HB-E220系

JR釜石線に新型ハイブリッド気動車HB-E220系が登場!【岩手県】

岩手県内を走るJR釜石線で、新型ハイブリッド気動車であるHB-E220系の運行が始まっています
どのような車両なのか、そして2026年3月のJRのダイヤ改正で釜石線がどのように変わったのかを紹介します。


JR釜石線とは?

釜石線
Kawasemi556 – 地図: 投稿者自身による著作物使用データ: 国土交通省 国土数値情報(行政区域(N03)・鉄道(N02)・湖沼(W09)), CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=127788816による

釜石(かまいし)線は、岩手県花巻市にある花巻駅と、釜石市にある釜石駅までの、90.2kmを結ぶJR東日本の鉄道路線です。岩手県中部の内陸側と太平洋沿岸を結ぶ役割を果たしています。
かつては釜石の製鉄所や鉱山に関係する貨物列車も運行されていたものの、現在は旅客輸送のみが行われている、ローカル色の強い路線です。

童話作家の宮沢賢治が現在の花巻市出身であることから、彼の作品の1つである『銀河鉄道の夜』にちなんで「銀河ドリームライン釜石線」という愛称がつけられています。宮沢賢治の作品に、19世紀に考案された人工言語のエスペラントがよく登場することから、釜石線の全24駅にもエスペラントで愛称がつけられています。

起点の花巻駅では、東京都の東京駅と、岩手県の盛岡駅を結ぶ東北本線への乗り換えが可能。
途中の新花巻駅では、東京駅と青森県の新青森駅を結ぶ東北新幹線と乗り換えられます。
また、終点の釜石駅では、岩手県大船渡市の盛(さかり)駅から、釜石駅や宮古市の宮古駅を経て、久慈市の久慈駅までを結ぶ三陸鉄道リアス線と乗り換えられます。

以上の3駅と、途中にある遠野駅以外は、駅員が終日不在の無人駅という、典型的なローカル線の様相を呈しています。

遠野駅の駅舎
遠野駅の駅舎

釜石線の列車

釜石線には、大別すると普通列車と快速列車の2種類の列車が運行されています
(2026年3月14日のダイヤ改正時点の情報)。

普通列車

花巻駅と釜石駅を、全ての駅に停車して結ぶ普通列車が、釜石行きの下り列車は1日6本、釜石発の上り列車は7本運行されています。
これらの列車の内、夜の下り2本と、朝の上り1本・夜の上り1本は、花巻駅で東北本線に乗り入れて、盛岡駅~釜石駅間で運行されます。
また、朝方に遠野発・釜石行きが1本、遠野発・盛岡行きが1本、深夜に花巻発・遠野行きが1本運行されます。

快速列車

釜石線では、停車駅の少ない快速列車が運行されています。
毎日運転される快速列車としては「はまゆり」があります。1日上下3本ずつが運行されていて、運行区間はいずれも盛岡駅~釜石駅間です。途中の主な停車駅は、矢幅、花巻、新花巻、宮守、遠野などとなっています。

また「のってたのしい列車」(観光列車)である「ひなび(陽旅)」を用いた「ひなび釜石」が、多客期には1日1往復運行されることがあります。この列車も「はまゆり」と同じく盛岡駅~釜石駅間の運行です。

ひなび釜石
ひなび釜石

「ひなび釜石」よりも運行頻度は下がりますが「POKÉMON with YOU トレイン」を使用した「ポケモントレイン釜石号」も、花巻駅~釜石駅間で運行されることがあります。

この他、周遊型寝台列車(クルーズトレイン)の「TRAIN SUITE 四季島」(トランスイートしきしま)が、花巻駅~遠野駅間に乗り入れます。

過去の列車

現在の釜石線の列車は比較的シンプルなラインナップですが、過去にはもう少し多様な列車が運行されていました。
その一例が、2023年6月まで運行されていたSL列車の「SL銀河」です。名前から想像がつく通り『銀河鉄道の夜』をモチーフとしていた列車でした。

>> 物語は、つづく:釜石線は夢の路線【みち】|JR東日本

SL銀河
SL銀河(運行終了済)

それから、2002年まで運行されていた急行「陸中」です。
快速「はまゆり」の前身にあたる列車で、末期の運行区間こそ現在の「はまゆり」と同じ盛岡駅~釜石駅間が中心でしたが、過去にはもっと妙な運行区間だったことで知られる列車でした。
釜石駅から山田線(現:リアス線)に乗り入れて、宮古駅まで走る、つまり盛岡駅~花巻駅~釜石駅~宮古駅の経路で運行される列車があったことなど序の口です。

1970年前後の時期には、

仙台駅~(東北本線)~花巻駅~(釜石線)~釜石駅~(山田線、現:リアス線)~宮古駅~(山田線)~盛岡駅~(東北本線、現:いわて銀河鉄道線)~好摩駅~(花輪線)~大館駅~(奥羽本線)~秋田駅

という、仙台駅・盛岡駅・秋田駅の間をあまりにも遠回りして走っていたことがあり、鉄道ファンの間では現在も語り草になっています。

それから「循環列車」の「そとやま」と「五葉」(ごよう)という列車も運行されていました。
これらの列車は、山田線、釜石線、東北本線(花巻~盛岡間)を経由することで岩手県内を一周して、始発駅も終着駅も共に盛岡駅という、特徴的な列車でした。なお走行経路は「そとやま」が時計回りで「五葉」が反時計回りです。


新型車両のHB-E220系ハイブリッド気動車とは?

HB-E220系
釜石線での運行開始に備えて輸送されるHB-E220系ハイブリッド気動車

釜石線の普通列車や快速「はまゆり」にはキハ100系気動車およびキハ110系気動車が長年使用されてきました。
なお、気動車とは、軽油を燃料としてディーゼルエンジンを回して走るタイプの車両で、電車とは異なります(近年登場する気動車は、ディーゼル発電機で生み出した電気でモーターを回すタイプが主流になっていますが、キハ100・110系はエンジンで走ります)。

2026年1月19日からは、釜石線の一部の列車が新型車両のHB-E220系での運行に切り替わりました。3月14日のダイヤ改正をもって、全ての普通列車と「はまゆり」がHB-E220系での運行に変更され、キハ100系とキハ110系は、毎日の運行からは撤退しています。

HB-E220系の従来の気動車との最大の違いは、ハイブリッド車だということです。自車に搭載されたディーゼル発電機およびバッテリーからの電力を併用してモーターを回して走行します。バッテリーを併用することで、従来の気動車よりも軽油の消費量や騒音の発生を低減できることが特徴です。

車内には、防犯カメラ、車いす・ベビーカー向けのフリースペースや、電動車いす対応の洋式トイレといった、今どきの車両ならではの設備が設けられています。

一方、キハ100系・110系は、一部の座席が前後方向に向かい合って座る形になっているセミクロスシートでした。中には、特急列車並みの座席を備えた車両もありました。しかし、HB-E220系は全ての座席が側壁を背にして座る、首都圏の通勤電車などでもおなじみのロングシートになっています。この点はサービスダウンと感じる人もいるかもしれません。
また、乗降用のドアが増やされたことなどがあって、そもそも座席数が4割程減っています。


引退したキハ100系気動車・キハ110系気動車とは?

キハ100系気動車

2026年3月のダイヤ改正で釜石線での運行を終えたキハ100系と110系は、共に1990年から営業列車としての運行を開始した車両です。
両者の見た目に大きな違いはなく、最大の違いは車両の全長で、キハ100系は16.5m、キハ110系は20.0mとなっています。
登場以来、JR東日本の数々の非電化路線(電車が走るための設備がない路線)に投入されて、釜石線でも1991年から運行されてきました。しかし、登場から35年以上経過したため、新車へ取り換える時期がきています。

2025年12月に首都圏の八高線でHB-E220系の運行が始まり、2026年1月からは釜石線でも運行が始まったため、旧型車両のキハ100系・110系の引退・廃車はこれから本格化するものと思われます。


ダイヤ改正で釜石線はどこが変わった?

2026年3月14日のダイヤ改正では、釜石線の全定期列車(毎日運行される列車)がHB-E220系での運行に変更されましたが、他にもいくつか変更点があります。

はまゆり
キハ110系で運行されていた時代の快速「はまゆり」

まず、ダイヤ改正前の「はまゆり」は3両編成の3号車が指定席でしたが、全列車が2両編成になった上、指定席がなくなりました。ロングシートしか設置されていないHB-E220系が投入されて、指定席料金を徴収するに値しなくなったために指定席が廃止されたものと思われます。
また、ダイヤ改正前の「はまゆり」には1号や6号などの号数が振られていましたが、指定席の廃止により号数の区別が必要なくなったので、号数が消滅してただの「はまゆり」になりました。

「はまゆり」以外の列車についても減車された列車があり、全列車が1両または2両での運行となりました。3両編成で運行される列車はなくなっています。ただでさえHB-E220系は座席数が減らされているので、以前よりも着席機会が減ることにはなるでしょう。

また、一部の列車について、遠野駅~釜石駅間の運行を取り止めることで、運行区間が短縮されました。前半で言及した、朝方の遠野発・盛岡行き1本と深夜の花巻発・遠野行き1本は、運行区間が短縮された結果生じた列車です。

釜石線の利用客は年々概ね減少する傾向にあり、2024年度の営業赤字は約27億円となっています。減車や運行区間の短縮が行われるのも無理からぬ状況です。

多少悲観的なことも書きましたが、釜石線はダイヤ改正前とは様変わりしました。きっと新型車両での新たな「銀河鉄道」の旅が体験できることでしょう。


その他の記事