【秋田県】大いなる秋田とは? 初演から50年を迎えてなお愛される名曲を詳しく解説

2018年11月25日、響きの森公会堂文教シビックホール大ホールにて、「大いなる秋田東京公演2018」が開催されました。

初演から50周年という節目の年ではありますが、FAAVOにおけるクラウドファンディングまで行って演奏したいという情熱を起こさせる大いなる秋田とはどのような楽曲なのでしょうか。

この記事では大いなる秋田の由来から魅力まで詳しく解説します。

参考:FAAVO「みんなで作る!大いなる秋田東京公演2018を成功させよう!」

参考:大いなる秋田東京公演事務局ホームページ


大いなる秋田とは?

大いなる秋田は正式名称を「合唱とブラスのための楽曲 大いなる秋田」と言い、1968年に秋田県からの依頼で明治百年記念事業の1つとして作曲家の石井歓によって作曲された楽曲です。

当初は管弦楽と混声合唱による演奏が想定された楽曲でしたが、当時から秋田県での吹奏楽活動が盛んであったことから吹奏楽と混声合唱による演奏に改められています。

また当時の小畑勇二郎秋田県知事の要望により、第3楽章に成田為三作曲による「秋田県民歌」が挿入されています。

1968年11月10日に秋田県立体育館で初演されたのですが、その後長きにわたり秋田県民に親しまれている雄大な曲です。

参考:大いなる秋田東京公演事務局「合唱とブラスのための楽曲大いなる秋田」


大いなる秋田歌詞と構成

大いなる秋田はどのような構成で演奏されるのでしょうか。

表にまとめてみました。

 

歌詞

構成とその特徴

第一楽章「黎明」

わがふるさとよ うるわしの故郷(くに)

実り豊かに 幸見てる故郷
光り富む海 緑濃き山

永遠(とわ)に変わらず 永遠に栄えゆく

ああ なつかしの ふるさと

母なる故郷 秋田よ

 

ああいつの日も たゆむことなき

ふるさとの人

大いなる故郷 開け行く故郷

いざやたたえん 永遠の栄え

高らかに 歌えよ いざ
大いなる故郷 光り見てる故郷

いざや歌え 寿ぎの歌

・導入部は木管楽器とミュートをかけた金管楽器で静かに始まる

・トランペットのアンサンブルで曲調が変わる

・再び静かになったところで女声合唱→男声合唱→全体合唱で1番を演奏する

・2番は短調で始まるが1回目「大いなる故郷」から長調に転調する

・2回目の「大いなる故郷」からさらに調を1つ上げ、テンポアップして曲全体を盛り上げる

・最後の1つ前のコードに不協和音を使用しているためしっかりと終わった印象になる

第二楽章「追憶」

ねんねこ ころろこ ねんねこ ころろこや

おれの めんこなば なしてなく

 

あられやコンコン まめコンコン

いわしことれたら かごもてこい

あられやコンコン まめコンコン

はたはたとれたら たるもてこい

・歌詞が秋田の方言である

・最初のオーボエによるメロディーが印象的である

・男性・女性とも合唱の一番上の音がFでかなりの練習が必要である

・「あられやコンコン」からのテンポアップが16部音符の連続で吹奏楽もかなりの練習が必要である

・「あられやコンコン」の部分の女声と男声の輪唱が美しい

第三楽章「躍進」

秀麗(しゅうれい)無比なる 鳥海山よ

狂爛(きょうらん)吠えたつ 男鹿半島よ

神秘の十和田は 田沢と共に

世界に名を得し 誇りの湖水

山水みなこれ 詩の国秋田

 

めぐらす山々 霊気をこめて

斧の音(ね)響かぬ 千古の美林

地下なる鉱脈 無限の宝庫

見渡す曠野(ひろの)は 渺茫(びようぼう)霞み

黄金(こがね)と実りて 豊けき秋田

・長調で明るく軽快なメロディーで始まる

・秋田県民歌はユーフォニウムの前奏から始まり一度吹奏楽のみで演奏する

・秋田県民歌を1番は男声合唱→全体合唱、2番は女声合唱→全体合唱という流れで演奏する

第四楽章「大いなる秋田」

朝あけ雲の 色はえて

仰ぐ はるかな 山々よ

つらなる町も 緑の村も

平和の光り みちている

ああ あこがれの わが秋田

みんなで みんなで 歌おうよ

 

湖深く 海ひらけ

雪に 鍛えて 健やかに

働く日々も 憩いの夜も

文化の恵み 語り合う

ああ しあわせの わが秋田

みんなで みんなで 進もうよ

・導入部分は第一楽章と同じ

・6/8拍子へのテンポ変更がある

・テンポアップして「県民の歌」の1番と3番を歌うため軽快な印象となる

・合唱の最後がB♭で終了するがとても高い音程のため練習が必要

どの楽章においても曲の起承転結がはっきりしていて、演奏者にとってもお客様にとっても納得感を持って終了するのが特徴的だと言えるでしょう。


大いなる秋田楽譜について

吹奏楽でも合唱でも演奏するにはかなりの練習が必要な「大いなる秋田」ですが、秋田県では無償で総譜及びパート譜の貸し出しを行っています。

このような壮大な楽曲に一度は挑戦してみたいという人は、担当である秋田県観光文化スポーツ文化振興課調整・文化振興班までホームページに記載されている電話やメールで問い合わせをしてみましょう。

参考:美の国秋田ネット「大いなる秋田」楽譜の貸し出しについて


演奏してみて「大いなる秋田」に思うこと

筆者は大仙市立大曲中学校出身で2年生の半ばまで吹奏楽部に所属し、オーボエを吹いていたため偶然にも吹奏楽の演奏と合唱を両方経験しました。

オーボエ奏者として大いなる秋田の練習に参加していた際は、パートの中で1人だけが演奏することのできる第二楽章「追憶」の印象的なメロディーに憧れ、必死に練習を繰り返したのを覚えています。

「追憶」のメロディーを演奏することは、筆者にとって「白鳥の湖」のオーボエソロを吹くのと同じくらい価値のある経験だと思っていたためです。

2年生の半ばで吹奏楽部を辞める直前、練習でたまたま同じパートの先輩や同学年の人が誰もおらず、一度だけ追憶のオーボエを演奏することができ、「もう吹奏楽部にやり残したことはない」と感じました。

転部した科学部での活動が忙しく、3年生の時の大いなる秋田の合唱練習にはあまり参加できないことが多かったのですが、それでも曲中祭で披露した際はとても感動しました。

そのため、クラウドファンディングを行っても大いなる秋田の演奏をしたいという情熱にはとても共感できるものがあります。

吹奏楽、合唱を一度でも経験している人には、ぜひ挑戦してほしい楽曲です。


まとめ

大いなる秋田は正式名称を「合唱とブラスのための楽曲 大いなる秋田」と言い、合唱と吹奏楽で構成されるため、難易度の高い楽曲でありながら秋田県民に長く愛され続けている楽曲だとわかりました。

秋田が好きな人であればとても感動するので、ぜひ聴いてみてください。


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