
【青森ねぶた・弘前ねぷた】青森四大夏祭りのその後に迫る【三社大祭・立佞武多】
目次
青森県の短い夏を彩る、青森ねぶた、弘前ねぷた、三社大祭、立佞武多。開催期間中は多くの人でにぎわう、青森夏の四大祭りですが、祭りが終わった後のその後がどうなるかご存知でしょうか?
今回はあまり注目されない、祭りのその後について焦点を当てたいと思います。
【青森ねぶた】海上運行で花火と共に盛大に終了

青森ねぶた祭は毎年8月2日から7日まで開催されます。6日間にわたり市内を練り歩いたねぶたは、最終日の7日に“海上運行”で締めくくられます。この日だけは陸を離れ、港で花火と共にフィナーレを迎える特別な一日です。
夜の海を進む幻想的なねぶた
最終日の午後1時からは、青森市内で大型ねぶたの運行がスタート。昼間の迫力ある姿を見せた後、午後7時15分からはいよいよ青森港で海上運行が始まります。
この海上運行では、受賞作品を含む4台の大型ねぶたが船に乗せられ、ライトアップされながら港をゆっくりと進みます。水面に映る鮮やかな色彩と光の揺らめきが、昼間とは違う幻想的な表情を演出します。
フィナーレを彩る花火大会

海上運行のクライマックスを飾るのは、大輪の花火。夜空と海面の両方で輝く光景に、囃子方の演奏が重なります。太鼓や笛の音が海風に乗って響き、ねぶたの掛け声と混ざり合う瞬間は、ほかの祭りでは味わえない“青森ねぶただけ”のもの。
花火とねぶた、そして囃子が一体となった景色は、息をのむほどの迫力と美しさ。港や周辺の高台から眺める観客の心に、夏の記憶として深く刻まれます。ぜひ一度は体感してほしいフィナーレです。
ねぶたの”その後”
海上運行を終えたねぶたの多くは、その場で解体されます。一部は観光施設や地域イベントで展示され、次の年まで活躍の場を持つことも。祭りの熱気が冷めやらぬうちに、すでに来年の制作準備が始まります。
【弘前ねぷた】なぬかびおくりで哀愁漂う終焉

弘前ねぷたまつりは8月1日から7日まで開催され、最終日の「なぬかびおくり」が祭りの締めくくりです。ねぷたは灯を落とさずに運行され、昼間の10時から市内を巡行。17時からは岩木川の土手や河川敷で独特の送る行事が行われます。
川沿いの土手を練り歩く“ねぷた流し”
かつて実際にねぷたを川に流していた風習になぞらえ、岩木川沿いの土手をねぷたが練り歩きます。川面に灯が映り、太鼓や笛の音とともに静かに進む姿は、昼間の熱気とはまた違った趣があります。
炎で清める“ねぷたおくり”

後半では、ねぷたを炎で送り清めます。赤く燃える炎に照らされたねぷたは幻想的で、悪霊や厄を払う意味も込められています。静かな空気の中、夏の終わりを告げる儀式です。
迫力あるねぷたが炎に包まれる光景は儚く、盛大なフィナーレを飾る青森ねぶたとは対照的。津軽では「ねぷたが終われば夏が終わる」と言われるほど、地域にとって大切な節目の行事です。
ねぷたの“その後”
祭りが終わると、ねぷたは解体されます。骨組みや電飾は翌年まで保管され、再び組み立てに活用されます。ねぷた絵は毎年作り直すため通常は破棄されますが、ねぷた絵の再利用が活発になっています。灯篭やうちわに利用されたり、弘前市で2月に開催される雪灯篭祭りで展示されたりしているそう。また、一部は弘前市のふるさと納税返礼品として提供され、祭りの記憶と伝統を形として残す役割も果たしています。
【八戸三社大祭】山車が出そろう後夜祭でフィナーレ

八戸三社大祭は7月31日から8月4日まで開催され、最終日の夜は「後夜祭」が行われます。この日、すべての山車が中心街に勢ぞろいし、ライトアップされた華やかな姿を披露。運行は行わないため、観客は落ち着いて見学でき、祭りの余韻をたっぷり味わえます。
夜空の下に並ぶ豪華な山車

後夜祭では、ずらりと並んだ山車が一斉にライトアップされます。動きはない分、装飾や人形の細部までじっくり堪能できるのが魅力。あまりの華やかさから、日本夜景遺産にも登録されています。
出番を終えた山車の行方
後夜祭が終わると、山車は各組の倉庫へ戻されます。基本的にはその年限りの作品で、人形や骨組みは再利用しつつ、不足する部材は新たに制作。毎年まったく同じ山車は存在せず、その年ごとの工夫や物語が込められています。
【五所川原立佞武多】大迫力の“お見合い”で閉幕

五所川原立佞武多は8月4日から8月8日まで開催されます。“お見合い”は初日と最終日に行われ、祭りの始まりと締めくくりを飾ります。高さ20メートルを超える巨大な立佞武多が並び立つ光景は、五所川原ならではの迫力です。
高さ20メートル級が向かい合う迫力

“お見合い”とは、3台の大型立佞武多がスタート地点でそろうことを指します。20メートルを超える巨大な山車が3台も揃う様子は圧巻で、見上げていると首が痛くなるほどの迫力。ライトアップされた姿は息をのむ美しさです。
祭り終了後は常設展示へ

祭りが終わると、立佞武多は解体されず、そのまま「立佞武多の館」で常設展示されます。ここでは一年中、間近で立佞武多を見学することができ、次の祭りまでその存在感を楽しめる観光スポットとして人気です。
Information
- 名称:立佞武多の館
- 所在地:〒037-0063 青森県五所川原市大町506−10
- 営業日・営業時間:臨時休業中
- WEBサイト:立佞武多の館
※立佞武多の館は大規模改修工事のため2025年4月1日から2026年6月末日(予定)まで休館いたします。※開館時期については7月以降を予定しております。
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まとめ|祭りが終われば、また来年へ
青森の四大夏祭りは、最終日を迎えても“片付け”では終わりません。海へ、川へ、夜空の下へ…
それぞれの地域らしい送り方があって、見慣れた山車やねぷたも、その瞬間だけは特別な表情を見せます。夏の熱気がすっと静まるあの空気は、外から来た人にも感じてもらいたいもの。終わりは、次の夏への始まりでもあります。