蔵王のお釜

【宮城県蔵王町】エメラルドグリーンの「お釜」は爆裂火口の湖!生と死のパワーを体感しよう

宮城県といえば蔵王、蔵王といえば温泉やスキー、樹氷で広く知られています。しかし、その最も代表的なスポットといえば「お釜(おかま)」です。

ご飯の釜ではなくて、自然の巨大な釜です。それは噴火口で、非常に綺麗なエメラルドの景色を見ることができる、希少な場所です。

蔵王の日の出
蔵王の日の出

大ヒット映画「君の名は。」に出てくる糸守湖に似ているということでも一時話題になりました。今回はこの宮城の象徴とも言えるお釜を紹介していきます。


蔵王のお釜って何?

お釜は、火山が噴火したことによって形成された火口湖です。火口湖は、内部のマグマが噴出する火口に雨や地下水(温泉)が溜まることによって作られます。

この火口湖は、外輪山に囲まれてお釜に見えることから、そう呼ばれています。溜まった水に温泉成分が含まれている関係上、非常に綺麗なエメラルドグリーンになっています。太陽光によって色々なカラーに変化することから、五色沼という異名を得ています。


お釜の見物は隣の刈田岳が絶好スポット

蔵王は、あの『日本百名山』の1つに数えられています。その蔵王刈田岳山頂駐車場から徒歩5分ほどで、お釜を見られる展望台に行けます。

刈田岳山頂
刈田岳山頂

お釜自体は、五色岳に存在しています。しかし、当たり前ですがその場所にいては全体像を見ることができません。なので、隣の刈田岳山頂がお釜を見物するスポットになっています。


お釜へのアクセス方法(車の場合)

宮城県の白石市から「蔵王エコーライン」を使います。そこから分岐した「蔵王ハイライン」を通って「蔵王刈田山頂」に向かいます。

蔵王エコーライン
蔵王エコーライン

蔵王ハイラインは有料道路です。一般自動車で540円。白石蔵王駅からバスで向かうことも可能です。この場合、所要時間は約1時間30分で、1800円かかります。


「蔵王刈田山頂」から徒歩2分ぐらいで「蔵王山頂レストハウス」に着きます。一階にトイレや売店、休憩できる場所があるので、ここでひと息ついてからお釜に向かうのがおすすめです。

2階はレストランになっているので、食事を摂ることもできます。もちろん眺めは最高です。一押しメニューはお釜に入った「釜かつ丼」です。


火山ガスや霧がひどいときは気長にレストハウスで待とう

蔵王といえば、火山活動がいまだ継続している生きた山ということでも有名です。そのため、火山ガスが多く、濃い霧となってせっかくのお釜の絶景を真っ白に埋め尽くしてしまうことがあります。

蔵王エコーラインの大黒天
蔵王エコーラインの大黒天

こういったときは、気長に待つことも必要です。そんなときに、ここのレストハウスが重宝します。お釜の景色を楽しみにしながら、釜かつ丼を食べて英気を養いましょう。

レストハウスからお釜を見る絶好スポットである展望台へは、徒歩2分ぐらいです。


お釜へのアクセス方法(リフトの場合)

山形県側からは、リフトで行くのがおすすめです。やはり「蔵王エコーライン」を通って、「蔵王高原刈田駐車場」まで行きます。そこから「刈田リフト」に乗り、「蔵王刈田山頂」に向かいます。

蔵王の中央第一リフト
蔵王の中央第一リフト

リフトで蔵王の絶景を楽しみながらお釜に行けます。リフトからの眺めが動画で公式HPに掲載されています。

リンク:やまがたへの旅 – 蔵王刈田リフト


リフトは往復チケットが750円です。下駅では、お土産や名物玉こんにゃくが販売されています。濃い茶色の玉こんでとても美味しいと評判です。

往復チケットを買うと、リフトに乗っているところを記念で撮影してもらえます。お釜オリジナルフレームに入れてくれて、帰りに1000円で買えます。

リフトで登った先から徒歩15分ほどで、お釜の展望台に着きます。あまり歩きたくない、という人は、蔵王ハイラインから蔵王刈田山頂へ行くほうが良いでしょう。


見た目とは裏腹の死の海と爆裂火口の迫力

エメラルドグリーンの湖面はとても綺麗で、色々な生き物が優雅に泳いでいそうです。しかし、実際はpH3.5ぐらいの酸性なので、なんの生物もいない死の湖です。

蔵王のお釜(上空から)
蔵王のお釜(上空から)

しかし、周辺の山は生き生きとしていて、湖底からはマグマの息吹が続いています。火山の噴火によってできたため、爆裂火口と呼ばれています。

その名の通り、湖を囲む崖は、噴火の爪痕を感じさせます。お釜は、生と死、破壊や創造といった自然の美が、目に大きなインパクトとなって残る場所です。


お釜はカルデラ湖ではなく火口湖

ちなみに、こういった火口に溜まる湖を見ると、カルデラ湖と呼ぶ人が多いです。しかし、厳密にはカルデラ湖ではなく火口湖というものです。

火口湖は、カルデラ湖と似たような原理、つまりマグマの噴火によってできた穴に水が溜まって形成されます。違いはその規模で、火口湖のほうがカルデラ湖に比べて、面積、深さともに小さいです。


お釜に行くときの注意点

蔵王ハイラインで山頂付近まで簡単にアクセスできるとはいっても、刈田岳は標高1,754mです。下界とは一線を画す気候で、急に気温が下がることがあります。風も強いです。


防寒着、歩きやすい靴、雨具を忘れずに

防寒着を忘れないようにしましょう。レストハウスに向かう道などは舗装されていて歩きやすいですが、でこぼこした道もあります。歩きやすい靴、できれば登山靴を履いていったほうが安心です。天候が変わりやすいので、雨具も忘れないようにしましょう。

山の上なので日差しも強いです。日焼け止めもあったほうが良いです。


お釜に行けるのは夏~秋のみ

お釜は冬場は行くことができません。というのも、冬は蔵王エコーライン・蔵王ハイラインが雪の影響で閉鎖されるためです。

4月下旬〜11月初旬が、アクセスできる期間です。厳密な始まりと終わりは、天候の影響があってその年によって変わってきます。2018年の開通は、4月27日でした。


夏と冬でご神体がお引越しする刈田嶺神社

展望台から10分くらい登っていくと、刈田岳山頂に到達します。そこには、刈田嶺神社があります。近くには、伊達政宗の七男である伊達宗高の碑が据えられています。

刈田嶺神社(奥宮)
刈田嶺神社(奥宮)

伊達宗高は、お釜が噴火した際、易者を連れて登り、祈祷を実施したと言い伝えられています。そして山の怒りを鎮めて、治める人々を救済しました。危険を冒して登り、役割を果たしたことで、宗高はその碑とともに名君として語り継がれています。

刈田嶺神社は、山頂だけでなく麓の遠刈田温泉にもあります。2つは対になっていて、山頂のほうが奥宮、遠刈田温泉のほうが里宮と呼ばれています。

2つある理由は、神様がお引越しをするから。冬は雪に埋もれてなかなか頂上の奥宮にはお参りに来れません。そこで人々は里宮のほうにご神体をお引越し(季節遷座)させて、冬場はこちらに通いました。そしてまた夏になると元の奥宮に戻すわけです。


現在里宮から奥宮への遷座は、前述した蔵王エコーラインと蔵王ハイラインの開通に合わせて実施されています。つまり4月下旬頃です。

奥宮から里宮への遷座は、10月の第1日曜日に行われると決まっています。「御神体下山式」として実施されます。このような季節によって毎年行われる遷座は全国的にも珍しいです。季節遷座といえば刈田嶺神社といった具合です。


火口湖「お釜」についてまとめ

今回は、特に美しい火口湖で有名な宮城を代表するスポット、お釜を紹介してきました。蔵王連峰は、四季折々の表情があって、多くの人に愛されています。

冬にスキーや樹氷観光で訪れる人が多いですが、夏~秋には、このお釜を目指して行くのもおすすめです。エメラルドグリーンの美麗な湖と、荒削りの爆裂火口のコントラストは、非常にインパクトがあって面白いです。

また、伊達宗高の伝説や季節遷座という珍しい習わしがある刈田嶺神社の存在など、見所もあって楽しめます。蔵王ハイラインが閉じる前に、ぜひ行ってみましょう。

御釜<Information>

  • 名  称:蔵王の御釜(おかま)
  • 住  所:〒989-0916 宮城県刈田郡蔵王町遠刈田温泉 倉石岳国有林内 蔵王の御釜
  • 電話番号:0224-34-2725(蔵王町観光案内所)
  • 公式URL:蔵王町観光協会

Google Map



その他の記事