉郷(宮城県大崎市)は環境省指定の国民保養温泉地で、開湯以来千年の歴史をもつ東北有数の湯治場、日本百名湯の一つです。
宮城北部と山形北部を結ぶ国道47号線とJR陸羽東線沿および江合川沿いにあって郷土工芸品のこけしで有名な鳴子・東鳴子・川渡と、上流の大谷川沿いにある中山平の4つの温泉があります。
さらにこれら温泉の北にある鳴子ダムによってできた荒雄湖の先にある、鬼首温泉を加えた5つの温泉の総称が鳴子温泉郷です。
鬼首カルデラの中にある温泉郷の源泉は、湯量が豊富でその数は400近くあり、ほとんどの温泉旅館やホテルが自家源泉を持っていて豊富な湯量を誇っています。
またそれぞれが複数の源泉を引いていることが多く、施設によっては4種類の源泉があるなど、異なる泉質の源泉かけ流しの入浴を楽しめます。
日本の旧温泉泉質10種類のうちの7種類の源泉があることでも有名な温泉郷です。
鳴子(なるこ)温泉
昔から「奥州三名湯」としてとして親しまれ、国道47号線に沿う形で広がる温泉郷の中心部にあって、最も大きくにぎやかな温泉街があります。
温泉街では「下駄も鳴子」というキャンペーンが展開されていて、下駄型の手形を購入すると温泉街での食事やお土産品購入の際の特典があります。
街中では鳴子名物のこけしがポストや電話ボックスなどになっていて、「日本こけし館」などのこけし造り資料館などがあり、旅館に宿泊した際には下駄を借りての散策がおススメです。
鳴子温泉は「鳴子(湯元)、河原湯、元車湯、新車湯」の四湯の総称で、これらの源泉は温泉郷の中でもとくに皮膚に良いとされ、泉質別適応症に切り傷・末梢循環障害・冷え性・うつ状態・皮膚乾燥症があります。
ここでは旧泉質で言う「塩化物泉」・「炭酸水素塩泉」・「硫酸塩泉」・「含鉄泉」・「酸性泉」・「硫黄泉」・「単純温泉」の7つの泉質の源泉が涌いていて、さまざまな泉質のお湯をはしごすることができます。
なお、観光客が日帰り入浴できる場としては、「滝の湯」と「早稲田桟敷湯」という2つの共同浴場があります。
鳴子温泉<Information>
- 温泉名:鳴子温泉(鳴子温泉郷観光協会)
- 所在地:宮城県大崎市鳴子温泉字湯元2-1
- 電話番号:0229-82-2102
- URL:鳴子温泉郷観光協会 公式サイト
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東鳴子(ひがしなるこ)温泉
仙台から見ると鳴子温泉郷の入り口にあり、かつては仙台藩御用達の「御殿湯」があった湯治場で、赤湯温泉と田中温泉の湯治旅宿が10数軒ほどと商店があるこじんまりした温泉街です。
鳴子温泉街からは約1.5km離れていて、古くから湯治場として利用されていたため、素泊まりや自炊ができる旅館が多い温泉です。
源泉の泉質には「炭酸水素塩泉」・「塩化物泉」・「硫酸塩泉」・「硫黄泉」などがあり、重曹(炭酸水素ナトリウム)を多く含んでいるため美肌効果が高いとされています。
そのほか、切り傷・抹消循環障害・冷え性などにも効果があり、源泉の「炭酸水素塩泉」中には植物に由来する有機物を含む黒褐色の希少な石油のような香りがただよう「モール泉」もあります。
東鳴子温泉<Information>
- 温泉名:東鳴子温泉
- 所在地:宮城県大崎市鳴子温泉
- 電話番号: 0229-83-3441(鳴子観光・旅館案内センター)
- URL:東鳴子温泉観光協会 公式サイト
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川渡(かわたび)温泉
温泉郷の中でも1,000年以上前に開湯されたとされ、古くから「脚気川渡(かっけかわたび)」として脚気に効くとして親しまれてきた温泉で、春には一面黄色に染まる江合川の河川敷にある菜の花畑で有名です。
泉質は「含硫黄-ナトリウム-炭酸水素泉」・「単純硫黄泉」・「単純温泉」で、泉質別適応症は切り傷・抹消循環障害・冷え性・皮膚乾燥症で、泉温が低いため湯治やリハビリなどの温泉療法に適しているとされています。
こじんまりした温泉街には商店や喫茶店に、昔から湯治客に利用されてきた5軒の温泉宿と1軒の共同浴場があり、街のあちらこちらに「豆こけし」が隠されているので、それらを探して歩くのも楽しいですね。
川渡温泉<Information>
- 温泉名:川渡温泉
- 所在地:宮城県大崎市鳴子温泉
- 電話番号:0229-82-2102(鳴子温泉郷観光協会)
- URL:川渡温泉旅館組合 公式サイト
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中山平(なかやまだいら)温泉
鳴子温泉街から、松尾芭蕉が「奥の細道」に記した「尿前の関(しとまえのせき)」を越えた先の、大谷川沿いの静かな山間にある自然に囲まれた温泉で、鳴子温泉郷の中で最も湯量が豊富です。
旧泉質名で「硫黄泉」・「食塩泉」・「重曹泉」とされる源泉には、炭酸水素イオンや炭酸イオンが多く含まれ、アルカリ性のぬるぬるした感触のお湯であるため、「うなぎ湯」などとも呼ばれ、美肌の湯とされています。
泉質別適応症は切り傷・末梢循環障害・冷え性・皮膚乾燥症などです。
江合川沿いにあるほかの温泉と違って源泉には高温泉が多く、これは火山性の高温・高圧のアルカリを伴う塩化水素ガスの影響を受けているためとされ、中山平温泉の源泉は泉質が異なると言われています。
温泉郷の西側の入り口となる温泉街には8軒の温泉宿と1軒の共同浴場「しんとろの湯」があります。
中山平温泉<Information>
- 温泉名:中山平温泉
- 所在地:宮城県大崎市鳴子温泉
- 電話番号:0229-83-3441
- URL:中山平温泉観光協会 公式サイト
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鬼首(おにこうべ)温泉
ほかの4つの温泉とは北に離れていて、周辺の小さな一軒宿温泉(吹上、轟、宮沢)などと一緒に「鬼首温泉郷」とも呼ばれていて、地熱が高い周辺には自然湧出している野湯もあります。
吹上温泉には「弁天」と「雲竜」と呼ばれる2つの間欠泉があり、「弁天」は10分間隔で15mほどの高さで、「雲竜」10~20分間隔で3mほど吹き上がります(12月上旬から翌年3月下旬までは見学できません)。
5軒の温泉宿には無色透明のトロっとした肌触りの「単純温泉」や「食塩泉」が引かれていて、泉質別適応症は自律神経不安定症、不眠症、うつ状態などです。
なお、共同浴場の「すぱ鬼首の湯」は11月下旬から翌年4月下旬まで冬季休業となります。
鬼首温泉<Information>
- 温泉名:鬼首温泉
- 所在地:宮城県大崎市鳴子温泉鬼首
- 電話番号:0229-86-2111(鬼首温泉観光協会 事務局 株式会社オニコウベ)
- URL:鬼首温泉観光協会 公式サイト
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まとめ
日本の温泉郷の中でも鳴子温泉郷には、新泉質名であれば27種類もの源泉が湧出しています。
そのほかにも希少とされる「モール泉」があるなど、泉質のバラエティは東北随一です。
また、お隣の山形県にある赤倉温泉や瀬見温泉の旅館や共同浴場でも入浴できる「湯めぐりチケット」が販売されていて、宮城と山形をまたいでの湯めぐりを楽しめます。
ぜひ一度、鳴子温泉郷を訪れて利用してみてはいかがでしょうか。