
出羽100観音といわれる山形県内3か所の三十三観音巡り【山形県】
目次
山形県での三十三観音巡りの始まりは、室町時代に始まった「最上(もがみ)三十三観音巡り」といわれています。
580年ほど前に始まったと伝わるこの三十三観音巡礼は次第に近隣地域に広まり、江戸時代に入って旧米沢藩領地内に「置賜(おきたま)三十三観音」、さらに1700年代前半には庄内藩に「庄内三十三観音」が定められました。
三十三観音巡りを3か所回ることを“百観音巡り”といわれることがありますが、「日本百観音」と呼ばれる
- 西国(さいごく)三十三観音(和歌山県、大阪府、奈良県、京都府、兵庫県、滋賀県、岐阜県)
- 板東(ばんどう)三十三観音(神奈川県、東京都、埼玉県、群馬県、栃木県、茨城県、千葉県)
- 秩父(ちちぶ)百観音(埼玉県)
の3つをすべて巡るためには、相当の時間と費用がかかります。
その点「最上三十三観音」「庄内三十三観音」「置賜三十三観音」で構成される『出羽百観音』は山形県内だけで完結していて、巡礼するのも容易です。
※『出羽百観音』は100か寺ではなく、首番・番外を含め102か寺になっています。

三十三観音巡礼は、正式には白い巡礼衣裳に身を包み、金剛杖を持って白い地下足袋で歩くのですが、現代では自家用車やバスを使って各観音堂を巡り、御朱印を授かるだけでも何ら問題ありません。
観音様にお参りするとなにか清々しい気分になることは確かですね。三十三観音巡りは日本人にとっての心の洗濯なんでしょう。
御朱印はその場で授かれない札所によってはもありまが、指定された札所や場所でいただける場合がありますので、観音巡りをする前にお確かめください。
奈良時代に奈良から始まった三十三観音巡り
三十三観音巡りは、奈良時代初期に大和国の長谷寺(はせでら/奈良県桜井市)を創建した徳道上人(とくどうしょうにん)が、33の姿に変身して人々を救済するという観音菩薩を祀る33の寺を、霊場として定めたのが始まりといわれています。
三十三観音巡りは長い年月をかけて全国へと広がっていきます。
江戸時代には今でも有名な西国三十三所巡礼や板東三十三観音など広域にわたるもの、秩父三十四観音霊場、会津三十三観音(福島県会津地方)といった狭い地域のものなど400か所以上にもなる霊場があったといわれています。
光姫の伝説が語り継がれる「最上三十三観音」

「最上三十三観音」には、最上地方を領地としていた最上家の5代目頼宗(よりむね)の娘光姫(ひかりひめ)の悲しい物語が語り継がれています。
時代は室町時代(1400年前後)、美しいお姫様光姫をめぐってふたりの武将が争います。そして横恋慕男は死刑に、最愛の人は病死と悲劇が続き、光姫は三十三観音巡りの旅に出ます。
この旅が「最上三十三観音」のはじまりといわれていますが、その頃にはすでに「最上三十三観音」は存在していたという説もあります。(参照:最上義光歴史館)
「最上三十三観音」の札所が点在する地域は、最上氏が領地としていた現在の山形市、村山市・寒河江市・尾花沢市、天童市などの村山地方(江戸時代はこのエリアが最上郡と呼ばれていた)と新庄市を中心とする最上地方(江戸時代は村山郡)にまたがっています。

「最上三十三観音」は、天童市の[若松観音(わかまつかんのん)/若松寺(じゃくじょうじ)]から始まります。
若松寺はあの花笠音頭で“めでためでたのわかまつさま~”と歌われている“わかまつさま”です。
2番札所は[山寺(やまでら)/千手院(せんじゅいん・山形市)]、3番札所[千手堂(せんじゅどう)/吉祥院(きちじょういん)・山形市)]と続き、第33番札所[庭月(にわつき)/月蔵院(げつぞういん・鮎川村)]で終わるのですが、番外として[世照(よをてらす)/天徳寺(てんとくじ・最上町)]が加わっています。
最上三十三観音【一覧】
- 一番札所 若松観音(天童市)
- 二番札所 山寺(やまでら/山形市)
- 三番札所 千手堂(せんじゅどう)観音(山形市)
- 四番札所 円応寺(えんのうじ)観音(山形市)
- 五番札所 唐松(からまつ)観音(山形市)
- 六番札所 平清水(ひらしみず)観音(山形市)
- 七番札所 岩波(いわなみ)観音(山形市)
- 八番札所 六椹(むつくぬぎ)観音(山形市)
- 九番札所 松尾山(まつおさん)観音(山形市)
- 十番札所 上ノ山(かみのやま)観音(上山市)
- 十一番札所 高松(たかまつ)観音(上山市)
- 十二番札所 長谷堂(はせどう)観音(山形市・御朱印は第一番札所若松観音及び第三十三番札所庭月観音で配布)
- 十三番札所 三河村(みかわむら)観音(山辺町)
- 十四番札所 岡村(おかむら)観音(中山町)
- 十五番札所 落裳(おとも)観音(寒河江市)
- 十六番札所 長岡(ながおか)観音(寒河江市)
- 十七番札所 長登(ながのぼり)観音(西川町)
- 十八番札所 岩木(いわき)観音(河北町)
- 十九番札所 黒鳥(くろとり)観音(東根市)
- 二十番札所 小松沢(こまつざわ)観音(村山市)
- 二十一番札所 五十沢観音(いさざわ/尾花沢市)
- 二十二番札所 延沢(のべさわ)観音(尾花沢市)
- 二十三番札所 六沢(ろくさわ)観音(尾花沢市)
- 二十四番札所 上ノ畑(かみのはた)観音(尾花沢市)
- 二十五番札所 尾花沢(おばなざわ)観音(尾花沢市)
- 二十六番札所 川前(かわまえ)観音(大石田町・御朱印所は毎年変わるので要問い合わせ)
- 二十七番札所 深堀(ふかぼり)観音(大石田町・御朱印所は毎年変わるので要問い合わせ)
- 二十八番札所 塩ノ沢観音(大石田町)
- 二十九番札所 大石田(おおいしだ)観音(大石田町)
- 三十番札所 丹生村(にゅうむら)観音(御朱印は舘野宅へ・尾花沢市)
- 三十一番札所 富沢(とみざわ)観音(最上町)
- 三十二番札所 太郎田(たろうだ)観音(御朱印は明学院へ・最上町)
- 三十三番札所 庭月(にわつき)観音(鮭川村)
- 番外 世照(よをてらす/せしょう)観音(最上町)

最上三十三観音
- 問い合わせ先:023-647-2333(やまがた観光情報センター)
- URL:最上三十三観音
最上三十三観音【主な文化財】
第一番札所 若松観音(天童市)

- 若松寺観音堂(国指定重要文化財)
- 板絵著色神馬図(国指定重要文化財)
- 金銅聖観音像懸仏(国指定重要文化財)
- 納札及び巡礼札(山形県指定文化財)
- 木造行基菩薩坐像(天童市指定文化財)
※公式URL:若松寺
第三番札所 千手堂(山形市)
- 千手観世音菩薩(国指定重要文化財)
第九番札所 松尾山観音(山形市)
- 松尾山観音堂(国指定重要文化財)
- 聖観世音菩薩・勢至菩薩(山形県指定文化財)
- カツラとヒガンザクラ(山形市の天然記念物)
第三十三番札所 庭月観音(鮎川村)

- 阿弥陀堂/千体仏(鮭川村指定有形民俗文化財)
出羽三山からはじまった「庄内三十三観音」

「庄内三十三観音」は、33か寺に首番と番外を加え35か寺で構成されています。
「庄内33観音」を定めたといわれる[荒澤寺(こうたくじ)]を首番として、荒澤寺の本坊である[羽黒山荒澤寺 正善院(しょうぜんいん)]が一番札所となり、湯殿山即身仏で知られる[大日坊(だいにちぼう/九番札所/鶴岡市))][南岳寺(なんがくじ/二十九番札所/鶴岡市))][注連寺(ちゅうれんじ/三十一番札所/鶴岡市)]など出羽三山の寺院を中心とする34か寺と、[観音寺(かんのんじ/酒田市)]が番外として加わっています。
庄内三十三観音【一覧】
- 首番札所 荒澤寺(鶴岡市)
- 一番札所 正善院(鶴岡市)
- 二番札所 金剛樹院(こんごうじゅいん/鶴岡市)
- 三番札所 善光寺(ぜんこうじ/山形県)
- 四番札所 長現寺(ちょうげんじ/鶴岡市)
- 五番札所 永鷲寺(ようじゅじ/鶴岡市)
- 六番札所 光星寺(こうしょうじ/庄内町)
- 七番札所 法光院 (ほうこういん/鶴岡市)
- 八番札所 地蔵院(じぞういん/鶴岡市)
- 九番札所 大網大日坊(おおあみだいにちぼう/鶴岡市)
- 十番札所 持地院(じちいん/酒田市)
- 十一番札所 円通寺(えんつうじ/酒田市)
- 十二番札所 総光寺(そうこうじ/酒田市)
- 十三番札所 宝蔵寺(ほうぞうじ/酒田市)
- 十四番札所 乗慶寺(じょうけいじ/庄内町)
- 十五番札所 龍澤寺(りゅうたくじ/酒田市)
- 十六番札所 海禅寺(かいぜんじ/遊佐町)
- 十七番札所 東光寺(とうこうじ/酒田市)
- 十八番札所 延命寺(えんめいじ/酒田市)
- 十九番札所 龍頭寺(りゅうとうじ/遊佐町)
- 二十番札所 光国寺(こうこくじ/酒田市)
- 二十一番札所 松葉寺(しょうようじ/遊佐町)
- 二十二番札所 洞泉寺(どうせんじ/三川町)
- 二十三番札所 勝伝寺(しょうでんじ/鶴岡市)
- 二十四番札所 冷岩寺(れいがんじ/庄内町)
- 二十五番札所 竜宮寺(りゅうぐうじ/鶴岡市)
- 二十六番札所 長福寺(ちょうふくじ/鶴岡市)
- 二十七番札所 井岡寺(せいこうじ/鶴岡市)
- 二十八番札所 龍覚寺(りゅうかくじ/鶴岡市)
- 二十九番札所 南岳寺(なんがくじ/鶴岡市)
- 三十番札所 照光寺(しょうこうじ/鶴岡市)
- 三十一番札所 注連寺(鶴岡市)
- 三十二番札所 吉祥寺(きちじょうじ/鶴岡市)
- 三十三番札所 青龍寺(しょうりゅうじ/鶴岡市)
- 番外札所 観音寺(かんのんじ/酒田市)
庄内三十三観音
- 問い合わせ先:023-647-2333(やまがた観光情報センター)
- URL:庄内三十三観音
庄内三十三観音【主な文化財】
第一番札所 正善院(鶴岡市)

- 黄金堂(国指定重要定文化財・日本遺産)
第十八番札所 延命寺(酒田市)
- 23基の板碑(山形県指定文化財)
第九番札所 大日坊(鶴岡市)
- 金銅仏釈迦如来立像(国指定重要文化財)
- 即身仏 真如海上人(しんにょかいしょうにん)
第二十九番札所 南岳寺(鶴岡市)

- 即身仏 鉄竜海上人(てつりゅうかいしょうにん)
※本来の観音堂は南岳寺境内から離れた場所にありますが(「七日町観音堂」鶴岡市本町2丁目)無人のため、三十三観音巡りの札所は南岳寺境内の観音堂になり、御朱印も境内で受けられます。
第三十一番札所 注連寺(鶴岡市)
- 即身仏 鉄門海上人(てつもんかいしょうにん)
直江兼続の霊をともらう「置賜三十三観音」

「置賜三十三観音」は、米沢初代藩主・上杉景勝(うえすぎかげかつ)の重臣だった直江兼続(なおえかねつぐ)の側室・お船の方が、兼続の死後にその霊を弔うため米沢地方に33観音の霊場を定めたのが始まりと伝えられています。
置賜三十三観音【一覧】
- 一番札所 上小菅(かみこすげ)観音(米沢市/朱印所まで400m・我彦氏宅)
- 二番札所 高峰(たかみね)観音(飯豊町)
- 三番札所 黒沢(くろさわ)観音(飯豊町)
- 四番札所 中村(なかむら)観音(飯豊町/朱印所まで2.4km・長岡宅)
- 五番札所 九野本(くのもと)観音(長井市/御朱印は第21番小野川観音で授与)
- 六番札所 時庭(ときにわ)観音(長井市)
- 七番札所 高玉(たかだま)観音(白鷹町)
- 八番札所 深山(みやま)観音(白鷹町)
- 九番札所 杉沢(すぎさわ)観音(白鷹町/朱印所:橋本氏宅)
- 十番札所 宮の(みやの)観音(長井市/朱印所:遍照寺)
- 十一番札所 萩生(はぎゅう)観音(飯豊町/御朱印は第21番小野川観音で授与)
- 十二番札所 赤湯(あかゆしょう)聖観音(南陽市)
- 十三番札所 関寺(せきでら)観音(白鷹町/観音堂および朱印所は佐藤氏宅)
- 十四番札所 置霊(おいため)観音(川西町)
- 十五番札所 火の目(ひのめ)観音(米沢市/御朱印は第14番置霊観音で授与)
- 十六番札所 鮎貝(あゆかい)観音(白鷹町/朱印所:ちょうちん工房豊邦)
- 十七番札所 芦沢(あしざわ)観音(長井市/観音堂及び朱印所は武田氏宅)
- 十八番札所 新山(にいやま)観音(南陽市)
- 十九番札所 笹野(ささの)観音(米沢市)
- 二十番番札所 仏坂(ほとけざか)観音(白鷹町/朱印所:大聖院(別当)
- 二十一番札所 小野川(おのがわ)観音(米沢市)
- 二十二番札所 広野(ひろの)観音(白鷹町/朱印所:新野氏宅)
- 二十三番札所 川井(かわい)観音(米沢市)
- 二十四番札所 桑山(くわやま)観音(米沢市)
- 二十五番札所 赤芝(あかしば)観音(米沢市)
- 二十六番札所 遠山(とおやま)観音(米沢市)
- 二十七番札所 高岡(たかおか)観音(白鷹町/朱印所は3.2km先の第16番鮎貝観音裏手)
- 二十八番札所 宮崎(みやざき)観音(南陽市)
- 二十九番札所 松岡(まつおか)観音(白鷹町)
- 三十番札所 長谷(はせ)観音(南陽市)
- 三十一番札所 五十川(いかがわ)観音(長井市/朱印所:村上氏宅)
- 三十二番札所 森(もり)観音(長井市/朱印所:森公民館)
- 三十三番札所 戸塚山(とづかやま)観音(米沢市)
※第四番札所中村観音は、災害復旧工事が完成し2026年春より参拝が可能となりました。
置賜三十三観音
- 問い合わせ先:0238-32-2929(置賜三十三観音札所会事務局)
- URL:置賜三十三観音
置賜三十三観音【主な文化財】
第四番札所 中村観音 松尾山 天養寺(飯豊町)

- 中村観音堂(山形県指定文化財)
第八番札所 深山観音 大深山 観音寺(白鷹町)
- 深山観音堂(国指定重要文化財)
第十番札所 宮の観音 大悲山 普門坊(長井市)

- 馬頭観音立像(山形県有形文化財)





















