厳美渓

エメラルドグリーンの川面と空飛ぶ団子が有名な一関市の名所「厳美渓」【岩手県】

厳美渓(げんびけい)は、岩手県一関市に位置する、磐井川の浸食によって形成された約2kmにわたる渓谷です。

奇岩、怪岩など荒々しい岩肌が切り立っており、ダイナミックな岩々の表情に圧巻されます。水の色は川の底の堆積物や、栗駒山そばから流れでる温泉成分から変色することもあり、運が良ければエメラルドグリーンのとても美しい色合いの川面を見ることができます。

厳美渓
エメラルドグリーンに染まる厳美渓の川面

伊達政宗が藩内の景勝として名前を挙げた厳美渓

そんな美しさに、この地を治めていた戦国武将 伊達政宗公も魅了され、何度も足を運んで楽しんだといわれています。

厳美渓の桜
厳美渓の桜

現在、厳美渓の両岸には50本ほどの桜が残っていますが、これは政宗公が植えたものと伝えられており、これらの桜は政宗公の雅号の名にちなんで「貞山桜」と呼ばれています。

奇跡的な造形ともいわれる甌穴(おうけつ)と空飛ぶ団子

上流側では長い年月をかけて削られてできた甌穴(おうけつ)がいたるところにあり、まるで自然の美術作品のようです。

厳美渓の「甌穴(おうけつ)」
岩肌の至る所で見ることができる、水流と小石の浸食でできたすり鉢の甌穴(おうけつ)

甌穴(おうけつ)とは、川の急流によって小石が岩のくぼみに入り込み、回転しながら長い年月をかけて削ることでできた、円形またはすり鉢状の自然の穴のことで、英語では”pothole”や”giant’s kettle”と呼ばれる河川地形の一種です。

そして両岸の散策路をゆったりと歩きながら吊り橋を渡り川下をのぞくと、上流の周囲を巻き込むような荒々しい流れと対照的に下流のゆったりとした川の変化を目の当たりにして、あたらめて自然の驚異や美しさを感ぜずにはいられません。

名物茶屋もあり、渓谷の対岸から籠滑車で届く空飛ぶ団子「郭公団子」という団子屋さんも人気があります。

ちなみに、同じ岩手県内には猊鼻渓と呼ばれる別の渓谷もあり、漢字はともかくとして発音が似ている上に、どちらも渓谷でお互いが比較的近い場所にありますので間違えないように注意しましょう。

地理的には、東北新幹線の一ノ関駅の西側に位置しているのが厳美渓であり、東側に位置しているのが猊鼻渓となります。両者は直線距離で20km程度離れています。

アクセスですが、渓谷には鉄道は通じておらず、最寄り駅はJR一ノ関駅です。

東北新幹線の一ノ関駅まで向かい、そこからバスまたはタクシーを利用します。一ノ関駅からの距離は10km程度です。クルマの場合は東北自動車道の一ノ関インターで降り、国道342号を西に向かいます。

世界遺産にも指定されている中尊寺金色堂、毛越寺などの平泉地区は厳美渓の北東約10kmのところにあるので厳美渓と合わせて観光することが可能です。

厳美渓<Information>

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