伝統工芸品

古風な文様が美しい秋田県の民芸品《本荘ごてんまり》とは?

日本各地の自治体には、それぞれの自治体の歴史や風土、文化を反映する多種多様な民芸品があります。その地方で採取できる素材で作った工芸品や加工品などは今でこそネットでも触れることができますが、やはり現地で実物を見てこそではないでしょうか。

秋田県にも地域特有の美しい民芸品があります。今回ご紹介する秋田県の民芸品は、由利本荘地域の伝わる「ごてんまり」という色鮮やかな「まり」です。「まり」とは、ボールのような玩具のことです。子供だけでなく、貴族や御殿に仕える女性にも親しまれていたのが「まり」なのです。

今回は日本各地に伝わる「まり」の一つである由利本荘市の「本荘ごてんまり」についてご紹介します。

本荘ごてんまりとは?歴史と作り方

「本荘ごてんまり」は、日本各地に存在する「まり」の形をした民芸品の一つです。

まりは日本の昔の玩具です。ボールのように弾ませたり、転がしたりして遊びました。しかし玩具としてだけでなく、調度品や民芸品としても扱われています。

日本各地に伝わる御殿まりは、御殿に仕える女性たちから民間に伝わったといわれます。しかし本荘ごてんまりに関しては、どこの誰からどんなふうに広まったのかは伝わっていません。おそらく御殿に仕えていた女性から伝わったのではないかと推測されますが、本当のところは現在もわかっていません。江戸後期には現在の由利本荘市にあたる地域で既にこのようなまりが作られ、庶民に親しまれていたということです。

画像のボールが本荘ごてんまりです。手のひらで転がせる程度の大きさです。もっと大きなものもありますし、もっと小さなものもあります。

本荘ごてんまりは、山菜であるゼンマイなどの綿を丸めてその上に機織りで使う糸を巻きつけて作っていました。現在は綿や木綿糸が簡単に手に入るようになりました。秋田県内の手芸屋や民芸店ではごてんまりを作る道具なども販売しています。

昔はゼンマイなどの綿を使いましたが、現在は丸い発砲スチロールに丹念に糸を巻き付ける形で作るのが一般的な方法です。もちろん、昔ながらの製法で作る方もいます。

花火や季節の花の柄も!目でも楽しむ民芸品

由利本荘市ではごてんまりが象徴のように扱われています。駅や公共施設にはいたるところにごてんまりが飾られています。

お土産屋さんでも色々な色柄やサイズのごてんまりが販売されています。人間の頭より大きなサイズから手のひら大のサイズまで作られています。飾り房の部分を合わせると人間の身長より大きなごてんまりもありますよ。

柄はバラや花火、菊といった日本を思わせるものから現代的な幾何学模様まであります。新しい図案が日々生まれていますので、正確にどれくらいの柄があるのかはわかっていません。もちろんごてんまり作りをはじめた人が素敵だなと思う柄を自分で発明することもできるのです。新しく考えついた柄がやがて広まりさらに新しい柄を生むのですから、まさに「伝統」ではないでしょうか。

画像はお土産屋さんのごてんまりです。ここに並ぶだけでもかなりの種類です。

最後に

本荘ごてんまりは由利本荘市を代表する民芸品というだけでなく、秋田県を代表する民芸品の一つでもあります。秋田県内のお土産屋さんでは取り扱いの多い民芸品ですので、旅行の際は目にする機会も多いことでしょう。小さなものは値段も手頃で、女性や子供へのお土産にとても喜ばれます。

秋田旅行の時は自分のお気に入りの柄を是非探してみてくださいね。びっくりするくらい色柄が豊富で見ているだけで楽しいですよ!

ako

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秋田県在住のライター。マイナーなものからメジャーなものまで、秋田の魅力を発信していきます!

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