
東北六県の酒蔵を訪問!南部杜氏発祥の里、紫波町で温故知新の酒造りを探求する4軒の酒蔵【岩手県紫波町】
目次
南部杜氏発祥の地とされる紫波町は人口約3万3千人ほどですが、小規模ながら美味しいお酒を醸す5軒の酒蔵があります。
そのうちの「紫波酒造店」は、蔵見学レポートを別の記事でご紹介しましたが、この記事ではそのほか4軒の酒蔵とおすすめの銘柄をご紹介します。
「月の輪酒造店」感性豊かな創業者一族の女性杜氏が良酒を醸す

「企業としてではなく 家業として」美味しいお酒を造りつづける月の輪酒造店は、1886年創業を誇る老舗の酒蔵です。
家業としての酒造りを担う5代目の横沢裕子杜氏は、紫波酒造店の小野裕美杜氏と共に、女性の南部杜氏として知られています。

横沢杜氏は「伝統の継承」と「技術の革新」を目指し、酒造りに不向きな「もち米」を100%使った酒造りや、米焼酎造りにも挑戦しています。

おすすめの銘柄2点(新酒のため蔵元ではすでに完売)と、蔵元が作る米麹(米こうじ)で作られたアイスクリームとジェラートもご紹介します。
なお月の輪酒造店では一年を通して蔵見学が可能ですが、3月は休止中とのことで残念ながら今回は蔵見学が叶いませんでした。
月の輪 ふなしぼり 純米生原酒(アルコール度数:17度)

岩手県産の酒造好適米「ぎんおとめ」を65%まで磨き上げて、麹菌「黎明平泉」と酵母「ゆうこの想い」で仕込んだ生原酒です。
フレッシュな香りと甘さの中にリンゴのような果実の風味があり、後味に乳酸菌飲料のような余韻が残ります。
今はほとんど使われない「木槽(ふね)」という昔ながらの搾り機で、時間をかけてゆっくりとしたたり落ちる雫を集めたお酒です。
金山坑道熟成 純米 秋あがり(アルコール度数:15度)

岩手県にある大萱生金山の坑道跡は平均気温13℃でお酒の長期熟成に適しているとされ、そこで半年寝かせた純米酒です。
軽い熟成香りがあり、口に含むと熟した柿のような甘みとまろやかな酸味が感じられます。
今回購入したものは2025年12月に出荷された1本で、その年の3月から9月まで金山の坑道で熟成されたものです。
「ぎんおとめ」のほかに岩手県産の酒造好適米が精米歩合65%まで磨かれていて、酵母には岩手県産酵母の「ゆうこの想い」が使われています。
米麹から作られるアイスクリームとジェラート

米・米こうじ・牛乳のみで作られるアイスクリーム「糀っ娘」(こうじっこ)は、砂糖を使っていません。

麹菌がお米を糖化させる酒造技術を応用した製法は、月の輪酒造が製法特許を取得していて、ほのかな麹の風味が感じられます。

また「糀っ娘」をベースにしたジェラートもあり、酒粕のほかに岩手県産のトマト・いちご・ブルーベリーなど、季節の果物や野菜が使われています。
ジェラートには粘度を増すために必要なグラニュー糖や生クリームが含まれていますが、一般的なものよりカロリーが低いとされていて、女性に人気です。
月の輪酒造店 <Information>
- 施設名称:月の輪酒造店
- 所在地:岩手県紫波郡紫波町高水寺向畑101
- 電話番号:019-672-1133
- 営業時間:10:00~17:00
- 定休日:水曜
- URL:月の輪酒造店 公式サイト
わかさや(月の輪酒造店直売所)<Information>
- 施設名称:わかさや
- 所在地:岩手県紫波郡紫波町高水寺中田110
- 電話番号:019-672-1133
- 営業時間:10:00~17:00
- 定休日:水曜(11月~3月のジェラート販売は土・日のみ)
- URL:わかさやアイスクリームガーデン 公式サイト
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「高橋酒造店」酒米作りから日本酒を造るこだわりの酒蔵

酒造米を作る田んぼを所有していて、酒米作りから「堀の井」や「紫波の匠(しわのたくみ)」などの銘柄を産み出している酒蔵です。
操業は、大正11年(1922年)とされ、それ以前は発酵食品に必要な麹菌を扱う麹屋でした。

酒蔵が建つ堀米地区の井戸水でお酒を仕込んだところ、とても美味しいお酒が出来たことが「堀の井」という銘柄の由来です。

創業当時から酒蔵が保有する田んぼで育てた酒米で酒造りを行い、現在は「トヨニシキ」という酒米を自ら育てて醸しています。
主銘柄の「堀の井」は、やわらかな口当たりで飲みやすく、すっきりした後味のお酒です。
純米酒 堀米(ほりごめ、アルコール度数:17度)

自家生産の酒造好適米「トヨニシキ」を吟醸酒なみに60%まで磨き、米の風味と旨味がしっかり残されています。
アルコール度数は17度と高めの辛口で、米の香りと米の旨味が強く、冷やだけでなくぬる燗にしても美味しい純米酒です。
高橋酒造店(堀の井) <Information>
- 施設名称:高橋酒造店
- 所在地:岩手県紫波郡紫波町片寄堀米36
- 電話番号:019-673-7308
- 営業時間:9:00~17:00
- 定休日:日曜
- URL:高橋酒造店 公式サイト
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「吾妻嶺酒造店」米の旨味たっぷりの純米酒を醸す古き良き酒蔵

吾妻嶺(あづまみね)は1684年創業と伝わる紫波町最古の酒蔵で、その名は仕込み水を産み出す東根山(あずまねさん)にちなんで名付けられました。

一升瓶にして年間3万本程度を生産する小さな酒蔵ですが、盛岡八幡宮や志和稲荷神社など、岩手県内の神社9社へ御神酒を奉納しています。

岩手の食材を活かす食中酒として吟醸香を抑えた造りにこだわる反面、酒粕原料のスキンケアローション開発もしている酒蔵です。

地元の酒米農家が栽培した酒米を使い、お米の旨味たっぷりで芳醇かつキレのよいお酒造りを目指しています。
蔵内氷温貯蔵 無濾過 生原酒(アルコール度数:15度)

岩手県産の酒造好適米「ぎんおとめ」を精米歩合55%で仕込み、氷温で貯蔵され、まろやかな熟成感があります。
強めの甘味と芳醇なお米の旨味の中に乳酸菌飲料のような風味が感じられ、あらゆるおつまみとのマリアージュを楽しめます。
吾妻嶺酒造店 <Information>
- 施設名称:吾妻嶺酒造店
- 所在地:岩手県紫波郡紫波町土舘内川5
- 電話番号:019-673-7221
- 営業時間:9:00~17:00
- 定休日:土曜・日曜
- URL:吾妻嶺酒造店 公式サイト
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「日詰平井邸(平六醸造)」伝統を継承する若い創業者が醸すクラフトサケ

平六醸造(ひらろくじょうぞう)は、紫波町にある築100年の国指定重要文化財の古民家を醸造所として、2023年1月20日に設立されました。

元酒蔵の古民家「日詰平井邸」から発見された、蔵付き酵母の「アカツキ」を使った新ジャンルの「クラフトサケ」を醸しています。
クラフトサケとは、クラフトビールの酒類醸造免許で造るお米が原料の醸造種のことで、日本酒の醸造免許が新規で取得できないことを逆手にとった逆転の発想で誕生しました。

南部杜氏の酒造りを基に、もち米やフルーツなどの副原料を加えて並行発酵させた、新しいジャンルの醸造酒として注目されています。
Re:vive(リヴァイブ、アルコール度数:14度)

米・米麹・水による日本酒の製造過程に、副原料として紫波町名産のもち米の発芽玄米が使われていて、平六醸造のベースレシピとされています。
たくさんのシリーズが販売されていますが、いずれもフルーティーでさっぱりしていて、米の旨味と酸味のバランスが良い食中酒に向いたクラフトサケです。
layer(レイヤー、アルコール度数:14度)

副原料にリンゴ・洋ナシ・ブドウ果汁などが使用され、それぞれの果実の香りと白ワインのようにさっぱりとした甘酸っぱさが感じられます。
日詰平井邸(平六醸造) <Information>
- 施設名称:日詰平井邸・平六醸造(ひづめひらいてい・ひらろくじょうぞう)
- 所在地:岩手県紫波郡紫波町日詰郡山駅246
- 電話番号:記載なし
- 営業時間:11:00~17:00
- 定休日:日曜・月曜
- URL:日詰平井邸(平六醸造) 公式サイト
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まとめ
紫波町の新旧5軒の酒蔵では、いずれの蔵も酒造りへの意識の高い蔵元や杜氏が、それぞれの信念のもとに美酒を醸しています。
とくに「クラフトサケ」という新ジャンルを開拓した平六醸造は、この先どのように発展しくのか楽しみな存在です。



















