
今新しい発見が続々! 白神山地に続く森の中に33の湖沼が点在する十二湖【青森県】
目次
- 1 十二湖の歴史を変えた弘前大学の発見
- 2 海底火山が爆発したあと、隆起してできた白神山地エリア
- 3 記録に残る1704年の大地震では、周辺地域は壊滅的な被害に
- 4 「青池」は、地滑りではなく、湧き水でできた池
- 5 水が青く見える3つの条件
- 6 「青池」の青い水は、時間、季節によって変化する
- 7 十二湖の散策には、「青池」に近い奥十二湖が便利
- 8 平成の名水に選ばれている「沸壺の池」
- 9 崩山の“大崩”が望める「金山の池」
- 10 十二湖最高のビューポイント「大崩展望所」
- 11 白い岩肌の岩壁が続く迫力満点の「日本キャニオン」
- 12 十二湖散策の拠点としておすすめの「森の物産館キョロロ」
- 13 コテージ型宿泊施設が併設されている「白神十二湖エコ・ミュージアム」
十二湖(じゅうにこ)は、青森県西南部に位置し、世界自然遺産「白神山地」から続く標高150m前後の森林地帯に、多くの湖沼が佇むエリアの総称です。湖沼の数は33か所あるのですが、名称は“十二湖”。その訳は、白神山地西端にある崩山(くずれやま/標高約940m)中腹で起きた地滑り跡の“大崩(おおくずれ)”の頂上からこの地帯を眺めると、木々の間から12個の湖が見えた、ということから、実際は33個ありながら[十二湖]と呼ばれるようになったのだそうです。
十二湖の歴史を変えた弘前大学の発見

崩山は地盤が軟らかく、地滑りをたびたび起こしている山なのですが、十二湖はその地滑りによって沢がせき止められてできたのです。その成立は最近まで1704年(宝永元年)に起きた大地震が原因と考えられていました。
弘前大学の鄒 青穎(ツォウ チンイン)准教授(農学生命科学部)のグループは、2023年4月に「十二湖は1704年の大地震(宝永岩舘地震=ほうえいいわだてじしん)の際に出現したものではなく、それ以前の1440年から1660年の間に起きた地滑りで既に形成されていた」という新事実を発表したのです。宝永岩舘地震はマグニチュード6~7という大きな揺れがあり、崩山も地滑りを起こし、大崩(おおくずれ)跡を今なお残しているのですが、十二湖への影響は少なかったと判明したのです。
鄒准教授の専門は地滑りや土砂災害のメカニズムを研究する砂防学で、防災・減災の研究を主目的として、2018年から十二湖の調査研究をスタート。特に樹木の年輪から過去の地滑りを読み解くことに成功し、この発見につなげたのです。ただ、この研究はまだ始まったばかりなので、今後の新たな展開も期待されています。

海底火山が爆発したあと、隆起してできた白神山地エリア
十二湖一帯では何故地滑りが多いのでしょう。これは十二湖一帯というより、十二湖から続く白神山地一帯の歴史に関係があります。白神山地は、太古の昔日本列島が形成される以前は海の底だったのです。約500万年前に活発な海底火山活動や隆起などによって、陸地として姿を現しました。地質は海底火山の溶岩や砂などの噴出物が堆積したもので、もろく崩れやすく、地震や大雨などで頻繁に地滑りを起こしているのです。
白神山地のブナは、このエリアが陸地になり、その後長く続いた氷河期が一段落して、温暖化が進んだ1万2000年前頃から生育が始まったといわれています。そして今のような森となったのはおよそ8500年前で、縄文時代中頃でした。
記録に残る1704年の大地震では、周辺地域は壊滅的な被害に
頻繁に起きていた地滑りですが、ほとんど記録が残っていません。唯一記録があるのは、1704年の宝永岩舘地震で、震源に近い岩舘(秋田県八峰町)では190cm、岩舘から10km北の弘前藩(津軽藩)の関所があった大間越(おおまこし/大間越関所/深浦町大間越)で45~60cmほど土地が隆起し、震源地の岩舘はもちろん、能代(秋田県能代市)や、大間越、十二湖エリアの北にある深浦、そしてかなり離れた弘前でも被害が大きかったとの記録が残っています。十二湖エリアでもかなりの隆起があり、エリアの北を流れる笹内川(ささないがわ)河口部で、弥生時代の遺跡も見つかった岩崎でも、甚大な被害が出たと推定されています。

「青池」は、地滑りではなく、湧き水でできた池
十二湖に33ある湖沼は、ほとんどがそこを流れていた沢が、地崩れによる泥流によってせき止められてできたと考えられていますが、一番有名な「青池」は湧き水でできています。
「青池」は十二湖の中で一番標高の高い場所にあり、周囲125mという小さな池です。水は青く透明で、何らかの物質が溶けて青い色をしているのではないかと考えられていましたが、2000年代に入ってからの研究で、その謎が分かったのです。
水が青く見える3つの条件
<池の水が青く見える>これには以下の3つの条件がそろうことが必要です。
- あくまでも透明な水
- 水深の深さ
- 底が白い
1 . あくまでも透明な水
水は無色透明ですが、海や湖などある程度深さのあるところの水は青い色をしています。それは太陽の光が水の中に入り、底などで反射し出てくるときには、まず赤い光が水に吸収され、水深がもう少し深くなると緑も吸収されていまいます。しかし、青い光だけは吸収されないので、人の目には青い色に見えるのです。しかし透明でないと含まれる不純物により光が乱反射してしまい、水が黒っぽく見えます。また、不純物に色が付いている場合は、水はその色になってしまうのです。
「青池」の水は湧き水なので、不純物はほとんどなく、透明度が非常に高く、底がよく見えます。条件1はクリアです。
2 . 水深の深さ
水は浅ければすべての光を反射し、深ければ青だけが反射されますが、深すぎても今度は反射した光が水面に届きません。きれいな青色に反射するのは「青池」の8~10mぐらいが丁度いいと考えられています。条件2もクリアです。
3 . 底が白い
光は白いものに反射し、黒いと吸収されてしまいます。「青池」の底は海底火山の噴出物が固まった白い岩石でできていて、光をよく反射するのです。これで条件3もクリア。
「青池」は3つの条件を、奇跡的にすべてクリアしているため、きれいな青い水をたたえたように見える池なのです。
「青池」の青い水は、時間、季節によって変化する
「青池」の青い水は、太陽光が水底に反射して青く見えるのですが、光が入る角度(入射角)によって淡い青から濁った青まで変化します。しかも、「青池」の底は、すり鉢状といわれる中心部に行くに従って深くなっています。そのため入った光の角度によって、反射光は見える場所を変えます。また、太陽光の角度は毎日変化し、季節によっても変わります。そんな複雑な光の反射が、刻々と色の変化をもたらすのです。
「青池」の色は、基本的に夏は淡く、冬は濃く、最もきれいなのが春と秋。一日では正午頃です。もちろん快晴という条件が付きます。
十二湖の散策には、「青池」に近い奥十二湖が便利

十二湖を散策するには、国道101号が走り、JR五能線十二湖駅のある西側からと、奥十二湖といわれる県道28号(白神ライン/岩崎・西目屋・弘前線)で「青池」のある東側から入るルートがあります。奥十二湖までは、グリーンシーズン(4月中旬~11月末)は十二湖駅から路線バスが運行されるので便利です(運行期間、時刻については要問い合わせ 弘南バス)。
※散策路は気象状況等により通行止めが発生する場合があります。十二湖公式ホームページ「十二湖の森」で確認してください。
十二湖 Information
- 施設名称:十二湖
- 電話番号:0173-77-3113
- URL:十二湖の森
- ※クマの出没が多くなっています。鈴やホイッスル、クマ撃退スプレーなどを所持し、単独行動を下げるなど十分に気をつけて行動してください。またスズメバチにも注意してください
平成の名水に選ばれている「沸壺の池」

「沸壺(わきつぼ)の池」は、奥十二湖にある十二湖散策の拠点「森の博物館キョロロ」から600mほどのところにあり、「青池」に次いで透明度が高い池です。池の畔には池の湧出口があり、流れ出る水は『沸壺池の清水』として環境省の「平成の名水百選」に選定されています。
崩山の“大崩”が望める「金山の池」

「金山(かなやま)の池」十二湖の最奥地帯にある池で、崩山が1704年の宝永岩舘地震の際に崩壊したといわれる“大崩”の山肌が望めます。エリアの奥の方にあり、散策するにはちょっと遠いですが、十二湖屈指の景観が魅力です。
十二湖最高のビューポイント「大崩展望所」

十二湖の景観を造ったといわれる崩山。その中腹にある「大崩展望所」は、地滑りの頂上から十二湖方面を見渡せる絶景ポイントです。目の前には鬱蒼とした森の中に輝くいくつかの湖沼やその先には大きく広がる日本海を望む大パノラマが広がります。場所はスタート地点標高約225mの「森の物産館キョロロ」から「青池」を経由して標高約694mの「大崩展望所」まで往復約3時間のトレッキングです。急な登りもあるので細心の注意を。
白い岩肌の岩壁が続く迫力満点の「日本キャニオン」

十二湖エリアには、33の湖沼のほか、ブナの原生林や“大崩”と呼ばれる崩山崩壊の跡など、大自然が造った神秘の風景がいくつもあるのですが、「日本キャニオン」もそのひとつ。白い岩肌の岩石が断崖絶壁を作っています。
白い岩石は十二湖凝灰岩(ぎょうかいがん)と命名されている火山岩の一種です。この岩石は火山由来のもので、白または灰色、緑色など淡い色を特徴としています。「日本キャニオン」の白い岩壁は凝灰岩だとは判明していたのですが、その成立過程がはっきりしていませんでした。

最近になって、弘前大学の学生らはこれが溶岩ドームだったと突き止め、2024年の地質学会で発表しました。それによると、白神山地エリアがまだ海の底だった、約1200万年前に起こった海底火山の爆発により形成された溶岩ドームで、その後の隆起活動などにより地表に現れたものだということです(2024年9月の日本地質学会で弘前大学金指由維さん(24歳)らが発表)。 日本キャニオンへは十二湖のひとつ「八景の池」近くの駐車場が展望台への入り口になっています。展望台は切り立つ白い岩の麓にあり、山道を約20分登らなければなりません。道は整備されていますが、急坂もありしっかりとした靴が必須です
十二湖散策の拠点としておすすめの「森の物産館キョロロ」

「森の物産館キョロロ」は、JR十二湖駅からの路線バス終点奥十二湖駐車場の隣にある物産館です。自家用車の駐車場やトイレなどもあるので、日帰りでの十二湖散策はここを拠点とするのがおすすめです。
森の物産館キョロロ Information
- 施設名称:森の物産館キョロロ
- 所在地:青森県西津軽郡深浦町松神1-56
- 電話番号:0173-77-2781
- 営業時間:9:00~16:30(季節によって変動あり)
- 休業日:冬季休業(12月頃~3月頃)
- URL:森の物産館キョロロ
- アクセス:
- 公共交通機関/JR五能線十二湖駅から弘南バスで約15分、奥十二湖停留所下車すぐ
- 車/秋田自動車道能代南ICから約1時間15分
Google Map
コテージ型宿泊施設が併設されている「白神十二湖エコ・ミュージアム」

「白神十二湖エコ・ミュージアム」は、十二湖と白神山地のことを学べるミュージアム。十二湖のパノラマ展示などで十二湖を学んだあとは、ミュージアムから続く遊歩道で湖沼の数々やブナの原生林などを散策できます。「青池」までは片道1時間30分くらいかかります。(バスや車だと約5分)
併設されてコテージ型の宿泊施設「アオーネ白神十二湖」があり、宿泊しての本格的な十二湖、白神山地散策に最適です。
白神十二湖エコ・ミュージアム Information
- 施設名称:白神十二湖エコ・ミュージアム
- 所在地:青森県西津軽郡深浦町大字松神字松神山1-3
- 電話番号:0173-77-3113
- 開館時間:9:00~17:00(通年開館)
- 入館料:無料
- 休館日:月曜日(月曜日が祝日の日は火曜日)
- URL:白神十二湖エコ・ミュージアム
- 施設名称:アオーネ白神十二湖
- 所在地:青森県西津軽郡深浦町大字松神字松神山1-3
- 電話番号:0173-77-3311
- 営業期間:通年営業
- ※コテージ詳細・設備・宿泊料金等はオフィシャルホームページをご覧ください
- ※宿泊者にはコテージと「森の物産館キョロロ」(「青池」近く)間の無料送迎バスがあります(冬季運休)
- URL:アオーネ白神十二湖
- アクセス:
- 公共交通機関/JR五能線十二湖駅から無料送迎バス、または路線バスで約5分、JR十二湖駅から徒歩屋買う20分
- 車/秋田自動車道能代南ICから約1時間10分





![どうして世界各地には[白神山地]より広いブナの原生林がなくなった?【青森県藤里町】 白神山地遠方岩木山](https://jp.neft.asia/wp-content/uploads/2025/09/0d3ff92f34c42ae905cbae977b5345c3-150x150.jpg)
















