津軽弁で人はどう呼ぶ?「おど・おが・あっぱ」など家族や一人称の方言を解説

津軽弁といえば、「何を言っているのか分からない」とよく言われる方言のひとつ。でも実際に使われている言葉を見ていくと、意外とシンプルで、身近なものも多いんです。

中でも面白いのが、人の呼び方。家族や友達、自分や相手のことをどう呼ぶかには、津軽ならではの言い回しがしっかり残っています。聞いたことはあるけど意味までは知らない、という言葉も多いかもしれません。

この記事では、「おど・おが」などの家族の呼び方から、「わ」「な」といった人称まで、津軽弁での“人の呼び方”に絞って紹介していきます。


津軽弁ってどんな言葉?まずはざっくり

津軽弁の交通安全標語

同じ青森県でも、津軽と南部では言葉がかなり違います。イントネーションも単語もクセが強く、初めて聞くと「日本語に聞こえない」と言われることもあるくらい。

とはいえ、ひとつひとつ見ていくとそこまで難しいわけでもありません。むしろ短くなったり、音がくっついたりしているだけ、ということも多く、慣れるとなんとなく分かってくるのが津軽弁です。


家族の呼び方が独特すぎる

津軽弁は、家族の呼び方だけでもかなり種類があります。しかも一つに決まっているわけではなく、家庭や地域で微妙に違うのも特徴です。

おど(父)

おどはお父さんのこと。ただし父親だけでなく、年配の男性を指すこともあり、「おど=親父」ときっちり分かれているわけではありません。文脈で判断するのが自然です。

とっちゃ(父)

とっちゃも父親を指す言葉で、「おど」より少しやわらかい印象があります。家族以外にも使うことがあり、「あそこのとっちゃ」みたいな言い方もよく聞きます。

おが(母)

おがはお母さん。ただしこちらも母親だけでなく、年配の女性を指すことがあります。祖母に近いニュアンスで使われることもあり、少し幅のある言葉です。

かっちゃ(母)

かっちゃも母親の意味で使われます。八戸の「イサバのかっちゃ」が有名ですが、こちらも家族に限らず使われることが多い言葉です。

あっぱ・あっちゃ(母)

「あっぱ」「あっちゃ」も母親を指す言葉で、このあたりは家庭ごとの違いが出やすいところ。同じ地域でも使っている言葉が違うことは普通にあります。


祖父母の呼び方もバリエーション多め

おじいちゃん・おばあちゃんも、様々な呼び方があります。

じっこ・じじ・じっちゃ(祖父)

じっこやじじ、じっちゃはおじいちゃんのこと。「じっこ」はやわらかく、「じじ」は少しラフ、「じっちゃ」はその中間くらいの感覚で使われることが多い印象です。どれを使うかは家庭次第ですが、どれも普通に通じます。

ばっちゃ・ばば(祖母)

ばっちゃ、ばばはおばあちゃん。こちらも家庭によって使い分けがあります。

ここでちょっと不思議なのが、祖父には「じっこ」「じじ」「じっちゃ」といくつかバリエーションがあるのに、それに対応するような「ばっこ」という言い方はあまり聞かないこと。言われてみると確かに不思議ですが、実際には「ばっちゃ」や「ばば」に落ち着いているのが面白いところです。

あば・おが(年配女性)

「あば」や「おが」は祖母だけでなく、年配の女性を広く指すことがあります。誰のことを指しているかは、その場の関係性で自然と分かることが多いです。


兄弟や立場の呼び方もある

あまり知られていませんが、兄弟にも呼び方があります。

あに(長男)

あには長男、または兄を指す言葉。普段から頻繁に使うわけではありませんが、こうした言い方があるのも津軽弁らしいところです。

おんず(次男)

おんずは次男。兄弟の順番をそのまま言葉にしたような呼び方で、シンプルだけど分かりやすい表現です。


自分や相手はどう呼ぶ?津軽弁の人称

家族だけでなく、自分や相手の呼び方にも津軽弁の特徴があります。

わ(私)

「わ」は私の意味で、男女問わず使われます。津軽弁といえばまずこれ、というくらいよく出てくる言葉です。

な(あなた)

「な」はあなたを指す言葉。距離が近い相手に使うことが多く、少しラフな響きがあります。ちなみに複数形になると「なんど」に変化するため、最初は少し戸惑うかもしれません。

けやぐ(友達)

けやぐは友達のこと。ただの知り合いというより、もう少し近い関係に対して使うことが多く、言葉自体にもあたたかさがあります。こちらも複数形になると「けやぐんど」に変わり、一気に日本語っぽさがなくなるところも面白いですよね。


実際こんなふうに使う(会話例)

実際の会話では、こうした言葉が自然に混ざって使われています。

家族との会話

「かっちゃ、腹へたじゃ」
(お母さん、お腹すいたよ)

「へばあそこのばっちゃがらもらた野菜でなんが作るが」
(それじゃぁ、あそこのいえのお婆ちゃんからもらった野菜で何か作ろうか)

友達との会話

「な、今日どさ行ぐ?」
(ねぇ君、今日どこ行く?※ここの「な」は呼びかけではなく、「あなた」という意味)

「けやぐど遊んでくる」
(友達と遊んでくる)

音が少し変わるだけで、一気に津軽っぽくなるのが分かります。


難しいけどクセになる津軽弁

津軽弁は難しいと言われがちですが、ひとつひとつ見ていくと意外とシンプルで、生活の中に根付いた言葉ばかりです。特に人の呼び方には、その地域の距離感や関係性がそのまま表れています。同じ言葉でも使い方でニュアンスが変わるのも面白いところ。

全部を理解するのは大変でも、少しずつ分かってくると一気に面白くなる。そんな魅力のある言葉です。


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