卯子酉神社

木々を埋め尽くす赤い布…遠野に残る神秘の縁結び神社「卯子酉神社」【岩手県遠野市】

小さな祠なのに強烈な存在感を放ち、赤い布が無数に結ばれている異様な光景。

ここは、柳田國男『遠野物語拾遺』にも登場する古い信仰の地、岩手県遠野市の「卯子酉(うねとり)神社」です。

卯子酉神社とは?

「卯子酉(うねとり)神社」の祭神は文殊菩薩、千手観音、不動明王とされ、それぞれが卯・子・酉年の守り本尊であることからその名がついています。

創建は寛政3年(1791年)、遠野に長く奉公していた普代村出身の平兵衛(港屋)が、普代村鳥居(現在の岩手県下閉伊郡普代村で、地名および、村の代表的な観光名所である「鵜鳥(うのとり)神社」の入口を指す)にある卯子酉明神の分霊を勧請したのが始まりとされています。


『遠野物語拾遺』にも残る縁結び伝承

卯子酉神社には柳田國男の『遠野物語拾遺』にも記されている伝承があります。それは、

遠野の町から1キロメートルほど離れた、愛宕山の山裾に「卯子酉(うねとり)様」という小さな祠がある。昔はここが大きな湖(淵)であって、その淵の主に願をかけると、不思議に男女の縁が結ばれた。その傍らにある小さな池には「片葉の蘆(あし)」が生い茂っている。

というものです。

勧請元である鵜鳥神社も「縁結びの神様」として信仰されていますが、上述の遠野物語のお話もあり、現在でも多くの参拝者が訪れる縁結び・恋愛成就のパワースポットとして親しまれています。


境内を彩る圧倒的な「赤」の世界

卯子酉神社

卯子酉神社といえば上の写真からもわかる通り、ある種異様であり神秘的でもある光景が有名です。

これは「恋の願いを込めた赤い布を左手だけで木に結びつけると願いが叶う」という伝承から結び付けられている赤い布で『遠野物語拾遺』にも出てくる「片葉の蘆」を模倣したものとみられます。

そもそもこの「蘆(アシ / ヨシ)」という植物は通常、茎を挟んで互い違いに葉が生えるのが一般的で、片側にだけ葉が寄って生えているように見えるものを「片葉の葦」と呼びます。

水辺に自生する蘆

尚、民俗学や日本各地の伝説において、「片葉の葦」には以下のような意味があります。

1.水神の眷属(お使い)の印

全国の「片葉の葦」伝説の多くは、水神や龍神、お姫様の悲恋の怨念などが宿る場所に生えるとされています。

卯子酉神社でも「淵の主」の霊力が宿る特別な植物として扱われました。

2.「片思い」の象徴

葉が片方にしか向かない姿が、男女の「片思い」を連想させます。

そこに「二人の名前や願いを書いた紙を結びつける」ことで、片思いを両思い(縁結び)に変えるという呪術的な意味(類感呪術)があったと考えられています。

現在、卯子酉神社の境内にあった池は干上がってしまい、境内に自生していた「片葉の葦」が見られなくなったため、参拝者は葦の代わりに「境内の木々の枝」に願いを託すようになったとされています。

「片葉の蘆」から「ちぎれにくい赤い布」へと変わり、結び方も「困難を乗り越えて縁をしっかりとつなぎとめる」という意味から「利き手ではない方の手だけで結ぶ」という現代の独自のルールへと変換されていったと考えられています。

片葉の蘆の解釈は、もしかしたら現代でいうところの「四葉のクローバー」に似た願いだったのかもしれませんね。


実際に訪れた卯子酉神社

2025年の初秋、実際に卯子酉神社に訪れました。

卯子酉神社は遠野駅から南西方向に車を走らせること5分、県道238号線沿いに位置します。目の前には無料駐車場とトイレがあり、アクセスしやすい場所でもあります。

また、車移動ではない場合も、遠野駅前でレンタルできる「レンタサイクル」を利用すれば10~15分ほどで到着できます。

Google Map – 卯子酉神社

今回は車で訪れたので目の前の無料駐車場へ駐車します。

卯子酉神社

鳥居が並んでいるのは願いが「通る(叶う)」として奉納されたものと思われます。このことから卯子酉神社のパワーの強さを伺えます。

卯子酉神社

鳥居をくぐると目の前には、願掛けで結ばれた無数の「赤い布」が現れます。

卯子酉神社

本堂には「卯・子・鶏」の絵が奉納され掲げられています。

参拝をすませ、いよいよ目的の願掛けを行おうと思います。

卯子酉神社

本堂には赤い布の無人販売が。料金は写真にも書いてある通りで、中央の御賽銭箱へ入れます。

コップ内のサインペンをお借りして、

卯子酉神社

利き手ではない方の手(私の場合は左手)で書く、ちなみに「恋愛成就」が目立っていますが、内容は家族の縁や友達、仕事など良縁を結ぶものならなんでも良いとされています。

卯子酉神社

そして、願い事を書いた赤い布を境内の木の枝などに利き手ではない方の手で結ぶ。

これにて完了です。

杉の木に囲まれ、大量の赤い布が風に踊る光景は、おどろおどろしい場所なのかと少し怖い感情を抱いていましたが…実際に訪れると木々の間を風が吹き抜け木漏れ日が差し、非常に神秘的であり気持ちの良い場所でした。

良縁を結ぶとされる遠野の神秘的な神社・卯子酉神社。遠野に訪れた際には参拝する事おススメいたします。

卯子酉神社

  • 名称:卯子酉神社(うねとりじんじゃ)
  • 所在地:〒028-0526 岩手県遠野市下組町11−23
  • 駐車場:無料駐車場あり(「さわやかトイレ駐車場」を利用)
  • お問合せ先:一般社団法人遠野市観光協会 TEL:0198-62-1333
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住宅地に近いため、近隣への配慮を心がけるようご注意ください。


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