仙台・北山五山の寺巡り

仙台の名刹群! 伊達氏が帰依した「北山五山」とは?【前編】|仙台城の北に位置する5つの臨済寺院

はじめに

「ZEN」という単語は世界的に認知されているといっても過言ではないほどに、座禅という仏教の瞑想法は非常によく知られたものです。

単に精神を集中させるだけではなく、さらに高次な人生そのものと向き合う哲学であったり、これにまつわる生活様式や環境までを含めたりする総合的な文化ともいえるでしょう。

禅が古くから武道・武術と結びついて精神的な支柱の一つとなってきたように、本来戦いを生業とする武士たちにとっても特別なものでした。

特に鎌倉期にもたらされた禅宗は武士の支持を受け、武家文化と密接に結びついてきたことは周知の通りです。それは戦国時代にも引き継がれ、武将の中にはやはり禅宗とその教えを深く尊重した集団もいました。

その一つが、東北の雄・伊達氏です。

伊達氏といえば「独眼竜」の二つ名で知られる伊達政宗が有名で、その傾奇者としてのイメージから禅宗の庇護は少し意外な事績に思われるかもしれません。

しかし仙台藩が成立した江戸時代の初めに、それまで伊達家が尊崇してきた寺院を元に再整理する形で、「北山五山(きたやまござん)」が制定されました。

本記事ではそんな東北の名刹群のご紹介とともに、武家が大切にした禅宗について解説したいと思います。


「北山五山」とは?

北山五山(きたやまござん)とは現在の宮城県仙台市青葉区北山の周辺に建立されている5つの臨済宗寺院の総称です。

ちょうどJR仙山線の北仙台駅~北山駅の間の南側に立地し、江戸時代には仙台城下町の北方を防御して奥州街道や根白石街道といった交通路の押さえにもなっていました。

北山五山の起源は、鎌倉時代中期の御家人であった伊達氏第四代・伊達政依(だてまさより)が創建した5つの臨済宗寺院「伊達五山」であるとされています。これらが変遷や移転の末に、現在知るところの「北山五山」となったのです。

以下に北山五山の各寺院を挙げ、それぞれのプロフィールをご紹介しましょう。


光明寺

光明寺は伊達氏第四代・伊達政依が、初代・朝宗の夫人である結城氏の菩提を弔うために創建しました。創建当初の所在地は現在の福島県伊達郡国見町で、いまの場所に移転したのは慶長九年(1604年)のことと伝わっています。

北山五山・光明寺
北山五山・光明寺

寛永元年(1624年)に焼失した際には仙台藩祖・伊達政宗によって壮麗な堂宇が再建され、この寺に深く心を寄せていたことがうかがえます。

明治十三年(1880年)に再び焼失の憂き目に遭い、現在の本堂は昭和六年(1931年)に再建されたものです。

支倉常長の墓
支倉常長の墓
ルイス・ソテロの碑
ルイス・ソテロの碑

本寺の本堂北西には、伊達政宗によって慶長十八年(1613年)にヨーロッパへと派遣された「慶長遣欧使節」を率いてメキシコやヨーロッパを旅した支倉常長(はせくらつねなが)の墓と、使節の正使を務めたフランシスコ会宣教師であったルイス・ソテロの碑が建立されています。

  • 宗派…臨済宗東福寺派
  • 山号…松陰山
  • 本尊…千手観音
  • 創建…弘安六年(1283年):伊達政依
  • 開山…山斐彗雲(さんぴすいうん)

光明寺<Information>

  • 名  称:光明寺
  • 住  所:〒981-0916 宮城県仙台市青葉区青葉町3−1
  • 電話番号:022-234-6660
  • 公式URL:ー

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満勝寺

満勝寺は伊達氏第四代・伊達政依が、初代・朝宗の菩提を弔うために創建しました。

創建当初の所在地は現在の福島県伊達郡桑折町で、いまの場所に移転したのは寛文七年(1667年)のことと伝わっています。

北山五山・満勝寺
北山五山・満勝寺

ここに墓のある伊達氏初代・伊達朝宗は平安時代後期~鎌倉時代初期の御家人で、本来は下野国(現在の栃木県あたり)を本拠地としていた人物です。

初代・伊達朝宗(念西公)二代・伊達宗村(念山公)霊碑所の石碑
初代・伊達朝宗(念西公)二代・伊達宗村(念山公)霊碑所の石碑

鎌倉幕府を開いた源頼朝は母方の従弟(いとこ)にあたり、治承四年(1180年)の挙兵に際してはその軍勢に合力しました。
文治五年(1189年)の奥州合戦における武功によって陸奥国伊達郡を賜り、このことから「伊達」氏を名乗るようになったといいます。

  • 宗派…臨済宗東福寺派
  • 山号…當午山
  • 本尊…聖観音
  • 創建…弘安六年(1283年):伊達政依
  • 開山…佛智

満勝寺<Information>

  • 名  称:満勝寺
  • 住  所:〒981-0933 宮城県仙台市青葉区柏木3丁目5−13
  • 電話番号:022-234-6858
  • 公式URL:ー

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東昌寺

東昌寺は伊達氏第四代・伊達政依が創建し、伊達家代々の菩提寺となった寺院です。

創建当初の所在地は現在の福島県伊達郡桑折町で、永禄三年(1383年)に出羽国米沢郷夏苅(現在の山形県高畠町の北西部あたり)に移転。

さらに伊達政宗が天正十九年(1591年)に現在の宮城県大崎市の岩出山城に移封されるとこれに伴って岩出山に再移転し、さらに慶長五年(1600年)には仙台城築城に際して現在地に近い場所に落ち着きました。

北山五山・東昌寺
北山五山・東昌寺

本寺は北山五山筆頭に位置付けられ、文字通りの伊達家菩提寺としてその歴代領地の変遷に伴って移動していることがわかります。

また、仙台藩が定める寺院の格式においては「一門格」という最高位に位置しており、全国的な寺格においても上から三番めの「諸山(しょざん)」に列しています。

この諸山の格の寺は東北地方において、本寺と伊達政宗が復興した松島の「瑞巌寺(ずいがんじ)」の二か所のみです。

  • 宗派…臨済宗東福寺派
  • 山号…無為山
  • 本尊…釈迦如来
  • 創建…弘安六年(1283年):伊達政依
  • 開山…山叟恵雲(さんそうえうん)

東昌寺<Information>

  • 名  称:東昌寺
  • 住  所:〒981-0916 宮城県仙台市青葉区青葉町8−1
  • 電話番号:022-234-9066
  • 公式URL:https://jurassic.fool.jp/tosyoji/

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覚範寺

覚範寺は伊達氏第十七代にして仙台藩祖の伊達政宗が、天正十四年(1586年)に父・輝宗の菩提寺として創建した寺院です。

北山五山・覚範寺
北山五山・覚範寺

創建当初の所在地は現在の山形県米沢市遠山町で、前述の東昌寺と同様に天正十九年(1591年)に政宗が岩出山城に移封されると現在の宮城県大崎市の岩出山に、さらに仙台の愛宕山へと移りました。現在地へと移転したのは慶長七年(1602年)のことで、慶長六年(1601年)の仙台城築城によって伊達氏の本拠が定まるまでの経緯と連動していることがうかがえます。

伊達政宗の生母・保春院(義姫)の墓
伊達政宗の生母・保春院(義姫)の墓

覚範寺は本堂の北西側には伊達政宗の生母である保春院(義姫)の墓もあり、実の母が眠るこの寺は政宗にとっても特別な場所であったことが想像されます。

  • 宗派…臨済宗妙心寺派
  • 山号…遠山
  • 本尊…釈迦如来
  • 創建…天正十四年(1586年):伊達政宗
  • 開山…虎哉宗乙(こさいそういつ)

覚範寺<Information>

  • 名  称:覚範寺
  • 住  所:〒981-0931 宮城県仙台市青葉区北山1丁目12−7
  • 電話番号:022-234-0829
  • 公式URL:ー

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資福寺

資福寺は北山五山のうちでただ一つ、伊達氏が創建していない寺です。

創建は鎌倉時代中期の有力御家人であった長井時秀で、当初の所在地は出羽国米沢郷夏苅(現在の山形県高畠町夏茂)でした。

北山五山・資福寺
北山五山・資福寺

学問寺としての名声を得て「関東十刹(かんとうじっさつ)」の一つに列せられましたが、創建した長井氏は伊達氏によって滅ぼされてしまいます。しかし伊達氏が引き続きこの寺を庇護し、戦国時代には伊達輝宗が覚範寺開山の虎哉宗乙を住持に招いて中興し、幼少の伊達政宗がここで学問を積んだことが知られています。

やはり政宗の移封に伴って天正十九年(1591年)には現・宮城県大崎市の岩出山へ、慶長五年(1600年)には減・仙台市東六番丁の仙台谷地小路へ移転。現在地に定まったのは寛永十五年(1638年)のことでした。

梅雨になると紫陽花が咲き乱れる資福寺の参道
梅雨になると紫陽花が咲き乱れる資福寺の参道

なお、この寺には仙台藩祖の政宗と同じ名前の祖先である伊達氏第九代・伊達政宗や第十六代・伊達輝宗の墓が史跡として残されているほか、現在は紫陽花の名所としても知られています。

  • 宗派…臨済宗妙心寺派
  • 山号…慈雲山
  • 本尊…聖観音
  • 創建…弘安年間(1278~1288年):長井時秀
  • 開山…大休正念(だいきゅうしょうねん)

資福寺<Information>

  • 名  称:資福寺
  • 住  所:〒981-0931 宮城県仙台市青葉区北山1丁目13−1
  • 電話番号:022-234-5730
  • 公式URL:ー

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「輪王寺」について

「北山五山」という呼び名からすべての寺院が北山丘陵に所在するかのようなイメージですが、実際には満勝寺だけが少し離れた場所に立地しています。

輪王寺
輪王寺

そのため資福寺の西側に所在する「輪王寺」を五山として数える例が見られるといいますが、正確には誤りです。

輪王寺は嘉吉元年(1441年)に伊達氏第十一代・伊達持宗によって伊達郡梁川(現在の福島県伊達市)に創建され、幾度かの移転を経て慶長七年(1602年)に現在地へと落ち着きました。

ちなみに輪王寺は同じ禅宗でも北山五山とは異なる「曹洞宗」に属しており、釈迦如来を本尊としています。

輪王寺<Information>

  • 名  称:輪王寺
  • 住  所:〒981-0931 宮城県仙台市青葉区北山1丁目14−1
  • 電話番号:022-234-5327
  • 公式URL:https://rinno-ji.or.jp/

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主要参考サイト


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