
幻の果物「さるなし」の一大産地・玉川村!スーパーフルーツとして注目される理由とは?【福島県玉川村】
みなさんは「さるなし」という果物をご存じでしょうか?
福島県の中通りに位置する玉川村では、キウイフルーツの原種ともいわれる「さるなし」を特産物とし、生産に力を入れています。一般的には聞き慣れない「さるなし」ですが、ただ珍しい果物というだけでなく、とても注目を集めている理由があるのです。
今回は、玉川村とさるなしの関係について、深掘りしてご紹介します。
「さるなし」とはどんな果物?

さるなしとは、コクワとも呼ばれる植物です。日本列島の山地に広く分布する植物で、特に寒冷な地域であれば標高100mに満たない人里にも自生しています。
キウイフルーツの近縁種にあたるさるなしは、8月中旬から10月にかけて2~3cmほどの実をつけます。表面に毛はなくツルリとした見た目をしていますが、実を割ってみるとその姿はまさに「小さなキウイフルーツ」。淡緑色の果実に、細かい種がたくさん入っています。味も、キウイフルーツに似た、甘酸っぱい味がします。

ちなみに「さるなし」という名の由来は、動物の猿が関係しています。
さるなしの実は、野生動物にとって重要な食糧。ツキノワグマやヒグマなども、さるなしを好んで大量に摂取するそうです。それはニホンザルも例外ではありません。
「猿が好んで食べる梨のような実だから、さるなし(猿梨)」「猿が全て食べつくしてしまうから、さるなし(猿無)」。どちらにせよ、猿がよく食べていることから、この名が付いたと伝わっています。
さらに近年さるなしは、スーパーフルーツとしても注目を集めています。ビタミンCを始めとし、カルシウム・カリウム・カロチン・ビタミンA・食物繊維など栄養素をたいへん多く含んでいるそうです。そのため、疲労回復やアンチエイジングなど、健康や美容をサポートする働きを期待されています。
味のおいしさに加えて、サイズ感も小ぶりなことから、パクパクと食べられるさるなしですが、果実はとてもデリケート。傷みやすいため、生食用のさるなしに出回るのは稀なことだそう。さるなしが「幻のフルーツ」と表される由縁です。
一見取り扱いが難しいさるなしですが、実はこのさるなしを特産物として生産しているのが「福島県石川郡玉川村」なのです。続いて、玉川村がどのような地域なのかを少し紹介します。
さるなし生産に力をいれている「玉川村」とは?

石川郡玉川村は、福島県の中通りに位置する村です。かつては源頼義の一族、石川安芸守源有光が治めた地でした。昭和30年に泉村と須釜村が合併する際、2つの村に流れていた玉川(その後、「泉郷川」へ名称変更)から名をとり、玉川村となったそうです。
面積において、玉川村は福島県内の中でもコンパクトな部類に入るでしょう。しかし、魅力と資源に恵まれた地域です。
まず村内に流れる阿武隈川は、福島県から宮城県へと流れる一級河川で、悠然とした姿を称えます。中でも村内にある乙字ヶ滝は「日本の滝百選」の一つに数えられている人気の景勝地です。
加えて玉川村には、空の玄関口である「福島空港」があります。空港は玉川村と須賀川市にまたがる丘陵地帯を開削して設置されました。空港の敷地内には、ウルトラマンの生みの親「円谷英二監督」の出身が須賀川市であることに由来し、ウルトラマンシリーズのキャラクターたちの展示が見られます。さらに空港に併設された「福島空港公園」には、人と自然と科学をテーマにした広々とした3つのエリアが設置され、家族連れや地域住民の憩いの場となっています。
そして今回注目したいのが、玉川村は「さるなし」を特産物とし、さるなしの生産量は日本一を誇ります。元々地域で食べられていたさるなしを地域資源の1つとして着目し、東京都町田市の玉川大学と村とが協力して6次化にチャレンジ。その結果、さるなしを加工した様々な商品が生まれ、村の重要な産業として育まれてきました。
玉川村でさるなしを楽しもう!

さるなしは生食で食べられる期間が大変短く、市場にはなかなか出回らないと前述しました。しかし、さるなしの一大産地である玉川村では、産地ならではの特別な体験ができます。
村では例年9~10月に「さるなしの摘み取り体験」が行われ、採りたてのさるなしをその場で味わう体験ができます。
レアな「生のさるなし」を味わえるチャンスは、とても貴重です。家族や友人との、唯一無二な体験となるに違いありません。さるなし収穫体験の開催についての情報は、玉川村観光物産協会の公式Webサイトをチェックすると良いでしょう。
また、季節を問わずに楽しめて、ネットでお取り寄せ可能な加工品もおすすめします。

玉川村の「道の駅たまかわ」などでは、玉川村産さるなしを原料としたジュース・ワイン・ジャムなど、個性豊かな商品が販売されています。近くを訪れた際は、ぜひチェックしてみてくださいね。
道の駅 たまかわ <Information>
- 施設名称:道の駅たまかわ
- 所在地:福島県石川郡玉川村大字岩法寺字宮ノ前140-2
- 電話番号:0247-57-3800
- 営業時間:8:30~18:00
- URL:http://www.kobushinosato.com/
- オンラインショップ:http://shop.kobushinosato.com/
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玉川村で出会える「幻の果実」
今回は福島県石川郡玉川村の特産物「さるなし」についてご紹介しました。
生食で食べられる期間が短いさるなしは、市場ではなかなかお目にかかれない希少性の高いフルーツです。しかしその実は、猿が食べつくしてしまうほど美味。さらに、豊富な栄養素を含むことからスーパーフルーツとしても注目を集めています。小さなキウイフルーツのような、可愛らしい姿にも癒されます。
気になった方は、ぜひ産地ならではの出会いを求めて、玉川村へお出かけしてみてはいかがでしょうか。お取り寄せやお土産に、さるなしのジュースやワインもおすすめです。