【山形県鶴岡市】4か所の国民保養温泉地が集まる鶴岡市

鶴岡市には、「湯田川温泉(ゆたがわおんせん)」「あつみ温泉」「湯野浜温泉(ゆのはまおんせん)」「由良温泉(ゆらおんせん)」という4か所の[国民保養温泉地]があります。国民保養温泉地とは環境省が指定する、保養地としてふさわしいさまざまな条件をクリアした温泉地です。2022年末現在全国79か所の温泉地が指定されていて、鶴岡市の4か所は全国市町村最多となっています。


鳥海山を望む湯野浜温泉 ©山形県

[国民保養温泉地]

国民保養温泉地とは、温泉の公共的利用増進のため、温泉利用の効果が十分期待され、かつ、健全な保養地として活用される温泉地を「温泉法」に基づき、環境大臣が指定するものです。

指定基準は概ね以下の基準によります。

第1 温泉の泉質及び湧出量に関する条件

(1)利用源泉が療養泉であること。(2)利用する温泉の湧出量が豊富であること。なお、湧出量の目安は温泉利用者1人あたり0.5リットル/分以上であること。

第2 温泉地の環境等に関する条件

(1)自然環境、まちなみ、歴史、風土、文化等の観点から保養地として適していること。

(2)医学的立場から適正な温泉利用や健康管理について指導が可能な医師の配置計画又は同医師との連携のもと入浴方法等の指導ができる人材の配置計画若しくは育成方針等が確立していること。

(3)温泉資源の保護、温泉の衛生管理、温泉の公共的利用の増進並びに高齢者及び障害者等への配慮に関する取組を適切に行うこととしていること。

(4)災害防止に関する取組が充実していること。

(引用:環境省「国民保養温泉地」)


山形県内で8か所指定されている[国民保養温泉地]

山形県では鶴岡市の4か所のほかに、蔵王温泉(ざおうおんせん/山形市)、銀山温泉(ぎんざんおんせん/尾花沢市)、碁点温泉(ごてんおんせん/村山市)、肘折温泉(ひじおりおんせん/大蔵村)が指定されていて、これも全国都道府県最多です。

鶴岡の奥座敷、出羽三山参りに便利な「湯田川温泉」

落ち着いた雰囲気の湯田川温泉 ©山形県

「湯田川温泉」は、2015年(平成27年)に国民保養温泉に指定された鶴岡市中心街からほど近い山間の温泉です。鶴岡の奥座敷といわれ、旧藩時代には庄内藩士遊興の場として、また、農民にとっては湯治場として農閑期はとりわけ栄えました。

湯田川温泉の共同浴場 正面の湯。入浴料は200円 ©やまがたへの旅

開湯は約1,300年前といわれ、ひどく傷を負った1羽の白鷺が傷を癒やしたという白鷺伝説があります。泉質はナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉で、無色透明・無味無臭、源泉温度42.2℃と比較的ぬるめで刺激が少ない柔らかいお湯です。源泉は1か所で湧出量は毎分1,000リットルと豊富で、温泉は集中管理されています。温泉施設は6軒の温泉宿、2軒の日帰り入浴施設、それに足湯があり、源泉かけ流しの新鮮な温泉が楽しめます。

湯田川温泉名物孟宗竹料理 ©やまがたへの旅

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  • 名称:湯田川温泉
  • 所在地::山形県鶴岡市湯田川
  • 電話番号:0235-35-4111(湯田川温泉観光協会)
  • URL:湯田川温泉
  • アクセス:
  • 鉄道/JR羽越本線鶴岡駅から路線バスで約30分
  • 車/山形自動車道鶴岡ICから約10分

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サーフィン(波乗り)発祥の地「湯野浜温泉」

開放的な雰囲気でマリンスポーツも盛んな湯野浜温泉 ©やまがたへの旅

「湯野浜温泉」は、鶴岡市中央部の日本海沿いに位置する温泉地で、2018年(平成30年)に国民保養温泉地の指定を受けました。温泉の歴史は1,000年前に、亀が海辺で傷を癒やしていたのが温泉発見のきっかけだったといわれています。

泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物泉で、弱アルカリ性の日本海のミネラルをふんだんに含んでいる良質な温泉でよく温まります。源泉は6か所。集中管理されて各施設に配湯されています。温泉施設は11軒の温泉ホテル、4軒の民宿それに2軒の日帰り入浴施設の17施設です。ほかに、足湯、飲泉所があります。日本におけるサーフィン(江戸時代の日記に湯野浜で波乗りの記述)発祥の地でもあり、マリンスポーツや砂浜でのヨガ体験など、アクティビティも豊富です。

宿からも美しい夕陽が望める湯野浜温泉 ©やまがたへの旅

砂浜に面して温泉施設が並び、目の前には日本海が広がります。特に水平線に沈む夕陽は感動的です。近くにはクラゲで有名な『加茂水族館』や海の神様龍神を祀る寺として知られる『善寳寺(ぜんぽうじ)』、江戸から明治時代にかけて北前船の寄港地として栄え、昔の建物が多く残る加茂港があります。また、鶴岡市中心部や出羽三山へのアクセスもよく、鶴岡観光の拠点として一年中多くの観光客でにぎわう温泉です。

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  • 名称:湯野浜温泉
  • 所在地:山形県鶴岡市湯野浜1
  • 電話番号:0235-75-2258(湯野浜温泉観光協会)
  • URL:湯野浜温泉
  • アクセス:鉄道/JR羽越本線鶴岡駅から湯野浜温泉方面行きバスで約40分 車/日本海東北自動車道庄内空港ICから国道112号線で約10分

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羽黒山開山の祖・蜂子皇子の八乙女伝説が残る「由良温泉」

八乙女伝説が残る由良海岸に面した由良温泉 ©やまがたへの旅

「由良温泉」は、[日本の渚百選][日本の快水浴場百選(環境省選定)]に選ばれた美しい景観と、羽黒山の開祖、蜂子皇子(はちこのおうじ)が上陸したと伝わる由良海岸を臨むリゾート型の温泉地です。国民保養温泉地の指定は2022年(令和4年)で、泉質はナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉、源泉温度59℃となっています。温泉施設は温泉宿、民宿をあわせて8軒です。

“八乙女伝説”とは、由良沖を漂っていた蜂子皇子を8人の乙女が岩の上から笛を吹いて由良の浜に招き入れ、その後三本足の烏に導かれ羽黒山へ赴いたという羽黒山開山の伝説です。

日本の夕陽100選に選ばれている由良温泉の夕陽 ©やまがたへの旅

由良海岸は由良海水浴場になっていて、海岸から50m程沖に位置する白山島とは、朱塗りの橋で結ばれています。海岸から白山島越しに望む日本海に沈む夕陽は必見です。

由良海岸と赤い橋でつながっている白山島 ©旅東北

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  • 名称:由良温泉
  • 所在地:山形県鶴岡市由良
  • 電話番号:0235-73-2250(由良温泉観光協会)
  • URL:由良温泉
  • アクセス:鉄道/羽越本線あつみ温泉駅下車、湯野浜温泉行きバスで約40分 車/日本海東北自動車道庄内空港ICから国道112号線で約20分

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毎分1,300リットルと豊富な湧出量を誇る「あつみ温泉」

温海川沿いに宿が並ぶ自然が豊かな温海温泉 ©やまがたへの旅

「あつみ温泉(温海温泉)」は、新潟県との県境近くの日本海側にある1,200年ほどの歴史がある温泉です。江戸時代は庄内藩のご用湯として栄えました。

「あつみ温泉」の中心街には温海川が流れ、海岸線まで数百メートルという場所にもかかわらず、周りを山で囲まれているという特異な地形から、海と山に恵まれた自然豊かな環境が特長となっています。

温泉街にある無料の足湯 ©やまがたへの旅

泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉。無色透明でわずかに硫化水素臭と塩味があります。国民保養温泉地には2019年(令和元年)に指定されました。源泉の井戸は3本、源泉温度は59℃ほど(3源泉混合)、湧出量は毎分1,300リットルと大変豊富です。

温泉施設は温泉旅館が7軒に、日帰り温泉施設と足湯が1か所ずつあります。温泉街で開かれる朝市は300年ほどの歴史があり、「あつみ温泉」の名物になっています。温海地域の特産品である温海かぶは、現在も伝統的な焼畑農法で栽培されていて、伝統料理のカブ漬けは旅館の定番料理としてまた、お土産として喜ばれています。

温海の名産温海カブ(赤カブ)の漬け物 ©山形県

「あつみ温泉」から近い鼠ヶ関には、越後国(えちごのくに/新潟県)と出羽国(でわのくに/山形県・秋田県)の国境にあった関所「鼠ヶ関(ねずがせき/念珠ヶ関)」や源義経が上陸したと伝わる鼠ヶ関の浜など歴史的遺産が多く残っています。

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  • 名称:あつみ温泉
  • 所在地:山形県鶴岡市湯温
  • 電話番号:0235-43-3547(あつみ観光協会)
  • URL:あつみ温泉
  • アクセス:鉄道/JR羽越本線あつみ温泉駅下車 車/日本海自動車道あつみ温泉ICから約5分

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誰もを満足させる料理自慢の宿がそろう鶴岡の温泉宿

「湯田川温泉」「湯野浜温泉」「由良温泉」「あつみ温泉」の魅力は温泉やのんびりできる環境ですが、もうひとつ4つの温泉地に共通する特長として、鶴岡の伝統野菜や日本海の幸、山形牛など最高の食材を使った料理の素晴らしさです。伝統と革新、料理人が心を込めて作る料理の数々は、「ユネスコ食文化創造都市」鶴岡を代表する味として、誰をも満足させてくれるに違いありません。

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