【岩手県宮古市】復興進む三陸ジオパークのゲートウェイ「道の駅たろう やませの丘」
目次
宮古市田老での道の駅のオープンは1995年4月でした。
当時の道の駅は田老の市街地から北に離れた高台にあったため東日本大震災の津波被害からは免れ、市街地救援のボランティアの拠点として利用されるなどしていました。
しかし、復興道路として三陸北縦貫道路が開通することで道の駅付近の国道45号線の交通量減少が見込まれ、さらに土地の貸借問題などもあり、津波で更地となった街の中心部へ移転することが決まります。
そして、2016年7月の仮オープンを経て、2018年4月7日に新しい道の駅として正式オープンしました。
道の駅たろうには何があるの?
普通車62台、身障者用2台、大型車12台の広い駐車場があり、以前高台にあった時よりもはるかに広い敷地面積となった「道の駅たろう」には次の施設があります。
観光案内所「たろう潮里ステーション」と道路情報等提供施設
三陸ジオパークなどの周辺観光地の案内所としての機能だけでなく、田老地区の防災案内や震災の記録などが展示されています。
小さな子どもが遊べるスペースも用意され、ゆったり休憩することができます。
新しくきれいなトイレがあり、休憩所では無料Wi-Fiが使用でき、国道45号線など周囲の道路情報のほか、震災前の田老地区の街並みを再現した模型が展示されています。
たろう産直組合「とれたろう」
田老周辺の季節ものとして山菜やマツタケ、またトマト・ナス・リンゴなどの農産物と、わかめ・昆布などの海藻類を中心とした海産加工品のほか、活魚水槽で活きたままの魚介類も購入できます。
おにぎりや魚介類の串焼きなども味わうことができて、工芸品や雑貨なども置かれています。
山長商店
獲れたての魚介類や干物類などのほか、野菜に果物など生鮮食品を購入できます。
まつばや餅店
大福や串団子などのもち菓子のほか、地元のお菓子「すっとぎ(豆しとぎ)」なども販売しています。
大判焼きはあんこがたっぷり入っていておすすめです。
善助屋食堂
どんこの唐揚げが「善助屋食堂」の名物で、地元で「どんこ」と呼ばれるアゾアイナメの大きな唐揚げと温泉卵が乗った「どんこの唐揚げ丼」やわかめたっぷりの「わかめラーメン(醤油味)」が人気です。 どんこの唐揚げ丼は、食堂と産直「とれたろう」でテイクアウトすることもできます。
ファストフードコーナー
コーヒーやソフトクリーム(4~11月)が美味しく、揚げたての山盛りポテトフライも評判で、立ち食いできるカウンターがあって、めかぶそば・うどんやかき揚そば・うどんなど軽食も提供されています。
ヤマザキデイリーストア 道の駅たろう店
朝7時から夜20時まで開いていて、早朝や深夜でもお弁当やおにぎりにサンドウィッチなどを購入することができて便利です。
「キッズパークたろう」とドッグラン「ワンたろう」
キッズパークには子供たちが遊べる築山の芝生の滑り台やロープウェイなどの遊具が置かれています。
ドッグラン「ワンたろう」は、小型犬用と中型大型犬用の2カ所に分かれているので小さなワンちゃんでも安心して遊べて、24時間いつでも使えて無料です。
田老野球場(キット、サクラサク野球場)
道の駅の南側隣には、防潮堤の外側にあって津波によって全壊した野球場が移設再建されています。
ネスレ日本による復興支援キャンペーン「キット、ずっとプロジェクト」と連携していたことから、同社がネーミングライツを取得して「キット、サクラサク野球場」と命名されました。
三陸鉄道職員などによる草野球チーム「三陸鉄道きっとDreams」のホームスタジアムです。
田老町と津波の歴史
2005年に合併で宮古市になる前の田老町は「津波太郎(田老)」と呼ばれるほど、その歴史は津波との戦いでした。
江戸時代初期の1611年の慶長三陸地震津波では村がほぼ壊滅し、1896年(明治29年)の明治三陸津波では田老村の345戸が一軒残らず流され、人口2248人の83%に当たる1867人が死亡しています。
この津波の後、村では震災義援金で低地の集落を移動させる話が出たものの、村民からの異論で移転計画は立ち消えとなり元の場所に村が再建されたのでした。
そして1933年(昭和8年)の昭和三陸津波では559戸中500戸が流失、死亡・行方不明者数911人を出して三陸沿岸の村々の中でも最悪の被害となったのです。
「万里の長城」と呼ばれた巨大防潮堤
田老村には全村移転可能な高台がなく、津波からの復興計画は防潮堤建造を中心にしたものでした。
1958年(昭和33年)に最初の工事が完了してから1966年(昭和41年)までに市街地と取り囲むように高さ10.45m、総延長2,433mの巨大なX字型の「万里の長城」と呼ばれる防潮堤が完成します。
1960年(昭和35年)のチリ地震津波では高さが低く、三陸沿岸で被害が出たものの田老は無事でマスコミが「田老の防潮堤が功を奏した」と報じて田老は防災の町とされ、X字防潮堤は有名になりました。
しかし東日本大震災では津波はあっけなく防潮堤を越え、田老地区は200人近い死者・行方不明者を出してしまったのでした。
「立派な防潮堤への信頼感から多くの人が逃げ遅れた」という証言もあり住民は高台に移転し、防潮堤も14.7mにかさ上げされましたが、かつて市街地だった道の駅近くは民家がまばらで更地が目立っています。
まとめ
道の駅たろうは、子供連れや愛犬連れの旅行ではキッズパークやドッグランなどで遊ばせてあげることができるので、家族でのドライブ休憩におすすめの道の駅です。
また、道の駅の周辺には震災遺構「たろう観光ホテル」があり、道の駅に展示されている記録とともに田老地区を襲った津波のすさまじさを知ることができます。
宮古方面にお出かけの際にはぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
INFORMATION
- 名称:道の駅たろう
- 所在地:岩手県宮古市田老2丁目4-5-1
- 電話番号:0193-87-3988
- 利用時間:24時間(道路情報等提供施設およびトイレ)
- 営業時間:9:00~17:00(たろう潮里ステーション、たろう産直組合「とれたろう」) (ファーストフード10:00~17:00、ヤマザキデイリー7:00~20:00、山長商店9:00~18:30、まつばや餅店9:00~18:00)
- 営業時間(善助屋食堂):11:30~15:00、17:30~20:00
- 定休日:年末年始は休みの店舗あり(そのほかファーストフード:月曜、山長商店・善助屋食堂:水曜、まつばや餅店:火曜)
- URL:宮古市役所公式サイト(道の駅たろうのご案内)