
福島・西会津町奥川の暮らしを映画に。住民の思いから生まれたドキュメンタリー『走馬灯』
福島県西会津町の奥川地区で、山とともに暮らす人々を記録したドキュメンタリー映画『走馬灯』が、2026年12月12日(土)から東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで公開されます。監督は、ドキュメンタリー映画『私だけ聴こえる』を手がけた松井至(まつい いたる)氏。
制作のきっかけは奥川で地域づくりに携わってきた住民からの依頼。人口減少と高齢化が進むなか、この土地でどんな暮らしが営まれ、人々がなぜここに住み続けてきたのかを映像に残そうという思いからでした。
奥川の住民は、なぜ映画をつくろうとしたのか
映画の公式サイトによると奥川地区の人口は約500人。
地元の奥川地域づくり協議会は、2023年に立ち上げた奥川米のクラウドファンディングでも人口減に触れており、高齢化による離農や農業の担い手不足を課題に挙げていました。
そんな状況で映画の制作を松井監督に依頼したのは奥川地域づくり協議会の発起人で、故郷に戻って地域づくりを続けてきた矢部佳宏(やべ よしひろ)氏。
矢部氏が松井至監督に制作を依頼したときの言葉は
「もう間に合わないんです。最後にメッセージを発しないと、奥川は消えてなくなります」
差し迫る危機感がひしひしと伝わってくる言葉です。
依頼を受けた松井監督は矢部氏自身を主人公にすることを提案しました。奥川の暮らしを記録してほしいと頼んだ矢部氏が、自らカメラの前に立つことになりました。
奥川の四季と、西会津の素材から生まれた音楽
映画では福島第一原発事故後の2012年に故郷の奥川へ戻った男性を軸に、山あいの暮らしが描かれます。
松井監督は奥川の四季を1年を通して撮影。山菜やキノコを採ること、祭りを続け、山の神をまつること。撮影は1年以上にわたり、山での採集から先祖に手を合わせる場面まで、住民の日々の営みを映しています。
音楽を担当したのは西会津国際芸術村に滞在し、奥川にもたびたび足を運んできた音楽家の永井朋生氏。
西会津で採集した水や風の音を取り入れ、石や古材、農機具なども楽器づくりに活用することで、奥川の暮らしを撮影した映像に西会津で集めた音や素材から生まれた音楽が重なります。
映画『走馬灯』予告編(映画『走馬灯』公式YouTube)
釜山国際映画祭で世界初上映、12月12日から東京で公開
『走馬灯』は、第31回釜山国際映画祭のワイド・アングル部門ドキュメンタリー・コンペティションに正式出品され、世界初上映されました。
制作チームは福島での上映も目指しており、まずは東京・渋谷での劇場公開が決まっています。

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