大日堂舞楽|二柱の大日如来

約1300年の歴史を持つユネスコ無形文化遺産「大日堂舞楽」|2026年の奉納の様子を現地レポート

秋田県の北東に位置し、青森・岩手の二県と県境を接する鹿角市の八幡平地区にある大日霊貴(おおひるめむち)神社

ここでは毎年1月2日、国指定重要無形文化財やユネスコ無形文化遺産に登録され、約1300年の歴史を持つという貴重な民俗芸能「大日堂舞楽(だいにちどうぶがく)」が奉納されます。


2026年1月2日の大日堂舞楽の様子

2026年1月2日、一年に一度しか見ることができない大日堂舞楽をその目で捉えるべく鹿角市を訪れてきました。

鹿角花輪駅
前日(1月1日)夜の鹿角花輪駅前の様子

前日の1月1日は東北地方の広範囲で大雪。高速道路にも降り積もる程の積雪で、舞楽の奉納が早朝から行われることを考えると、前乗りを選択していなければ確実にたどり着けなかったと思います。

現地についてみても案の定、これでもかというくらい雪国を体験できる銀世界が広がっていました。

当日はAM6:00に現地入り

AM5:30に宿を出発し、現地にはAM6:00頃到着。JR花輪線・八幡平駅前にある駐車場は20~30台程度のスペースしかなく、雪のせいで更に駐車できる台数が限られる印象でした。

7時前には埋まってしまうので、もし訪れる際は「道の駅かづの あんとらあ」発着のシャトルバスを利用するのが確実です。

この時点で開始にはまだまだ時間があるので、少し現地を下見してみることに。

大日霊貴神社の表参道
大日霊貴神社の表参道

時刻はAM6:30。神社はまだ静まり返っています。気温はかなり寒いのですが、風が一切ない雪の日の朝の引き締まった空気が心地よかったです。

大日霊貴神社の参道にあったたこ焼き屋
大日霊貴神社の参道にあったたこ焼き屋

前日1月1日から2日にかけての鹿角市の積雪観測値は約50cm。縁日の屋台はかろうじて埋まらずに済んだようでした。

大日霊貴神社の社殿
大日霊貴神社の社殿

大日霊貴神社の社殿の外観。あらゆるものが雪に埋まっています。

大日霊貴神社の社殿内部
大日霊貴神社の社殿内部

社殿の中に入ってみるとすでに参拝に訪れている方がちらほら。数時間後にはここを人が埋め尽くすことになります。

まだまだ時間があるので車に戻って待機する予定でしたが、せっかくなので八幡平駅前を少し散策してみることに。

JR花輪線八幡平駅
JR花輪線八幡平駅

八幡平駅の駅舎はかなりコンパクトでかわいらしい印象。「道の駅かづの あんとらあ」からのシャトルバスはここに停車します。

右手にある小さなプレハブは公衆トイレ。車待機の際はここを重宝します。

JR花輪線八幡平駅からの風景
JR花輪線八幡平駅からの風景

JR花輪線八幡平駅のすぐ脇から線路越しを望んだ風景。真っ白な銀世界に山の稜線を覆い隠す分厚い雪雲。白しかない風景です。

後で知ったのですがこの日のこの時間の鹿角市の平均気温は-7度。太陽が昇り始めた頃にふと空気中がキラキラ煌めいて「これが噂のダイヤモンドダストでは?」…という体験をするほどの冷え込みでした。

AM8:00になり大日堂舞楽が始まる

その後しばらく待機して再度現地へ。

本舞の場所取りのために社殿内で待機していましたが、外では修祓の儀(しゅばつのぎ)が始まった様子。それからしばらくして外を覗いてみると地蔵舞(じぞうまい)が行われている最中でした。

大日堂舞楽(地蔵舞)
地蔵舞の様子

地蔵尊前で権現様が舞い、四集落全ての能衆がそれを見守っています。その後も社殿外で粛々と行事が執り行われ、しばらくすると内部では粉押し(もみおし)が始まります。

大日堂舞楽(粉押し)
粉押し(もみおし)の様子

社殿奥よりゆっくりとあらわれる小豆沢集落の若衆たち。大音量の「ヨンヤラヤーエ」「ソリャーンサーエ」の掛け声・受け声に圧倒されます。

大日堂舞楽(御上落と幡上げ)
御上落と幡上げの準備の様子

粉押しが終わると中央の舞台上で笛と鼓による御上楽(ごじょうらく)の調べが始まり、粉押しを終えた若衆の一部は二階へと上がり幡上げ(はたあげ)の準備に入ります。

大日堂舞楽(幡上げ)
幡上げ(はたあげ)の様子

御上楽のテンポが上がるのを合図に各集落の龍神幡を持った能衆が社殿内に駆け込んできて、二階に待機する若衆に向けて幡を投げ込みます。

早い笛の音に連打される鼓、威勢のいい掛け声に、投げ込まれ飛び交う幡と、明らかに周囲を取り巻く熱気が一段上がります。大日堂舞楽前半のハイライトといっていい一幕です。

欄干から下げられた各集落の大小龍神幡
欄干から下げられた各集落の大小龍神幡

各集落の龍神幡が無事に欄干から下げられると、いよいよ本舞奉納の準備が整います。

大日堂舞楽(神子舞・神名手舞)
神子舞(みこまい)・神名手舞(かなてまい)

続いて天の神・地の神への礼拝にあたる神子舞(みこまい)神名手舞(かなてまい)が順に奉納されます。そして大小行事(だいしょうぎょうじ)で米を撒いて場を清め、修法(しゅほう)にて宮司より養老例祭の祝詞が奏上されます。

霧に包まれる八幡平地区
霧に包まれる八幡平地区

ここで時間は大体AM9:00過ぎ。少し外に出てみると日が昇ってきたことで辺りに霧が出始め、降り積もる雪と霧で地面も空も真っ白な状態。しかし空を見上げると真っ青な空が広がる快晴で、眩しい太陽の光が差し込むという幻想的な雰囲気に。

AM9:40~大日堂舞楽|本舞が開始

大日堂舞楽(権現舞)
本舞最初の権現舞

社殿に戻ると本舞の奉納が始まっていて、まずは権現舞(ごんげんまい)。とにかくカラフルな装いの能衆と権現様。どんな由来があるのか気になります。

大日堂舞楽(駒舞)
馬をあらわす駒舞

次は大里の能衆二人にて奉納される駒舞(こままい)。胸につけた馬(駒)頭を振りながら舞う姿は、馬を駆る人の姿がよく伝わってきます。

ちなみにこの駒頭は御神体ともされていて、身につけるとどんな人でも荒駒の如く勇ましくなるとかならないとか…御神体なので神様が憑依するのかもしれませんね。

参拝客と舞楽の様子
参拝客と舞楽の様子

堂内で舞楽が奉納されている間も、外には初詣の参拝客が続々と訪れます。この頃になると社殿の中も外も沢山の人で賑わいます。

大日堂舞楽(鳥遍舞)
吉祥姫の埋葬の様子を表す鳥遍舞

「ヲベ舞」「そま取の舞」「墓固めの舞」と、様々な別名を持つ鳥遍舞(うへんまい)。だんぶり長者夫妻の娘である吉祥姫が没した際の葬送の儀を表現したものとされ、荘厳な雰囲気が漂います。

舞の最後に幸運が授かるという御守を撒くらしいのですが、当日は全く気付きませんでした…。

大日堂舞楽(鳥舞)
だんぶり長者が飼っていた鶏の遊ぶ様子を表すという鳥舞

だんぶり長者が飼っていた鶏の遊ぶ様子を表すという鳥舞(とりまい)は、三人の舞手がそれぞれ雄鶏・雌鶏・雛鶏を表し、雄だけが左手に鈴を持って舞います。

祈祷を行う宮司さん
祈祷を行う宮司さん

奉納の最中、奥の祭壇では宮司さんが祈祷を行っていました。

大日堂舞楽(五大尊舞)
だんぶり長者の化身した姿を表す五大尊舞

五番目に奉納される舞は、だんぶり長者夫妻とその四家臣がそれぞれ大日如来と四大明王に化身した様を表現した五大尊舞(ごだいそんまい)

インパクトのある面をつけての舞で、見物客に最も人気があるそうです。

五大尊舞の金剛界大日如来
五大尊舞の金剛界大日如来

こちらは男神である金剛界大日如来。だんぶり長者本人が化身した姿とされています。

五大尊舞の胎蔵界大日如来
五大尊舞の胎蔵界大日如来

こちらは女神である胎蔵界大日如来。だんぶり長者の妻が化身した姿とされます。口紅と頭飾りの赤の差し色が目印です。

大日堂舞楽(工匠舞)
大日霊貴神の御神体を彫刻する姿を表わす工匠舞

大日霊貴神の御神体を彫刻する姿を表わした匠の舞といわれている工匠舞(こうしょうまい)。本舞の中でこの舞だけはだんぶり長者の伝説後の出来事を表現しているようです。

大日堂舞楽(田楽舞)
本舞の最後を飾る田楽舞

最後に奉納されるのは田楽舞(でんがくまい)。小豆沢の能衆六人によって舞われます。

農耕の様子を表現した舞で、写真ではわかりにくいですが右手奥の人物が持つ小鼓は「天狗鼓」と呼ばれ、その昔、小鼓を天狗から授かったという伝説から名付けられているそうです。

実は深夜から始まっている?各集落の事前儀式

大日霊貴神社(通称:大日堂)での舞楽奉納は朝8:00頃からとなっていますが、実は大里谷内小豆沢長嶺の各集落では深夜から各集落で奉納前の事前儀式が行われています。

こちらのブログの筆者さんは大日堂舞楽の観覧の為に八幡平に宿をとったところ、深夜に谷内地区の事前儀式を見学に行くという幸運に遭遇したようです。貴重な体験、うらやましいです。

大日霊貴神社の御神酒が購入できる斎藤酒店

大日霊貴神社とJR花輪線八幡平駅を結ぶ道すがらにある斎藤酒店では大日霊貴神社の御神酒が販売されています。

酒の湧く泉を見つけたことで長者になっただんぶり長者を縁起とする神社なので、この御神酒にもきっといいご利益があると思います。

大日霊貴神社の御神酒が購入できる斎藤酒店
大日霊貴神社の御神酒が購入できる斎藤酒店

Information

  • 名  称:斎藤酒店
  • 住  所:〒018-5141 秋田県鹿角市八幡平小山61−9
  • 電話番号:0186-32-2026

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  • 名  称:大日靈貴神社 (大日堂)
  • 住  所:〒018-5141 秋田県鹿角市八幡平堂の上16
  • 電話番号:0186-32-2742
  • 公式HP:https://dainichido.org/

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